第8話 私語の世界




 教える側が、頭を痛めることの一つに、学生の「私語」があるだろう。

「今時の学生は・・(泣)」

という話になると、必ずと言っていいほど出て来る話である(笑)少なくとも、私の学生時代には、携帯電話が鳴ったりすることは、なかったのだ。
 私の感覚では、私語そのものよりも、笑い声をたてている学生の方が、気になったりもするのだが。
(ちなみに、しゃべりまくる学生は、すぐに名前と顔が一致する(笑))

 ある日、練習問題をやっているとき、教室の片隅の私語が耳に入った。

「ね、いとこって、2親等?」
「3親等だっけ?」
「あれ、じゃ、親はどうなるの?」
「いとこって、結婚できるの?ダメなの?」
「え、どうなの?法律違反?」

 お気付きの方も多いとは思うが(笑)親族の数え方(というのだろうか?(^^;))は、自分を基準に、両親が1親等、祖父母が2親等・・というように数えて行くはず。だから・・

 私が話を聞いている気配を察し、こっちを見た学生たちに、

「いとこは、4親等でしょ」

と思わず口を挟み、系図付きで、解説を加えてしまった(爆)
(おじ・おばが3親等ですね。きょうだいが2親等。で、4親等以上離れていれば、結婚できるはず・・)

 それから数週間後、同じクラスの同じメンバーが、やはり私語に興じていた。

「あのさ、『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』が(徳川)家康でしょ?」
「え、じゃあ、『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』ってなかった?」 「それ、誰?(武田)信玄?」 「ええ、(織田)信長でしょ?」 「あれ、『鳴かぬなら 鳴かせてみよう・・』っていうんじゃない?」

「信長が、どうしたって?」

 と、思わずまた口を挟んでしまったのであった(自爆)


(1997/11/29)