- 宿に余分な荷物を預けてから歩き始めた。雪が降っていた。車道を温泉館の前まで歩き、駐車場脇ででワカン、スノーシューを付けた。風が強く、ワカンを入れていたビニル袋が30mほど飛ばされた。
- 最初にキャンプ場の横を通過した。トレースが有った。ミズナラの森で少し日が差していた。新雪を踏みながら快適に登った。しばらくすると30歳位のカップルが下りてきた。「山頂まで登りましたか」と聞くと、「登った」との返事だった。これは楽勝だなと思った。
- やがてブナ林になった。風が強くなった。40歳くらいの女性単独行が下りてきた。「上にまだ誰かいますか」と聞くと「いない」との返事だった。フードの下から縁に雪の着いた帽子が覗いていた。これは上は少し厳しいのかしらと思った。
- 登るに従い、風が強くなって行った。真新しいトレースにも雪が吹き込み、やがて不明瞭になってしまった。手袋を二重にしていても手が痛くなり、手袋の中で握ったり、立ち止まって手を衣類の下に入れたりして暖めた。メンバーのうちの一人はホカロンを使って暖めた。
- 1210m地点で、メンバーのうちの一人が「ここで待っている」と言い出した。風の強いところで別れ別れになるのはかえって危ないと思い「ここでやめるなら全員で引き返します」と伝えた。結局、全員で登り続ける事にした。
- 残り100mは特に風が強かった。右手に雪庇の有る幅7-8mの尾根の急登だった。雪庇に近づかないようしながら強い風の中を登って行くと、20歳代のカップルのスキーヤーが下りてきた。スキー場から上を回ってきたとのことだった。女性は遅れ気味で滑ると言うより横歩きで下っている感じだった。すれ違った時に、「雪庇が終わればブナ林で快適になりますよ」と励ました。「どうもありがとうございます」とお礼を言われた。
- 勾配が緩くなると山頂に着いた。風は心持ち弱くなった。「鎌倉森 冬期限定」と書かれた山頂標識が、雪から出た樅の木に取り付けられて風に揺れていた。三脚を使って写真を撮る気にもならず、すぐに下山を開始した。。
- 山頂直下の硬い斜面では、スノーシューでは歩きにくかった。メンバーの左足スノーシューが不調になったので、急斜面が終わるまで片足のスノーシューを持ってあげた。硬い斜面が終わってからも登りの自分たちの足跡が消えそうで下る方向が分かりにくかった。目印のピンクテープをたどりながら下った。下るに従い次第に風も弱まり快適になった
- 下まで来ると登りの時より風が和らいでいた。温泉館前でワカンを外し、車道を宿に戻った。宿の前のスキー場は、すでに営業時間を終了していた。宿の温泉に入って冷たくなった手を温めた。