今度は、言語の構造的な類似性に注目して見ましょう。この場合、系統的なことは問われません。あくまでも、言語の構造上の類似に基づくものです。
例えば、綜合語 synthetische Sprachen と、分析語 analytische Sprachen と分ける考え方があります(August Wilhelm von Schlegel 1818)。
例えばラテン語で時称も人称も一語で表わしているようなものは綜合語、これに対して、英語やドイツ語、フランス語などでは、完了などを表わす時に、助動詞プラス動詞の過去分詞などを使って表わしたりしていますが、このようなものは分析語ということになります。
また、次のようなグループ分けが考えられます(Wilhelm von Humbold 1836)。
a. 孤立語 isolierende Sprachen
語形変化せず、文法関係は語順やイントネーションなどにより表わされるもの。中国語など。
b. 膠着語 agulutinierende Sprachen
独立の単語に、文法的な機能を表わす語が付加する。トルコ語、ハンガリー語、日本語など。
c. 屈折語 flektuerende Sprachen
文法関係を、語尾を付加したり、語形変化したりして表わす。これはインドヨーロッパ語、特にラテン語などの古いもの。
d. 抱合語 inkorporierende Sprachen
文法的な機能が一つの語(動詞など)に取り込まれていく、つまりすべてが一つの語で表現されるもの。エスキモー語など。
(私は、これについての簡単な講義をドイツの大学で受けたことがありますが、屈折語以外の、膠着語などについての説明を聞いたある学生が質問して、「それじゃ格変化はどうするんだ?」と言ってました。だからあ・・(^^;))
ドイツ語はとりあえず屈折語ということになりますね。