- 山形駅のコインロッカーに余分な荷物を預け、仙山線の電車に乗り込んだ。面白山高原駅で下車したのは3人だけだった。
- 夜行バスを利用したこともあり、歩き始めは眠くて夢遊病者のような感じだった。沢を標高差20mほど登り、斜面をトラバースすると尾根の道になった。ミズナラやカエデの森で、足元には終わりかけの小さいアヤメが咲いていた。標高600mを越えるとブナが増え出し、エゾハルゼミが鳴き始めた。ホトトギスも鳴いていた。時々、下を通る電車の音が聞こえた。むし暑くて汗がしたたり落ちた。長左衛門道と交差して更に登ると、足元にチゴユリやマイヅルソウなどの初夏の花が増えてきた。
- やがて森林限界を越え、山頂に着いた。360度の展望だった。仙台側は雲海だった。南側は、最初雲がかかっていたが、休んでいるうちに晴れてきて、最後は大東岳が見えてきた。山頂には虫が多かった。
- 南面白山へ向かって縦走を開始した。ブナの灌木はちょうど新緑の見頃で若葉が少し赤っぽかった。ムシカリやツツジが咲いていた。ウグイスが鳴いていた。中面白山からの下りになると樹林帯に入った。長左衛門平付近にはタンポポが多かった。
- 長左衛門平からはエゾハルゼミの鳴くブナ林の道だった。笹に囲まれた奥新川峠で昼食にした。権現様峠まで同じようなブナ林が続いていた。
- 権現様峠からは今までより太いブナが多くなった。やがて登山道は大東岳の標高1000m付近を横に進んで行く道になった。大東岳から流れる小沢が多く、数えたら水流のあるものだけで9本有った。暑かったので小沢の一つで顔を洗った。南面白山への登りになると、再び細いブナが多くなり、灌木帯へと変わっていった。やがて視界が開け、振り返ると大東岳が見えた。登山道脇の日のあたる草むらでは、蛇がとぐろを巻いて日光浴をしていた。
- 岩の多い南面白山山頂で最後の展望を楽しんだ。携帯が通じたので、今晩の待ち合わせの確認をとった。帰りは、最初はブナ林、やがて涸れた荒れ気味の沢を通り、最後はスキー場のゲレンデを通って面白山高原駅へ下山した。この日、出会った登山者は6-7人で静かな山行だった。