さあ、いよいよ後期の授業が始まりましたね。休みの間、ドイツ語を見たり聞いたりする機会、ありましたか?
(・・・・・・)
え〜、それでは今日は、ドイツ語の形容詞についてやって行きます。以前にも言ったかと思いますが、ドイツ語では、形容詞にも格変化が関わるんですね。
で、「形容詞」って、日本語で言うとどんな言葉がそうか、わかる?(・・・「美しい」?)
(そうそう! \(^o^)/)
「い」で終わるやつですよね。「美しい」の他にも、「赤い」とか「大きい」とか。
それらの言葉の使い方は、2通りありますよね。一つは、「その車は赤い。」みたいに、文の述語として使われる場合。もう一つは、「その赤い車」のように、名詞を修飾する場合がありますね。
ドイツ語でも形容詞は同じように使われますが、格変化が関係してくるのは、後者、名詞を修飾するときです。
で、この時、その名詞に冠詞 − der とか ein とかのことですが、そういうものが付いているかどうか、また、それが定冠詞類か、不定冠詞類かで、パターンが決まっているんですね。
まず、冠詞なしで使われる場合です。例によって、表を書きます(笑)
形容詞+名詞 (強変化) | ||||
m. | f. | n. | pl. | |
1格 | guter Wein | gute Milch | gutes Bier | gute Leute |
2格 | guten Weins | guter Milch | guten Biers | guter Leute |
3格 | gutem Wein | guter Milch | gutem Bier | guten Leuten |
4格 | guten Wein | gute Milch | gutes Bier | gute Leute |
え〜と、形容詞は gut 、英語の good ですが、「良い」というのを使いました。
まず男性名詞ですが、Wein 、「良いワイン」という例でやってみましょう。1格、「良いワインは」というときは、guter Wein 、2格は guten Weins 、3格 gutem Wein 、4格 guten Wein となります。
基本的に、定冠詞の変化、「であ・です・でむ・でん」を覚えていれば、大体の見当がつくような変化ですが、2格だけ、ここは *gutes Weins じゃなくて、guten Weins となります。男性の2格ですから、名詞には -s が付きます。
(*が付いているのは、実際には使われない用法だ、ということです。お約束ごと)
それから女性、「良い牛乳」ですが、これは簡単。「でぃー・であ・であ・でぃー」みたいに、1・4格が一緒で gute Milch 、2・3格は guter Milch となります。
女性名詞のときは、名詞に -s を付けたりしませんから、楽ですよね。
中性名詞、「良いビール」も、2格の guten Biers のところを気をつければ、あとは定冠詞類の語尾そのままでいいですね。
複数形も、Leute 、「人々」って言葉ですが、「でぃー・であ・でん・でぃー」、あるいは、定冠詞・不定冠詞類そのままの語尾でいいですね。なお、複数3格の名詞には、-n という語尾が付きます。
では次に、弱変化、定冠詞の次に形容詞が来て、名詞が来る場合です。あ、弱変化とか強変化とか、名前は特に覚えなくてもいいですからね・・。
定冠詞類+形容詞+名詞 (弱変化) | ||||
m. | f. | n. | pl. | |
1格 | der gute Mann | die gute Frau | das gute Kind | die guten Kinder |
2格 | des guten Manns | der guten Frau | des guten Kindes | der guten Kinder |
3格 | dem guten Mann | der guten Frau | dem guten Kind | den guten Kindern |
4格 | den guten Mann | die gute Frau | das gute Kind | die guten Kinder |
ええと、定冠詞、もちろん dieser とかの定冠詞類も含めてですが、その後に来る形容詞の語尾は、-e か -en です。
男性の1格、それから女性と中性の1・4格が、-e になって、後はみんな -en です。だから、この表で言うと、4×4ですか?男性・女性・中性・複数、それが1格・2格・3格・4格あって、16パターンのうち5箇所だけが -e ってことです。
もし、試験やなんかで迷ったら、-en を付けたらあたる確立が高いですね、大声では言えませんが。
(言ってるやないかい!(^^;))
それでは今度は、混合変化、不定冠詞類の次に形容詞が来て名詞が来る場合です。
不定冠詞類+形容詞+名詞 (混合変化) | ||||
m. | f. | n. | pl. | |
1格 | ein guter Mann | eine gute Frau | ein gutes Kind | meine guten Kinder |
2格 | eines guten Manns | einer guten Frau | eines guten Kindes | meiner guten Kinder |
3格 | einem guten Mann | einer guten Frau | einem guten Kind | meinen guten Kindern |
4格 | einen guten Mann | eine gute Frau | ein gutes Kind | meine guten Kinder |
(がちゃがちゃ・・)
(いろんな色を使って板書すると、筆入れの中を探る音が聞こえてきます(笑))
ええと、不定冠詞の ein は、複数形がないので − 「ひとつの」って意味ですから、複数はないですよね? − ですから、不定冠詞類の mein を使いました。「私の子供たち」ってわけです。でも、弱変化のところと同じです(笑)
で〜、この場合、男性の1格、それから中性の1・4格が、強変化の語尾が付きます。それで、「混合変化」と言うんですね。
つまり、ein のところなんですが、この ein には、語尾が付いていない、と考えればいいでしょうね。
女性名詞は、弱変化と一緒ですから、いいですよね。あの、「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」って、聞いたことありません?
(・・・・・・?)
作曲家のモーツァルトが作った曲ですが・・。よく、CMなんかでかかっていたんですけどね。昔の、「のど飴」とか・・。
(「エヘン虫」のことです・・って、何年前だ(^^;))
これは、ドイツ語でして、Eine Kleine Nachtmusik って書きますけど、 Musik が女性名詞なものですから、語尾がみんな -e になっているんですよね・・。
それから、この形容詞の格変化に関連してですが、ドイツ語の形容詞は、最初を大文字で書いて、名詞化して使うことができます。
krank 病気の | ein Kranker / der Kranke (男性の)病人 eine Kranke / die Kranke (女性の)病人 |
krank 、っていうのは、例えば、Er ist krank. とか言ったら、「彼は病気だ」となるんですが、「病気の男性」とか言うんだったら、ein kranker Mann ってなりますね?
でまあ、その Mann を言わないで、頭を大文字で書いて、ein Kranker となるわけです。定冠詞を付けると、der Kranke 。女性の病人だったら、eine/die Kranke です。要するに、性に応じた語尾を付ければいい訳です。
あの、よく病院なんかの隠語で、患者さんのことを、「クランケ」と言ったりするの、聞いたことない?小説なんかでもたまにあるんだけど。
(・・・・・・)
(「隠語」というのは、刑事のことを「デカ」と言ったりするあれのことです)
あとよく使うのが、bekannt 、「知っている」を名詞化して、ein Bekannter / eine Bekannte 「知人」と言います。
それから、今のは「人」のことでしたが、「もの」や「こと」についても使えます。
neu 新しい | Neues 新しいこと |
これは中性の語尾を付けます。
etwas Neues って言うと、「何か新しいこと」、英語で言う something new って奴ですね。 nichts Neues となると、「何も新しいことはない」ってことです。
以上で、形容詞の格変化の説明を終わります・・。