- 津久見港からの高速船は、さほどの揺れも無く保戸島港に滑り込むように着いた。港の裏の斜面には住宅がびっしりと建っていた。待合室を兼ねた売店でトイレを借りてから歩き出した。
- 民家の間の細い道から階段の道へと登っていった。お寺の横には魚の供養塔が建っていた。天気は良く振り返ると港の景色が良かった。お寺の先に「遠見山登山道入り口」と標識の立つ登山口が有った。
- 登山道は照葉樹林の中の道で階段が付けられていた。やや急で石と落ち葉が多く、少し歩きにくかった。標識が所々に有った。山頂近くまで明瞭な登山道が続いていた。
- 山頂が近づいて坂が緩くなると急に草が増え背丈を超えるヤブになってしまった。仮設トイレが草のなかに埋もれそうになっていた。やがて草が薄くなると山頂標識が有った。更に進むと、コンクリートが打たれた旧海軍の施設跡になって歩きやすくなった。コンクリートの先まで行くと展望が開けた。豊後水道が青く光り、行き交う船が見えた。遠くには四国がうっすらと見えた。
- 下りは往路を戻った。下りはじめのヤブは道が分りにくく手分けして道を見つけた。登山口まで下ってからは、少し遠回りをして町の中の細い道を通って港まで下った。
- 港で一休み後、予約したテイクアウトの「本マグロのひゅうが丼」を受け取りに港の雑貨屋に入った。女性店主が、お客が受け取りに来た事を食堂に連絡してくれた。届くのを待つ間に「山に登ってきんです。すごい草で大変でした」と店主に伝えると「年に一度くらい草刈りしてたんですけれどね」との話だった。「今日は風が強いので船が揺れたでしょう。昨日は欠航だったんですよ」と言われた。しばらくすると作りたての「ひゅうが丼」が運ばれてきた。
- 港のベンチで腰を下ろして「ひゅうが丼」をいただいた。ごまだれで味付けした本マグロがご飯の上に乗せてあり、暖かい味噌汁が付いていた。おいしかった。やがて一陣の風が「ひゅうが丼」のプラ製の蓋を海に吹き飛ばしてしまった。あいにく堤防が高過ぎてストックでは届かなかった。待合室に行き係の女性に伝えると、「落ちないよう気をつけてね」と言いながら港の手すりに結わえてあった長い取っ手の付いたタモ網を貸してくれた。無事回収できた。食後は、風が冷たかったので待合室に入って休んだ。
- 帰りの船は風が強くなったせいでて窓ガラスに波しぶきがバサバサとかかった。津久見港では電車まで時間が有ったのでJAの物産館に寄りお土産の蜜柑(しらぬい)を買った。