- 二ツ岳から東赤石山、西赤石山を経ての縦走も三日目。標高約1200mの土山越から、いよいよ笹ヶ峰への登りになった。土山越付近にはアケボノツツジが少し咲いていた。土山越を過ぎたところで笹ヶ峰から下りてきた男性二人組に会った。「笹に登りますか」と励まされた。
- 本格的な登りになると、笹が登山道にかぶさるようなり、歩きにくくなった。回りはブナの森だった。「獅子舞の庭」と書かれた小さな標識が有った。苔むした岩が多く、小さな石室が有った。稜線に出たところに「獅子舞の鼻」との標識が有った。獅子舞の鼻からは、登り下りが続いた。笹も登山道にかぶって歩きにくくなった。なかなか標高が上がらなかった。アケボノツツジが少し咲いていた。
- やがて笹ヶ峰への本格的な登りになった。笹原の登りが続いた。登るに従い笹の背丈が低くなり歩きやすくなっていった。登山者5人とすれ違った。
- 稜線に出たところが「ちち山分れ」で、周囲は眺めの良い笹原だった。東方の冠山には霧がかかり始めていた。
- ちち山分れからは縦走路を西へ向かった。稜線の南側を巻くように道が付けられていた。冷たい風が吹いていた。登山者数人とすれ違った。外国人の二人組もいた。前方に笹ヶ峰が見えた。やがて霧がかかり出し、笹ヶ峰は見えなくなってしまった。途中の分岐から「ちち山」へ登るつもりだったが、霧がかかっているため通過する事にした。
- 冷たい風の吹く中、笹ヶ峰の山頂に着いた。登山者が3人いた。霧で展望は無かった。
- 早々に山頂を出発して1~2分下ると、先ほどまで山頂にいた二人組が戻って来た。「南側に下りるつもりが反対側に下りてしまった」と言っていた。すぐ先に丸山荘と寒風山の分岐を示す標識が有った。しばらく笹原をジグザグに下った後、ブナの樹林帯に入った。
- 丸山荘のテントは3張りだった。直前に着いた単独行がビールを買っていたので、つられて買ってしまった。受付のところにスキーが立てかけてあったので「スキーもできるんですね」と言うと、「これは昔の残骸だ。四国ではスキー場はここだけだったが、リフトも何もないので他にスキー場ができると誰も来なくなった」と言っていた。
- 最終日は曇りだった。天気は崩れる予報だった。明るくなるとすぐに出発した。新緑の始まりかけた森を下って行った。登山口に着くと雨が降り出した。本降りの中、林道を下津池へ下った。最初、未舗装だった林道は途中から舗装路に変わった。下津池では神社の軒下で雨宿りしながらバスを待った。