- あらかじめ苫小牧で電話をかけタクシーを予約しておいたので、振平のバス停前にタクシーが待っていた。すぐに乗り換え林道ゲートに向かった。運転手は以前は日高の山に登っていたそうで、山の話で長い時間退屈しなかった。駐車場横のゲートまでかと思っていたら、鍵を持っていて一つ先のゲートまで入ってくれた。歩行時間にして40分ほど得をした。その日は林道終点の取水ダム前まで歩き幕営した。水は、すぐそばの沢で得ることができた。
- 二日目は、まだ薄暗いうちに出発した。最初の徒渉点に着く頃にはすっかり明るくなった。渓流足袋に履き替えて沢歩きを開始した。深いところで膝までだった。幌尻山荘からは登山靴に履き替えての急登だった。命の水では、七ツ沼カールで水が得られない可能性も考え、水を補給して合計4リットルにした。
- 展望が開けてくると北カールの縁に出た。お花畑になっていてウサギギクなどが咲いていた。花の写真を撮りながらで、なかなか足が進まなかった。団体客など、今朝、山荘を出発した人が次々下山してきた。
- 山頂に着いたときはガスが出たり晴れたりしていた。完全に晴れるまで山頂でねばった。その甲斐あって、最後はカムエクや1839峰まで見える好展望になった。団体客などが次々と登ってきては下りて行った。
- 山頂からは七ツ沼へと向かった。こちらのコースまで歩く人は、ほとんどいなかった。ウサギギクのお花畑が有った。カールへの下り口は二つあるが幌尻岳よりのコースを下りた。浮石の多い歩きにくい道だった。カールの底には雪がわずかに残り、水が流れていた。テントは戸蔦別岳よりに3張り、幌尻岳よりには私の1張りだけだった。テントの中で休んでいると、時々ナキウサギの声がカールにこだました。
- 三日目は明るくなるとともに行動を開始した。水は多めに4リットル持って出発した。カールからの登りは戸蔦別岳側の道を通った。ウサギギクやトカチフウロのお花畑がきれいだった。戸蔦別岳への登りで振り返って見た幌尻岳はとても雄大だった。
- 幌尻山荘との分岐付近にはユキバヒゴタイがたくさん咲いていた。タカネナデシコの群落はちょうど花期が終わったところだった。幌尻山荘との分岐を少し過ぎたところで3人組とすれ違った。北戸蔦別岳に幕営し、幌尻岳をピストンするとの事だった(以後、伏見岳の手前まで登山者には会わなかった)。北戸蔦別岳への登りは前半がお花畑で日が当たって暑かった。後半はハイマツ帯になり風が当たって涼しかった。北戸蔦別岳からは、これから縦走するピパイロ岳から伏見岳への稜線が彼方に見えていた。