第24週 再帰動詞



それでは今回は、再帰動詞について説明しましょう。
再帰動詞・・再び帰ってくる、なんて、なじみのない言葉だと思いますが、ええとですね、ドイツ語には、「座る」という動詞はないんですよね。

(・・・・・?)

「座っている」ならあります。


Er sitzt auf der Bank.


「彼はベンチに座っている」というわけですね。
あるいは、「座らせる」もあります。


Er setzt das Kind auf die Bank.


「彼はその子供をベンチに座らせる」となります。

しかし、ドイツ人だって、こう、とことこ歩いてきて、椅子やベンチに座ることがあるわけです(笑)で、そういう時に、自らを指す再帰代名詞を使って、


Er setzt sich auf die Bank.


え〜、直訳すると、「彼は自分自身をベンチの上に座らせる」なんてなるかも知れませんが、まあ、「彼はベンチに座る」と訳しちゃっていいです。
このように、再帰代名詞と一緒に使われて意味を持つ動詞を、再帰動詞というわけですが、まず、再帰代名詞の一覧を挙げておきますね。


単数複数
1人称2人称3人称1人称2人称3人称敬称2人称
1格ichduersieeswirihrsieSie
3格mirdirsichunseuchsichsich
4格michdichsichunseuchsichsich


再帰代名詞には、3格と4格があります。
ぱっと見てわかると思いますが、再帰代名詞は、人称代名詞の3格・4格と似ています。ただ、違うのは、3人称の単数および複数です。ここだけ、sich で統一されてますよね。単数での男性・女性・中性の区別もありません。1人称と2人称は人称代名詞そのままなのに。
じゃ、何故、3人称だけが違っているのか、ということなんですが・・ちょっと、この2つを比べてみましょう。


Hans setzt sich auf die Bank.
Hans setzt ihn auf die Bank.


上の例では、「ハンスはベンチに座る」という、再帰動詞の例ですが、下の例では、「ハンスは彼をベンチに座らせる」という意味になります。この「彼」は、ペーターだか、オットーだか、ちがうハンスかも知れませんが、ともかく、ここの主語のハンスとは別人になります。

(子供や病人を手助けして座らせてあげる、なんてシーンを思い浮かべると、分かりやすいかも知れません(^^))

再帰代名詞は、必ず主語と同一人物なのですね。ま、ich 「私」っていったら、「私」一人しかいないし、du 「あなた」でもそうですよね。複数の場合はありますが、それでも限られてます。
ところが、3人称は、1人称・2人称以外のすべてを指すわけですから、対象がとても広くなってます。それで、普通の人称代名詞と、再帰代名詞が違っている、と考えたらいかがでしょう?(笑)

(敬称の Sie のところは sich になります・・これは、大文字では書かないのですよね(^^?))

それでは、いくつかの例を見てみましょう。


sich4 waschen  体を洗う
sich4 duschen  シャワーを浴びる
sich4 interessieren  興味がある
sich3 ansehen  熱心に見る


まあ、いくつもあるわけですが、前置詞によって意味が変わるものもあります。


sich4 auf et4 freuen  ・・を楽しみにする
sich4 über et4 freuen  ・・を喜ぶ


こういうのなんか、覚えておくと便利ですね(笑)

また、主語が複数の時に再帰代名詞を使うと、「お互いに」という意味になる時もあります。


Sie lieben sich.


「彼らは愛しあっている」というわけですね。
それじゃ、ここのところは、これでいいですか・・。