第16週 形容詞の格変化



さあ、いよいよ後期の授業が始まりましたね。休みの間、ドイツ語を見たり聞いたりする機会、ありましたか?

(・・・・・・)

え〜、それでは今日は、ドイツ語の形容詞についてやって行きます。以前にも言ったかと思いますが、ドイツ語では、形容詞にも格変化が関わるんですね。

で、「形容詞」って、日本語で言うとどんな言葉がそうか、わかる?

(・・・「美しい」?)

(そうそう! \(^o^)/)

「い」で終わるやつですよね。「美しい」の他にも、「赤い」とか「大きい」とか。
それらの言葉の使い方は、2通りありますよね。一つは、「その車は赤い。」みたいに、文の述語として使われる場合。もう一つは、「その赤い車」のように、名詞を修飾する場合がありますね。

ドイツ語でも形容詞は同じように使われますが、格変化が関係してくるのは、後者、名詞を修飾するときです。
で、この時、その名詞に冠詞 − der とか ein とかのことですが、そういうものが付いているかどうか、また、それが定冠詞類か、不定冠詞類かで、パターンが決まっているんですね。

まず、冠詞なしで使われる場合です。例によって、表を書きます(笑)


 形容詞+名詞 (強変化)
  m.  f.  n.  pl.
1格guter Wein gute Milch gutes Bier gute Leute
2格guten Weins guter Milch guten Biers guter Leute
3格gutem Wein guter Milch gutem Bier guten Leuten
4格guten Wein gute Milch gutes Bier gute Leute


え〜と、形容詞は gut 、英語の good ですが、「良い」というのを使いました。
まず男性名詞ですが、Wein 、「良いワイン」という例でやってみましょう。1格、「良いワインは」というときは、guter Wein 、2格は guten Weins 、3格 gutem Wein 、4格 guten Wein となります。
基本的に、定冠詞の変化、「であ・です・でむ・でん」を覚えていれば、大体の見当がつくような変化ですが、2格だけ、ここは *gutes Weins じゃなくて、guten Weins となります。男性の2格ですから、名詞には -s が付きます。

(*が付いているのは、実際には使われない用法だ、ということです。お約束ごと)

それから女性、「良い牛乳」ですが、これは簡単。「でぃー・であ・であ・でぃー」みたいに、1・4格が一緒で gute Milch 、2・3格は guter Milch となります。
女性名詞のときは、名詞に -s を付けたりしませんから、楽ですよね。

中性名詞、「良いビール」も、2格の guten Biers のところを気をつければ、あとは定冠詞類の語尾そのままでいいですね。
複数形も、Leute 、「人々」って言葉ですが、「でぃー・であ・でん・でぃー」、あるいは、定冠詞・不定冠詞類そのままの語尾でいいですね。なお、複数3格の名詞には、-n という語尾が付きます。

では次に、弱変化、定冠詞の次に形容詞が来て、名詞が来る場合です。あ、弱変化とか強変化とか、名前は特に覚えなくてもいいですからね・・。


定冠詞類+形容詞+名詞 (弱変化)
  m.  f.  n.  pl.
1格der gute Mann die gute Frau das gute Kind die guten Kinder
2格des guten Manns der guten Frau des guten Kindes der guten Kinder
3格dem guten Mann der guten Frau dem guten Kind den guten Kindern
4格den guten Mann die gute Frau das gute Kind die guten Kinder


ええと、定冠詞、もちろん dieser とかの定冠詞類も含めてですが、その後に来る形容詞の語尾は、-e か -en です。
男性の1格、それから女性と中性の1・4格が、-e になって、後はみんな -en です。だから、この表で言うと、4×4ですか?男性・女性・中性・複数、それが1格・2格・3格・4格あって、16パターンのうち5箇所だけが -e ってことです。
もし、試験やなんかで迷ったら、-en を付けたらあたる確立が高いですね、大声では言えませんが。

(言ってるやないかい!(^^;))

それでは今度は、混合変化、不定冠詞類の次に形容詞が来て名詞が来る場合です。


 不定冠詞類+形容詞+名詞 (混合変化)
  m.  f.  n.  pl.
1格ein guter Mann eine gute Frau ein gutes Kind meine guten Kinder
2格eines guten Manns einer guten Frau eines guten Kindes meiner guten Kinder
3格einem guten Mann einer guten Frau einem guten Kind meinen guten Kindern
4格einen guten Mann eine gute Frau ein gutes Kind meine guten Kinder


(がちゃがちゃ・・)

(いろんな色を使って板書すると、筆入れの中を探る音が聞こえてきます(笑))

ええと、不定冠詞の ein は、複数形がないので − 「ひとつの」って意味ですから、複数はないですよね? − ですから、不定冠詞類の mein を使いました。「私の子供たち」ってわけです。でも、弱変化のところと同じです(笑)

 

で〜、この場合、男性の1格、それから中性の1・4格が、強変化の語尾が付きます。それで、「混合変化」と言うんですね。
つまり、ein のところなんですが、この ein には、語尾が付いていない、と考えればいいでしょうね。

女性名詞は、弱変化と一緒ですから、いいですよね。あの、「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」って、聞いたことありません?

(・・・・・・?)

作曲家のモーツァルトが作った曲ですが・・。よく、CMなんかでかかっていたんですけどね。昔の、「のど飴」とか・・。

(「エヘン虫」のことです・・って、何年前だ(^^;))

これは、ドイツ語でして、Eine Kleine Nachtmusik って書きますけど、 Musik が女性名詞なものですから、語尾がみんな -e になっているんですよね・・。

それから、この形容詞の格変化に関連してですが、ドイツ語の形容詞は、最初を大文字で書いて、名詞化して使うことができます。


krank 病気のein Kranker / der Kranke (男性の)病人
eine Kranke / die Kranke (女性の)病人


krank 、っていうのは、例えば、Er ist krank. とか言ったら、「彼は病気だ」となるんですが、「病気の男性」とか言うんだったら、ein kranker Mann ってなりますね?
でまあ、その Mann を言わないで、頭を大文字で書いて、ein Kranker となるわけです。定冠詞を付けると、der Kranke 。女性の病人だったら、eine/die Kranke です。要するに、性に応じた語尾を付ければいい訳です。
あの、よく病院なんかの隠語で、患者さんのことを、「クランケ」と言ったりするの、聞いたことない?小説なんかでもたまにあるんだけど。

(・・・・・・)

(「隠語」というのは、刑事のことを「デカ」と言ったりするあれのことです)

あとよく使うのが、bekannt 、「知っている」を名詞化して、ein Bekannter / eine Bekannte 「知人」と言います。

それから、今のは「人」のことでしたが、「もの」や「こと」についても使えます。


neu 新しいNeues 新しいこと


これは中性の語尾を付けます。
etwas Neues って言うと、「何か新しいこと」、英語で言う something new って奴ですね。 nichts Neues となると、「何も新しいことはない」ってことです。

以上で、形容詞の格変化の説明を終わります・・。