- 松之山温泉からのバスには他の乗客はいなかった。バスを下りた時は、雨はほとんどやんでいた。黄金色の田んぼを見ながら雨で濡れた舗装路を登って行った。大厳寺(だいごんじ)高原キャンプ場のテントは一張りだけだった。
- 二日目は快晴だった。放牧の終わった牧場を左手に見ながら舗装された林道を登っていった。林道の交差点が登山口の松之山口だった。トイレが有り車が1台駐車してあった。
- 最初の約10分は未舗装の林道だった。林道終点から山道に入るとブナ林の急坂になった。一登りすると津南口からの道と合流したので一休みした。
- やがて栄村口からの道と合流した。ブナの黄葉のきれいな急坂を登って行くと、信越トレイルのスタート地点、天水山(あまみずやま)に着いた。千曲川の谷が見えた。周囲には太いブナの木が多かった。
- 信越トレイルは、数日前の台風の影響で木の枝が多く落ちていた。場所によっては少し歩きにくかったので、ストックで払いのけながら歩いた。深坂(みさか)峠からの70歳位の7人組とすれ違った。すれ違った後は枝が無くなり歩きやすくなった。7人組も枝を払いのけながら歩いたようだった。三方岳付近まで来ると、標高が上がったため葉を落としたブナの木が多くなった。
- 深坂峠では北東側の眺めが良かった。やがてトレイルを逆方向に進む8人組がやってきた。ガイド2人に連れられたカナダからの人たちだった。「日本に来なくてもカナダは自然が多くてすばらしい景色があるでしょう」と聞くと「日本にはカナダとは違った良さがあるそうなんです。みんな満足しています。」とガイド氏は言っていた。
- 深坂峠でトレイルを離れ、少し下って草紅葉のきれいな湿原を木道で渡ると、野々海(ののみ)高原キャンプ場に着いた。すぐ下には紅葉が盛りの野々海池が見えた。テントを張り、コーヒーを飲みながらゆっくりくつろいだ。テントは2張りだった。
- 三日目も晴れだった。深坂峠まで登り返し、トレイルの続きを歩き始めた。北側の展望が得られる所を過ぎると三角点の有る長野県最北端だった。付近は平坦でぬかるみが多かった。ブナの黄葉がきれいだった。
- 野々海峠を過ぎると西マド湿原が有った。立ち入り禁止で近づくことはできなかった。
- 50m位の上り下りを繰り返しながら進んで行った。ブナは葉を落とした木が多くなった。足元にはバッタが多くいた。足を置くたびに跳ね回っていた。須川峠への下りでは、木の間から白い北アルプスと少し雪の付いた火打山が見えた。ぬかるみが多かった。
- 伏野(ぶすの)峠付近まで下ると標高が下がって再びブナの黄葉がきれいになってきた。峠は1車線だけの幅の国道が通っていた。国道管理の作業者3人がいた。
- 幻の池が近づくと樹高の高いブナの木が多くなって来た。幻の池は紅葉がきれいだった。
- 宇津ノ俣峠でトレイルを離れ長野県側に下りていった。黄葉のきれいなブナの森だった。所々に水の流れがあった。畑を通り車道に出たところで宿の迎えの車に乗った。この日は他の登山者に会わなかった。
- あと四日間、斑尾山に向け歩く予定だったが、この先のトレイルが先日の台風のため少し荒れており、五日目、六日目の天気が悪い予報だったので、今回は宇津ノ俣峠で中断することにした。