日本の床屋でも、ちゃんと伝えたつもりなのに自分の思い通りの髪型にしてくれる事は少ない。 「海外になれば、なお更大変だろう。」 そう思って、オーストラリアに来る前、自分で頭を刈る練習をしてきた。 オーストラリアに来て1ヶ月程経った頃、髪の毛も伸びてきて、ホームスティ先で初めてその成果を発揮する事になった。 ちなみに日本で1度試した時は、なかなか上手く刈れていた。 それで少し油断していたのかもしれない。
 最初は順調だった。 ある程度長さもいい感じになり、私の髪の量はかなり多めの為、すき刈りしようとしたその時。 アタッチメントを替え、頭の上部に近づけた瞬間、 「ジョリ!」 いきなり凄い音がして、髪の毛がごっそり切れ落ちるではないか!! 「なぜ?」 と思ってバリカンを見ると、スイッチが、「スキ」 ではなく、「カル」 になっていた!! 本来、アタッチメントを替えると、スイッチは 「スキ」 の方にしか動かないのだが、アタッチメントがしっかりはまっていなかった為、「カル」 の方に動いてしまったのだ!
 髪の長さを確認すると、指でつまめない程になっていた・・。 「どうしよう。」 しばらく悩んでいると子供が帰ってきたので、「どう思う?」 と聞くと、 「You should go to hairdresser.」 と、冷めた口調で答えられてしまった。 「はぁーー。」
 でも切れてしまったものは、もうどうにもならない。 とりあえず違和感が無いくらいに、ごっそり切れてしまった周りも短くして前髪だけ残し、スポーツ刈りのような頭にしておいた。 しかも虎刈りの。 
 その後、友達に少し修正してもらい、なんとか見られる頭になったが、学校へ行くのは恥ずかしかった。 まだ修行が必要だ。 

オーストラリアの床屋

 オーストラリアの床屋はとても安い。 男のカットだと、15ドルくらい。 安い所だと11ドルでしてくれる。 でも絶対利用はしたくない。 ラウンド中会った人は、キノコの様な頭にされていた。 きわどく刈り上げられ、長い所との差がはっきりしている、東南アジアで流行っていそうな髪型だ。 「アジア人はこんな頭にすれば喜ぶと思い込んでるんじゃないか?」 その友達は嘆いていた。 
 しかし現地の人の頭は格好良くなっているので、決して下手な訳では無いと思う。 ただ日本人の髪型を誤解しているのだ。

脱色

 「やっぱりオーストラリアには茶髪が似合うかな?」 そんな単純な思い付きで、脱色する事にした。 ブリーチを買いにいくと、店のおばちゃんが、 「あなたの髪はとってもダークなので、この強力タイプを2回やらなければ落ちない!」 と言うので、言われる通り強力タイプを買って家に帰った。
 粉末と液体を混ぜて作るタイプ。 匂いは日本のと同じだった。 でも頭に付けると、日本のブリーチでは感じない刺激があった。 頭の皮膚が妙にヒリヒリするのだ。 私の髪は色が抜けにくいので、通常は1時間はつけたままにしておく。 しかしこの時は、不安になって30分後、鏡を見にいった。 そこでびっくり! 髪の毛は茶色を通り越して、金色になっているではないか!! 「少し茶色になるだけで良かったのに〜。」 強力タイプを勧めたおばちゃんを恨んだ。
 しかし、しばらく鏡を眺めたあと、「金髪もなかなか似合うかもな。」 と思い始めた。 まだムラがあったので、更にブリーチを付けて色を落とす。 あと、私の眉毛はかなり濃いので、「金髪なのに眉毛真っ黒はマズイだろう。」 そう思って、眉毛にもブリーチを付けた。 しかしこれはやり過ぎだった。
 鏡を見ると、まるで眉毛が無い人みたい。 とても人前を歩ける顔ではなかった。 またヘアカラーで色を着ければ元に戻るが、買いに行かなければならない。 そのままの姿で買いに行く勇気は無く、日本から持参した〈マッキー〉で眉毛を黒く塗ってスーパーへ行くハメになった・・。

 

 

眉毛まで金髪・・
 眉毛まで金髪にしてしまった私。
 ちょっとやり過ぎた。

戻る