第31話 浮き世離れ




 ある日のこと、授業が終わってまもなく、

「あの〜、この文ってえ、主語は(文頭の)Heute なんですか?それとも、(動詞の後の)erなんですか?それからあ、分離動詞、ってえ・・」

いくつかあったらしい疑問点を質問に来た学生がいた。
ほお、自分で勉強しようとしているのだなあ、と感心しながら答えていたら、その場にいたもう一人の学生が、

「お前、授業さぼっていたから分かんないんだろ〜?」

と突っ込みを入れていた。そして私に、

「せんせ〜、こいつ学校休んでハワイに行ってたんですよお〜」

と告げ口した(爆)
 なぬ?学期中に堂々と旅行、しかも海外に?(-_-;)
 しかし、私の口をついて出たセリフは、

「わ、、、よく無事で帰って来たね(^◇^;)」

というものであった(^_^;)もちろん、アメリカのテロ事件の後の話である。
(だから、学生でも気軽にいける旅費だったのであろう)

「いや〜、観光客、誰もいなかったっすよ(^^ゞ」

と悪びれない(笑)

「だからホント、情報に疎くなっちゃって・・。赤ちゃん生まれたの、知らなかったっすから」

 誰の赤ちゃん?親戚の?との同級生の問いに、

「いや・・天皇の」

・・(爆)
(天皇の赤ちゃん、とはもちろん、皇太子と雅子妃の間の敬宮愛子内親王のことであろう)

 ここへ来て、私は反撃を試みる気になった。

「ね、それじゃ、『サッチー逮捕』なんて知ってる?(^^)」

「え、何すか、それ?逮捕されたの?」

 目を白黒させている当該学生に、野村監督は監督辞任して、後任は誰に?とかやってるよ、と時事ネタ(ワイドショーネタ?)をぶつけて、ひそかに溜飲を下げてみたのであった。


(2001/12/21)