移住労働者と共に生きるネットワーク・九州
2004年度活動報告と2005年度活動方針

2005年3月7日の福岡高裁判決で日本での家族一緒の
在留を勝ち取った井上さん一家(黒板の前)

T、 2004年度 活動報告
 移住(労働)者やその家族の生活環境が定住化に変化していますが、彼ら/彼女らの状祝の変化に伴って活動内容は数年来変化してきていて、活動の裾野が広がることも求められています。ネットワーク九州では2004年度も引き続いて様々な活動を行ってきました

(1)2004年度に行った活動

ア、事務局会議
 毎月1回の事務局会議を美野島司牧セン夕―で行いました。毎回10人程度の参加者でした

イ、ニューズレターの発行
 2004年度中に3回発行することができました。発行は19号2004年7月31日 ・20号2004年11月13日 ・21号2005年4月9日

ウ、福岡県警HPでの「外国人犯罪」E−メール通報制度廃止の申し入れ
 福岡県警ホームページ上での「外国人犯罪」「来日外国人組織犯罪」の情報提供を求めるE−メール通報制度の廃止を求める申入書(九州内8団体、個人18名)を、2004年7月20日福岡県警本部に対してネットワーク九州事務局から6名が参加して行い、福岡県内数社のマスコミの取材と報道がなされました。(2005年6月より、一部その表現が修正されました。)

エ、 大村入国管理センターの施設見学と意見交換会
 2004年9月8日 ネットワーク九州と大村入国管理センターとの初めての意見交換会が長崎県大村市の大村入国管理センターで行われ、ネットワーク九州から16名が参加しました

オ、 外国人の人権規定と人身売買禁止法の制定へ向けた公開学習会
 2004年12月4日 講師として近藤敦氏(九州産業大学教授)を迎え、外国人の人権規定の諸外国と日本の比較や、人身売買禁止法の制定に向けた学習会を福岡市の大名町カトリック教会で行い、約20名の参加がありました

カ、福岡入管との意見交換会
 福岡入国管理局と7回目の意見交換会を、2004年l2月17日に実施しました。ネットワーク九州から8名が参加しました。前回から実務担当者の出席がなくなり、昨年同様に総務課渉外調整官だけの参加という形式に変わりました

キ、外国人相談会については取りやめました
 2002年4月より毎月第2日曜日に、福岡市の大名町カトリック教会で外国人相談会を実施してきましたが、相談件数が少なく、2004年度より相談会を実施する是非が問われ、昨年度の総会で2004年5月より取りやめることになりました

ク、全国ネットワークとの連携活動
 全国運営会議に年4回参加しました。2004年5月29日、30日広島県福山市で、第5回移住労働者と連帯する全国フォーラム2004・福山が開かれ、ネットワーク九州関係者も参加しました。2004年10月7−8日 第47回日本弁護士連合会人権擁護大会が、宮崎県内のシーガイアでひらかれ、その第一分科会「多民族・多文化の共生する社会をめざして」にネットワーク九州関係者も参加しました。

ケ、 九州内の関連分野の他団体との連携について
 2005年2月20日全外教(全国外国人教育研究会・福岡)の福岡県多文化共生教育研究集会にネットワーク九州関係者が参加しました

コ、政策提言及びその具体化に向けて

 @熊本県・熊本市に対して(コムスタカー外国人と共に生きる会などの取り組み)
 2004年度 熊本県.
(1)、2004年5月にコムスタカー外国人と共に生きる会ら熊本県内4団体の自動車免許の学科試験の多言語化の申し入れを受け、熊本県警は、2004年8月から英語と中国語の導入を決定し、実施しました。(2)、熊本県警は、2004年7月よりホームページ上での「不審な外国人を見たら通報してほしい」という表記のあるE―メール通報のページを設けましたが、コムスタカー外国人と共に生きる会からの抗議で、同年8月より外国人を特定しない表記に表現が改められました。(3)、コムスタカー外国人と共に生きる会は熊本県からの委託をうけて、DV被害者保護事業として、8ヶ国語(英語・フイリピノ語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語・ロシア語・中国語・韓国語)の多言語DV防止リーフレットやDV防止対応マニュアルを作成しました
 2004年度 熊本市
(1)、2004年度より熊本市が管理する母子自立支援施設で、熊本市への住所地登録が必要としていたあり方を改め、住所地登録をそのままにしても入寮できる広域受け入れに変更しました。(2)、同年8月より、DV被害者からの申し出により加害者の夫への住民票の交付を拒否できる条例が策定されました。(3)熊本市内の民間シェルター3団体への補助金支給を決定しました

 A福岡市 北九州市 福岡県に対して(ネットワーク九州・福岡ブロックの取り組み)
(1)、福岡県内の参加団体で構成するネットワーク九州・福岡ブロックは、2003年度に引き続き2004年度も毎月1回会議を行い、2004年11月30日に福岡県・北九州市、12月1日福岡市に、2回目の政策提言を提出しました、2005年3月までに福岡市と福岡県より政策提言に対する回答が文書でありました。(2)、北九州市は、2004年から外国籍市民懇話会(年3回開催)を設置し、5言語による外国籍市民の実態調査も2004年に行っていることがわかりました。また、福岡県は、2003年より審議会の中に「在住外国人部会」(年2回)を設置し、そこで外国籍住民の「代表」から要望を聞き、県庁各部局や市町村連絡会議と情報を意見交換しているとのことでした。(3)、福岡県警は、自動車免許の多言語化への政策提言や、2005年3月の野党の県会議員による質問をうけ、2005年4月より英語の試験を導入しました

サ、移住労働者と共に生きるネットワーク九州 ホームページが設定されました
 昨年度の総会で設置を決定した移住労働者と共に生きるネットワーク九州 ホームページが2005年2月24日に開設されました
ホームページURLは、以下のとおりです。(2006年1月よりHPのURLが変更となりました
  http://www.qnetq.com/index.html  → http://www.asahi-net.or.jp/~na5r-wkmt/
  「移住労働者と共に生きるネットワーク九州」

シ、韓国の移住労働者問題のNGOとの交流会
 2005年4月20日美野島司牧センターで、 韓国釜山の外国人労働者人権協会の3名(女性)メンバーと在日外国人団体や交換派遣中の韓国籍研究者やジャーナリストら9名とネットワーク九州事務局メンバー10名ほどとの交流会をもちました

U、2005年度の活動方針 

(1) 2005年度の活動目標

ア.事務局会議
 原則として毎月1回の事務局会議を行い、九州ネットの活動を検討していきます

イ、総会の開催
 年1回の総会を行います

ウ、ニューズレターの発行
 年間3回程度の発行を目標とします

エ、移住労働者と連帯する全国ネットワークとの連携活動
 運営委員の派遣、全国ワークショップ(2005年6月18−19日 京都市)への参加など今後も続けていきます

オ、大村入国管理センターに収容されている長期収容者の人権問題
 この問題を焦点化させ、入国管理センターとの意見交換会を、国会議員や長崎県弁護士会と連携しながら昨年9月に引き続き、行っていきます

カ、福岡入国管理局との意見交換会
 1998年度よりこれまで7回行われてきましたが、引き続き定期的な意見交換会を行うことにします

キ 2005年12月頃  学習会あるいは講演会を企画します

ク、ネットワーク九州のホームページを充実します

ケ、政策提言の具体化や行政への働きかけへ

 2002−2003年度は、九州内の地方自治体(福岡県内と熊本県内の自治体)に対して「外国人住民と共に生きる街づくり」などを目指した政策凝言をNGOとして提出し、2004年度はその政策提言の個別的な具体化を実現するため行政ヘの働きかけを福岡県内と熊本県内で行てきました。2005年度も引き続き、政策提言の具体化をめざして取り組んでいきたいと思います。
 @ 九州内の各県警に対する「(来日)外国人」や「不法滞在者」による犯罪の「増加」や凶悪化

などの差別広報への抗議と外国人の人権へ配慮した広報の要請
 A 九州内の自治体での自動車運転免許学科試験での多言語化を求める要請をします。
九州内では、大分県(英語)、福岡県(英語)、熊本県(英語と中国語)の学科試験の導入が実現していますが、2005年度以降も、言語のより多様化と未実施県への多言語化の導入を要請していきます
 B 高校受験に、日本語が不十分な受験生へ配慮した入試の実現を要請します
 C 移住女性のDV被害者や人身売買被害者の保護と自立へむけた行政施策のより具体化の要請をします

コ、 NGOや関係団体との連携を強化します
 移住労働者問題に取り組NGOとの関係を強化すると共に、移住労働者とその家族や外国籍住民と接点を持ち活動している関係団体(NGO、労組、教育関係、行政)との協力や連携を深めていきます

サ 移住労働者とその家族の自立や組織化の進展をめざします
 移住労働者とその家族自身の自立や組織化が進展することを目指して活動していきます

(2 )今後の検討課題

・ネットワーク九州の財政基盤の強化が必要です。団体会員、個人会員の増加を図り、赤字財政から黒字財政へ
・ 九州内でNGOが存在しない空白地域への働きかけと、活動が停滞している地城の強化活動をおこないます。
・移住労働者問題に取り組む海外のNGOと交流や連携をすすめていきます。