- 登尾バス停で降りたのは一人だけだった。最初は林道歩きだった。植林帯の中の林道をジグザグに登っていくと、やがて登山口に着いた。木に付いた赤テープだけが目印だった。
- 登山口から少し山道を登ると尾根に出た。尾根伝いに登っていくと、やがて植林帯は雑木林に代わった。標高900m付近に分岐が有った。まっすぐ尾根を登っていくと、やがて道は尾根の左側を巻く感じになった。あたりはブナの太い木が多く、雰囲気が良かった。尾根から離れすぎて少しおかしいと思ったので、ガイドブックで確認した。先程の分岐は右へ行く方が正しいことが分かった。適当な所で右に曲がり尾根に戻った。尾根上にも、はっきりした道は無かった。道の無いところでも下草が少ないので歩きやすかった。そのまま尾根を高い方へと適当に登って山頂を目指した。予定外に原始的な山登りを楽しむことができた。
- 山頂直下の尾根の右手に笹原があり、そこだけ展望が開けていた。河津の町が見えた。アセビが多く、白い米粒のようなつぼみがたくさんあった。
- 平らで樹林におおわれた山頂に着いた。付近にはブナやヒメシャラ、アセビの木が多かった。誰もいない静かな山頂だった。北東方面の展望が開けていた。天城山を見ながら昼食のおにぎりを食べた。
- 下りは北東へ新山峠を経由して下山した。寒天林道をバス停へと下る途中、右手の斜面にミツマタの群生地が有った。足場は悪かったが登ってみた。黄色い花がたくさん咲き、あたりには芳香がただよっていた。
- 寄り道をしたため、バスの時間が迫ってきた。最後は急ぎ足でバス時刻の5分前にバス停に着いた。
- この日、山中では誰にも会わなかった。