- 湯の森でバスを下車した。民家の軒下のような場所を通ると登山口に着いた。遭難者の情報を求める看板が立てられていた。
- 山道は最初から急坂でペースをつかみにくかった。尾根に出ると植林帯の登りになった。標高620mで休んだときに、ガイドブックのコースタイムが少しきつめの事に気がついた。以後、少し急ぎ目に歩いた。620mの先で左から道が合流した。入島(にゅうじま)からのものと思われたが、標識はなかった。
- 杉と桧の植林が続いた。標高950m付近で左手の入島方面からガレ場が迫っていた。木の間から十枚山が見えた。
- 標高958mの少し勾配がゆるくなったところで休んでいたら単独行者が下りて来た。「天気が良くてよいですね」と挨拶された。上に誰かいるか聞いたところ誰もいないとの事だった。標高1050m付近で少しだけ植林帯が途切れた。
- 山頂は北側の展望が得られた。杉の木が伸びてきており、1-2年後には見えなくなりそうだった。西側へ向かうテープ印に導かれて5分ほど進むと三角点峰が有った。西側の植林が刈られ、大無間山が見えた。日が当たり暖かだった。切り株に腰を下ろしゆっくりと休んだ。
- 下山は南側の奥仙俣(おくせんまた)へ向かった。次のピークを登ったところは東側にガレ場が迫っていた。登山道を外れガレ場の縁まで行くと十枚山が良く見えた。そのままガレ場の縁に沿って歩いて行くと南東方向の尾根に引き込まれてしまった。登り返して「静岡県山岳連盟」と書かれたピンクのテープを見つけてほっとした。約10分ロスだった。登山口に遭難者の情報を求める看板が立っていたが、ここで間違えたに違いないと思った。
- ところどころテープの道しるべが付けられた道を下って行くと二王峠に着いた。伐採跡がススキの原になって迫っていた。作業用のモノレールが敷設されていた。モノレールに沿って尾根を下った。途中でモノレールは尾根を離れ急斜面の方へ下っていた。モノレールから離れ尾根をそのまま進んでいくと再び道を見失った。30mほど戻ると下って行く正しい道が見つかった。後はモノレールの横をジグザグに下って行った。
- 奥仙俣からは車道をのんびりと歩いた。次の口仙俣集落までは車はまったく通らなかった。口仙俣ではイノシシ狩りから戻ってきたハンターに出会った。「奥仙俣まで30分だ」と教えてくれた。奥仙俣の手前で車が止まってくれて「乗って行くか」と聞かれた。「バスがすぐにあるので」と断った。「山は気持ちよいよね」と挨拶をして分かれた。奥仙俣からのバスの運転手は山好きで「道は分かりにくくなかったですか?以前ここに登ったときに途中で間違えてしまったんです」と話していた。
- 結局、この日、山中で会ったのは一人だけたった。人の少ない山は難しいと再認識した。