第23話 追い込み




 試験の直前ともなれば学生も必死、ある学生など、開始10分前に講師室に駆け込んで来た。

「せんせっ、この文ってえ、彼は車と一緒にオフィスへ行く、でいいんですよねっ?」

「・・・車で、ね・・」

 もちろん、mit dem Auto である(笑)
 他にドイツ語担当教官もいたので、

「車と一緒に、はいいですね(^_^)」
「いやあ、ワンクッションおいてから、教室に行きましょうか(^_^)」

と、笑い話となったのであるが、学生がねばりを発揮するのは、試験前だけではない。
 自宅で試験の採点をしている頃、よく、事務の方から電話がかかってくる。

「あの〜、××科XXXXXX番のAくんですね、試験のとき欠席したけど、なんとか追試かレポートにしてくれないか、と、あの、診断書も添えて持って来ているんですが・・」

 学校にもよるが、そこでは追試代わりにレポートを課すことにしてあったので、レポートを出させることとなった。

「あの〜、○○科2年のBという学生が、締め切りの翌日にレポートを持って来たのですが・・」

 遅れて出す学生がいるのも、まあ、折り込み済みである(^_^;)

「ええっとあの〜、○○科のCという学生がですねえ、レポートを・・」

「遅れて持って来ました?(^_^;)」
「いえ、あのそれがですね、期日は×日までということで、こちらでも掲示したものをはがしておいたのですが・・今日、レポートが出されていたことを知った、と言うんですね。友達に聞いた、とかで・・」

・・・(^◇^;)

「それであの〜、いかがいたしましょうか・・(^_^;)」

う〜む(^◇^;)

 結局、事務の人と相談の上、できるだけ早く提出してもらうことにした。
(事務が親切な学校だったためでもあろう・・)
 しかし、ふと気になるのは、レポート提出(あるいは追試を受ける)イコール単位はもらえる、と誤解されてはいないか、ということである(笑)


(2000/03/23)