- 皆野(みなの)駅には他に10人程の登山者の団体がいた。団体はタクシーで出発して行った。バス停の温度計は0℃だった。横のコンビニに入ってコーヒーを飲みながらバスを待った。
- バスの乗客は他に誰もいなかった。風戸(ふっと)入口で下車して歩き出した。良い天気で、登山道には明るい日が差し、木に残る枯葉が赤くなってきれいだった。
- 落ち葉の多い登山道から車道に出ると風戸集落だった。鏡肌(かがみはだ)と呼ばれる断層跡が有った。車道を一登りすると登山口で、ベンチの有るあずまやが有った。谷を挟んで簑山が見えた。
- 登山道をしばらく登ると猿岩に着いた。高さ7-8mの岩にはトラロープが付いていた。多少緊張しながらロープ沿いに三点確保で登った。岩の上は展望が良く城峯山が見えた。お菓子を食べて気持ちを落ち着かせてから岩を降り始めた。誰も来ないと思ったのに登山者の鈴の音が聞こえてきた。下りは足場が見えにくく分かりにくかった。手掛かりの太さ8cmほどの潅木につかまった拍子に根元に引っかかっていた数cmの石を落としてしまった。意外に大きな音がした。下まで来ていた登山者に「危ないから気をつけて下さい」と言われた。「申し訳ありません」と謝り、以後慎重に下りた。
- 山頂の200mほど手前にはあずまやが有った。先ほどの登山者が着替えをしながら休んでいた。「さっきは申し訳ありませんでした。山頂はこっちですね」と言って通り過ぎた。5分ほど登ると山頂で両神山や秩父盆地の眺めが良かった。誰もいない山頂で20分程休むと先ほどの登山者が近づいてくる鈴の音がした。あまり顔を合わせたくもなかったので、荷物を手に取って出発した。
- 下山は稜線の岩場を西に向った。札立峠までの間で単独行とすれ違った。札立峠を過ぎると高さ3m位の岩「如金(にょきん)さま」が有った。岩の基部を巻いて進んだ。
- 「如金さま」の先には鎖が5箇所有った。3本目までは登り、4本目は下り、5本目は手すり状の登りだった。「皆野アルプス」の標識が有る展望台が有った。大前山は潅木に囲まれていた。
- 大前山からの下りが最後の鎖で高度感が有った。鎖を避けて横のロープを慎重に下った。鞍部の分岐で天狗山に向う道と別れ、右へ植林のトラバース道へと進んだ。やがて天狗山を経由してきた道と合流し、大前集落に着いた。
- 一休み後、再び登山道に入って谷沿いに下った。最後に木橋を渡ると車道に出た。左手に一登りで秩父華厳ノ滝に着いた。寒々とした滝には誰もおらず茶店も閉まっていた。
- この日、山中では登山者2人に会っただけだった。