鶏の餌(給餌と給水)


 鶏が1日に必要とするカロリーと食下量、給餌方法における注意点など、および、鶏の1日の給水量
 についてまとめてみました。

 鶏に必要なカロリー
  2Kgの成鶏に対する必要なカロリーは、計算上では1日142キロカロリーと言われています。
  代謝エネルギー2,800Kcalの配合飼料で換算しますと食下量は約50gで良いことなります。

  しかし、鶏は餌をこぼしたり、鶏種、鶏の個体差などにより飼料効率も違ってきますので、
  餌の給与量は不足しないように与えることが大切です。

  ※天然記念物に指定されている日本鶏などの場合は、飼料効率の良くない鶏もいるので
   上記の食下量の数値はそのまま当てはまらないと考えた方が安全でしょう。

  参考として、卵用鶏の食下量の試験データを示します。
   毎日のエネルギー摂取量を1羽当たり184Kcalから312Kcalに増加すると、
   産卵率は45%から85%に増加するそうです。
   飼料の代謝エネルギーは1日1羽当たり最低280Kcal必要とされ、代謝エネルギー
   2,800Kcalの配合飼料で換算すると必要な食下量は100gになります。

  通常の卵用鶏(2Kg前後)の場合、1日に必要な食下量は100〜130gとされています。

 給餌方法における注意点など
  鶏に餌を与える方法として、「不断給餌」と「制限給餌」があります。

  [不断給餌の場合]
   育雛時に餌を不断給餌にて与えるていると、好きな餌だけを選り食いするなどの悪い癖が付く
   場合があります。

   しかし、鶏の飼育者の中には昼間の時間が取れないため不断給餌しか行えない場合も多いようです。
   選り食いの激しい鶏に対しては、「ペレット飼料」や「クランブル飼料」などの選り食いが出来ない
   餌を与えるのも良いでしょう。

   不断給餌の場合でも、夏期は特にカビが繁殖する危険性がありますので、出来れば1日1回
   残った餌は捨て食器もこまめに洗いましょう。

  [制限給餌の場合]
   1日2〜3回に分けて30分で食べ尽くす量を与え、かつ栄養不足にならないことが大切です。
   制限給餌を始める場合、初日〜数日間は餌を多めに与え30分間で食べた量(こぼした分も含めて)
   を調べ次回からは決めた量を与えるようにしましょう。

   グループ(複数の雄鶏と雌鶏)飼いで制限給餌を行う場合、上下関係の決まったグループでは
   1番弱い鶏は餌にありつけなくなる危険性があります。
   また、雄鶏の中には雌鶏、雛鶏の食事を見守った後に食べる雄鶏もいるので、餌の給与量には
   充分な注意が必要です。

 雄鶏と雌鶏の食下量
  食下量を雄鶏と雌鶏で比較した場合、卵を産まない雄鶏の方が若干少ないようです。
  卵を多く産む雌鶏、または卵を産む時期の雌鶏は食下量も非常に多くなります。

  また、カルシウムの摂取量も雄鶏は卵を産む雌鶏ほど必要としないとされています。
  ただし、卵を産まない雌鶏と比較した場合、雄鶏は骨の量も多いのでカルシウムを多く消費します。

  理想の給餌方法は、雄鶏と雌鶏で配合成分の異なる餌を別々に与えることですが、
  同じ小屋でペア飼いするなどの場合は、餌を別々に食べさせることは難しいようです。

 季節の変化による食下量
  夏の暑い時期は、暑さに弱い鶏たちは食欲が落ち食下量も少なくなります。
  逆に、冬の寒い時期は体温を維持するため食下量も増加します。
  特に制限給餌を行う場合、最低でも季節毎に給与量の調整が必要となります。
  不断給餌の場合でも、夏期はカビが繁殖しやすいので給与量の調整が必要です。

 鶏に与える野菜
  一般に市販されている配合飼料の成分表にはビタミンの含有量が載っていません。
  配合飼料だけではビタミン不足も考えられますので、野菜も少量を毎日与えましょう。
  鶏は新鮮な生野菜がとても好きです。灰汁(あく)の少ない青菜が良いとされています。
  ビタミンCの豊富なキャベツ、トマトなど、ときには果物なども鶏は喜んで食べます。

  ※ビタミンは、たんぱく質や炭水化物などの栄養素が体内に効率よく吸収されるのを助けたり、
   エネルギー代謝(酵素の働き)を円滑に行わせる潤滑油のような働きをします。

 給水方法について
  水の摂取量は季節により変動しますが、2Kgの成鶏に対する水の摂取量は
  冬期で約120ml、夏期で約200mlとされています。
  水は乾燥した餌の消化・吸収などに大きな影響を及ぼします、必要充分な量を与え
  汚れていなくても毎日取り替えてあげましょう。
  夏の暑い時期は1日2〜3回、外気温より冷たい水を与えましょう。 鶏も喜びます。
  給水場所は、水が飛び散り餌を湿らせカビを繁殖させる原因にもなりますので
  給餌場所から離れた位置に設置しましょう。


 文中の用語解説
用語 読み方  解説
制限給餌 せいげんきゅうじ  決まった量や決まった時間にだけ餌をやる給餌方法。⇔ 不断給餌(ふだんきゅうじ)
不断給餌 ふだんきゅうじ  いつでも好きなだけ餌が食べられる状態の給餌方法。⇔ 制限給餌(せいげんきゅうじ)
ペレット飼料 ペレットしりょう  粉状の飼料を短い円柱状、または粒状に加圧成型した飼料。
 飼料の配合成分を均一に維持できるため飼料効率の改善を目的とする。
 ペレット(Pellet):小粒、錠剤。粒状のえさ。
クランブル飼料 クランブルしりょう  ペレット飼料よりもさらに荒砕きにした飼料。
 飼料の配合成分を均一に維持できるため飼料効率の改善を目的とする。
 クランブル(Crumble):ぼろぼろに崩す。
食下量 しょっかりょう  食べる餌の量のこと。[飼料摂取量(しりょうせっしゅりょう)]
給与量 きゅうよりょう  (主に)与える餌の量のこと。