- 無人駅の下唯野を下りたのは一人だけだった。坂を登り台地の上に出た。大野盆地の回りの白い山々が見えた。車道の終点でスパッツとワカンを付けた。山道に入るとすぐに急な尾根の末端に着いた。ところどころ地面が見えていた。390mのコブまで30m間隔位で目印代わりのビールの空き缶が木に着いていた。
- 550mの小ピークで幕営予定だったが、十分明るいので666m標高点までに変更した。幕営地は左半分が杉植林、左半分が松などの雑木林だった。木の間から大野市街が見下ろせた。夜、夜景がよく見えた。
- 翌朝、雪は適度に固まっていたので、ワカンもアイゼンもザックにしまい、暗いうちに出発した。曇っていて星は見えなかった。800m付近で植林は終わり雑木林になった。850mで夏道と合流した。昨日のものと思われるスノーシューの足跡があった。
- スノーシューは1040m三角点を迂回していた。少し迷ったが、予定通り1040m三角点に行くことにした。急坂をピッケルを使って登った。途中で荒島岳の鋭い山頂が見えた。まだ、はるか上でがっかりした。
- 次の小荒島岳の登りでもピッケルを少し使った。シャクナゲ平には踏み跡がたくさんあった。テントの設営跡も2箇所に有った。
- シャクナゲ平からの登りではブナの木が目立つようなった。枝は霧氷におおわれていてきれいだった。急な登りになったのでアイゼンを着けた。雪はしまっていてアイゼンが良く効いた。ピッケルも使って軽快に登った。
- 山頂には誰もいなかった。祠の屋根だけが出ていた。風が吹いて寒いので山頂の西側のくぼみに下りて休んだ。やがて登山者が3人次々とやって来た。全員10-12本歯のアイゼンをしていた。
- 下りの途中、急坂の上ですれ違った単独行者は「こわかった。こんなところは初めてだ。」と言っていた。軽アイゼンしかしていなかった。「帰る頃は雪もやわらかくなるので大丈夫」と言うと、少し安心した様子だった。次にすれ違った女性4人組も軽アイゼンだった。一人のアイゼンの底に氷が固まって取れなかったので、ピッケルでたたいて落として上げた。
- テント場に戻るころには雪はすっかりゆるんでいた。テントを回収して出発した。390mのコブ手前で道が少し分からなくなり地図で確認しながら下りた。登るときは気が付かなかったマンサクがたくさん咲いていた。