それでは今回は、再帰動詞について説明しましょう。
再帰動詞・・再び帰ってくる、なんて、なじみのない言葉だと思いますが、ええとですね、ドイツ語には、「座る」という動詞はないんですよね。
(・・・・・?)
「座っている」ならあります。
Er sitzt auf der Bank. |
「彼はベンチに座っている」というわけですね。
あるいは、「座らせる」もあります。
Er setzt das Kind auf die Bank. |
「彼はその子供をベンチに座らせる」となります。
しかし、ドイツ人だって、こう、とことこ歩いてきて、椅子やベンチに座ることがあるわけです(笑)で、そういう時に、自らを指す再帰代名詞を使って、
Er setzt sich auf die Bank. |
え〜、直訳すると、「彼は自分自身をベンチの上に座らせる」なんてなるかも知れませんが、まあ、「彼はベンチに座る」と訳しちゃっていいです。
このように、再帰代名詞と一緒に使われて意味を持つ動詞を、再帰動詞というわけですが、まず、再帰代名詞の一覧を挙げておきますね。
単数 | 複数 | ||||||||
1人称 | 2人称 | 3人称 | 1人称 | 2人称 | 3人称 | 敬称2人称 | |||
1格 | ich | du | er | sie | es | wir | ihr | sie | Sie |
3格 | mir | dir | sich | uns | euch | sich | sich | ||
4格 | mich | dich | sich | uns | euch | sich | sich |
再帰代名詞には、3格と4格があります。
ぱっと見てわかると思いますが、再帰代名詞は、人称代名詞の3格・4格と似ています。ただ、違うのは、3人称の単数および複数です。ここだけ、sich で統一されてますよね。単数での男性・女性・中性の区別もありません。1人称と2人称は人称代名詞そのままなのに。
じゃ、何故、3人称だけが違っているのか、ということなんですが・・ちょっと、この2つを比べてみましょう。
Hans setzt sich auf die Bank. |
Hans setzt ihn auf die Bank. |
上の例では、「ハンスはベンチに座る」という、再帰動詞の例ですが、下の例では、「ハンスは彼をベンチに座らせる」という意味になります。この「彼」は、ペーターだか、オットーだか、ちがうハンスかも知れませんが、ともかく、ここの主語のハンスとは別人になります。
(子供や病人を手助けして座らせてあげる、なんてシーンを思い浮かべると、分かりやすいかも知れません(^^))
再帰代名詞は、必ず主語と同一人物なのですね。ま、ich 「私」っていったら、「私」一人しかいないし、du 「あなた」でもそうですよね。複数の場合はありますが、それでも限られてます。
ところが、3人称は、1人称・2人称以外のすべてを指すわけですから、対象がとても広くなってます。それで、普通の人称代名詞と、再帰代名詞が違っている、と考えたらいかがでしょう?(笑)
(敬称の Sie のところは sich になります・・これは、大文字では書かないのですよね(^^?))
それでは、いくつかの例を見てみましょう。
sich4 waschen 体を洗う |
sich4 duschen シャワーを浴びる |
sich4 interessieren 興味がある |
sich3 ansehen 熱心に見る |
まあ、いくつもあるわけですが、前置詞によって意味が変わるものもあります。
sich4 auf et4 freuen ・・を楽しみにする |
sich4 über et4 freuen ・・を喜ぶ |
こういうのなんか、覚えておくと便利ですね(笑)
また、主語が複数の時に再帰代名詞を使うと、「お互いに」という意味になる時もあります。
Sie lieben sich. |
「彼らは愛しあっている」というわけですね。
それじゃ、ここのところは、これでいいですか・・。