- 福用駅で下りた乗客は一人だけだった。車内から呼び止める声がしたので何事かと思ったら座席に携帯を忘れていた。近鉄特急のお古の車両で、気持ち良くリクライニングシートに座っていたらズボンのポケットから携帯が滑り落ちたようだった。
- 集落の中の茶畑を通り、標識に導かれて山道に入った。最初の竹林を登り、小さな流れのある沢を渡り、斜面を登っていくと尾根に出た。照葉樹林の尾根の山道にはモノレールが横に取り付けられていた。やがて茶畑になった。大井川の反対側の山を望むことができた。
- 茶畑を過ぎると杉と桧の植林帯になった。標高400m付近で左側が伐採地になり南隣りの経塚山が見えた。更に植林帯を登っていくと標高500m付近で下りに通る予定の「なだらかコース」との合流点に着いた。合流点からは勾配がゆるくなった。やがて林道に出た。ほとんど平坦な林道をしばらく進むと馬王平と呼ばれる広場に出た。正面には八高山が見えた。ベンチが有った。看板に馬王平の名前の由来が書かれていた。
- 馬王平からは再び山道の登りになった。照葉樹の混ざる植林帯に尾根だった。木にはところどころにイヌツゲ、リョウブ、アカガシなどと標識がつけられていた。照葉樹が一番豊かになった地点のすぐ上には大きなテレビ用の電波反射板が有った。説明板には昭和37年に設置されたと記載されていた。尾根を更に登って行くと山頂直下には白山神社が有った。
- 山頂は北東側と南西側の展望が良かった。富士山が見えるらしいが気温が上がり霞んでしまい近くの山しか見えなかった。南アルプスの聖岳がかすかに見えた。
- 下りはしっかりした登山道だったので速く歩くことができた。白山神社にノートが置いてあったので読んでみたら、山頂で出会った菊川からの「この山に50回目」と言っていた登山者の記載が有った。分岐まで往路を戻り、分岐からは「なだらかコース」を通った。こちらの方が登りに通った「急斜面コース」より植林が少な目だった。途中で樹林の間から八高山が見えた。
- 最後は茶畑を通り、少し車道を下ると線路脇に出た。線路に沿って駅まで車道を歩いた。駅前の売店が郵便局兼切符売り場になっていた。
- この日、山中では20人ほどの登山者と会った。普通の登山者は駅前の駐車場に車を置いて登るらしく、大井川鉄道を利用する登山者はいなかった。