- 泊駅からタクシーに乗った。運転手によると夜の間に10cmの新雪が積もったとの事だった。道は最終人家のある雁蔵(がんぞう)まで除雪されていた。タクシーを下り、作業現場の飯場のような建物の軒下を借りてクロスカントリースキーの準備をしていると中から50歳くらいの男性が出てきた。上のスキー場跡を通って反対側に下る事を説明すると、「昔、上のスキー場で滑ったことがある」と懐かしそうに話したくれた。
- スキーを履いて登り出した。良い天気だった。先行者のスキーのトレースが有った。自然歩道の看板の所までは積雪約15cmだった。看板を過ぎると一度も除雪されていないらしく積雪は70-80cmになった。粉雪でスキーを滑らすたびにキュッキュッと音がした。暑くなり途中で上着を脱いだ。木から雪解けの雫が盛んに落ちていた。標高が上がってくると海が見えてきた。
- 途中で「上まで一度行って滑ってきた」と言う40歳くらいの男性スキーヤーとすれ違った。やがて横からのトレースが合わさり先行して登って行くスキーヤーが前方に見えた。
- スキー場跡地の有る三峯(みつぼ)グリーンランドでは先行のスキーヤーがゲレンデを直登しているところだった。ゲレンデを斜めに登り林道に出た所で一休みした。海が見えた。やがて先行のスキーヤーが滑り降りてきた。65歳くらいの男性だった。「良い天気ですね」と挨拶した。男性スキーヤーはターンを描きながらゲレンデを下りていった。
- 林道からは林の間を山頂の一角にある最初のピークまで登った。避難小屋が有った。日本海がきれいに見えた。更に少し木のうるさい稜線を上り下りに苦労しながら三つ先のピークまで進んだ。GPSで確認したところでは地形図に337mと記載の有る峰だった。積雪は1m以上有った。木の幹に座って昼食休憩にした。
- 何度も転びながら往路を小屋のピークまで戻ると70歳くらいの女性スキーヤーがいた。「どこまで行ったのか」と聞かれたので「すぐ先のピークまで」と言うと「南保(なんぼ)富士まで行ったのかと思った」と言われた。すぐ下の集落を示して「あそこに住んでいる」と教えてくれた。東京から来たことを告げると「この付近には良い山がたくさんある」と山名をいくつか上げて説明してくれた。残念ながら知っている山は一つも無かった。
- 華麗に下る女性スキーヤーに続いて転びながら林道まで滑った。このまま転がりながらゲレンデを下りたくなかったので、林道を迂回して下山する事にした。トレースは無かった。緩い下り坂の林道を延々と下った。新雪のため下りでも疲れた。
- やがて平地が見えてくると動物よけのフェンスが有った。フェンスを開閉して通ったところが林道の出口だった。スキーを脱ぎ除雪された道を少し下ると「南保高畠」と表示された交差点に出た。タクシーを呼び泊駅に戻った。