第7回 3格の用法




(学生の会話・・)

(ねー、この3格とか4格とか、って何?どう違うの?)
(だからさー、英語のIO(間接目的語)とかDO(直接目的語)みたいなやつじゃないの?)
(ふ〜ん・・)

(う〜む、なるほど(;^^)高校英語の5文型のやつですね)



3格の使い方で、よく見かけるのはやはり、「〜に〜をあげる」云々の、「〜に」でしょう。


Anna schenkt ihrem Vater eine Krawatte.  アンナは彼女の父親にネクタイをプレゼントする。 


(これが、英語で習った間接目的語としての使い方ですね。「あげる」「贈る」系の動詞と一緒に使います)

受動態のところでも言いましたけど、ドイツ語では、受動態の主語になるのは、元の文の4格のみです。

(英語では、 John gave Mary a book. → Mary was given a book. / A book was given (to) Mary. と、Mary (3格(与格))も、a book (4格(対格))も、主語になるんですが)

よく、ドイツ語の1格・2格・3格・4格は、日本語の「が・の・に・を」にあてはまる、と説明されますが、あくまでもこれは原則で、3格なら必ず「〜に」と訳さなければならないということはありません(笑)

例えば、3格の目的語を取る動詞、helfen の例を見てみましょう(^_^)


Hans hilft seiner Mutter.  ハンスは彼のお母さんを手伝う。 


この場合、「お母さんに手伝う(助ける)」というのも、妙な日本語ですよね(^_^;)

3格の目的語を取る動詞といえば、gefallen 「気に入る」とか、geh"oren 「属する」などが有名ですね。


Dieses Dorf gef"allt mir.  私はこの村が気に入った。 
Die Tasche geh"ort ihr.  このバッグは彼女のものだ。 


このような言い方が使えると便利ですね(^_^)

さて、今まで挙げた例は、はっきり言って、これまでやったことの復習みたいなものでしたけど(^^ゞ今度は、別の例を見てみましょう。

ドイツ語で、「私は私の髪の毛を洗う」と言うときですが、


Ich wasche mir die Haare.


となります。meine Haare としたくなるんですけどね(^_^;)
このような3格は、所有の3格と言ったりもするんですが、定冠詞つきの名詞句が、前にある3格の人に属するものなんですね。主に、体の一部なんかの場合が多いです。


Er sieht dem Kind in die Augen.  彼はその子供の目を覗き込む。 


こういう例もあります(^_^)

この、所有の3格の3格は(笑)、なくてもよい、つまりこの3格がなかったとしても、文法的におかしな文にはならないので、自由な3格と呼ばれるのですが、それにはもう少し、バリエーションがあります。せっかくですから、紹介しておきましょう(^_^)

利害の3格と呼ばれる例も、よく見られます。

Der Pf"ortner "offnet der Frau die T"ur.  門番は、その女性のためにドアを開ける。 
Der Schl"ussel ist dem Kind ins Wasser gefallen.  鍵は、その子供にとっては残念なことに、水の中に落ちてしまった。 


それから、関心の3格とか、判断の3格と呼ばれるものもあります。


関心の3格Fall mir nicht! 転ばないで!(私にとっては重要なことなのだけど)
判断の3格Er arbeitet mir zu langsam.私の考えでは、彼はあまりにもゆっくり仕事をする。


このような細かい点が分かるようになると、読解にとても便利ですよね(笑)