- バスの出発前に運転手に「山に登るのか」と聞かれた。市街地で一人下車すると乗客は一人だけになった。運転手に「カンジキを持って登るのか」と聞かれたので「そうだ」と答えた。バスを下り、防波堤で初日の出前の景色を撮っていたら、お店の人に「山に登るのか」と聞かれた。登山口を教えてもらった。
- 集落の中は融雪パイプから水が出ていた。少し氷っているところが有ったので注意して通った。集落の外れから雪道になった。古いトレースが有った。初日の出を背中に受けながら登り始めた。雪はしばらく固くて快適だった。標高80m位の平らになったところで雪が柔かくなったのでワカンを付けた。
- 標高200mのコブの先で尾根は右に曲がっていた。しばらく平坦なところが続いた。木がまばらで敦賀湾の眺めがよかった。238mの鉄塔の有るピークで今度は尾根は左に曲がっていた。しばらく尾根を登った後、山腹を巻く道になった。標高380m付近でワカンの紐の縫いつけてが取れてしまった。応急処置をして何とか靴にワカンをくくりつけた。足が輪っかより少し下に入るが登り続けることができた。
- 580m峰を過ぎた登りで尾根が広くなった。足が15cm位もぐるのでまっすぐには進めず、ジグザグに登って行った。トレースはいつしかなくなっていた。
- 山頂間近になると灌木も雪の中になった。快晴で雪がまぶしかった。山頂直下の小屋は2階の窓が雪から出ているだけだった。積雪2m位と思われた。小屋の裏に回り最高地点に向かった。木には団子のように雪がたくさん付いてきれいだった。最高点は灌木がまばらに生える平らな所だった。木に赤布が付いていて山頂を示していた。振り返ると真っ白な粉雪の上には自分の足跡と兎の足跡が有るだけだった。まぶしいので、なるべく日陰を見るようした。栄螺ガ岳に行くつもりだったが、1時間半以上遅れていたので中止した。
- 下山途中で単独行とすれ違った。私のトレースに従って登ってきていた。私のトレースは右往左往していて、あまり美しいくないので、少し恥ずかしい気がした。
- バスにぎりぎりとなったので少し下山を急いだ。木の脇を通ろうとしたとき、両足が股までもぐってしまった。雪の中に木の枝が有り、引っかかってワカンが抜けなくなっていた。ワカンの回りを掘り起こして何とか足を引き出すことができた。集落の直前ではワカンの縫いつけ箇所が更にもう一箇所取れ、足から外れてしまった。
- 帰りのバスも乗客は一人だけだった。