読んだ!?★3
チグリスとユーフラテス
集英社・刊。ハードカバー。¥1,800(本体)

 このコーナーを立ち上げるにあたり、書評の項目に対して@が自らに課したテーマは、”我流の挿絵を付ける”ってコトでありました(-_-;)。しかし、すでに3回目にして、……辛いっす(ToT)ぐぉぉー
 さて、その辛〜い3作目が、新井素子の新作SF「チグリスとユーフラテス」でございます。作品の内容自体は、本のカバーの煽り文句にもあるように「遠い未来の一惑星をめぐる、新井素子の今世紀最高傑作!」と言う通り、「いや〜久々に新井SF読ませて貰いました(´▽`)ノ感動感動♪」というものであります。だがしかし、登場人物が少ないというか偏っているというか、よく考え直してみると凄いエグい(^-^;)作品ではありました。どうりで、本の中に挿絵が1枚も無かったワケだ(-。-)。。。
 それはさておき、内容のそのものについてですが、人類が移民しやがて人口爆発期を経て種の終焉とも言うべき少子化により滅びていく惑星史を、それぞれの時代の特権階級に属した4人の女性と、最後の子供として生まれた老「幼」女・ルナの交流により語られていくというもの。新井素子お得意の「登場人物の主観による展開」という構成&記述が、存分に発揮されていて「うーん、これよこれ、これが新井SFよ〜っっっっ」って久しぶりに叫んでみたい気分です。科学的考証の度合いがSFとしての深さを量る基準ではなく、語るテーマと切り口が大事なのである、ということをあらためて思い知らされます。
 (ついでに言うなら(^-^;)、一人称”あたし”、”莫迦”、聖女=”レイディ”、と云った表記方法がお目々に懐かしひ。)
 そして、タイトルの「チグリスとユーフラテス」というのは物語のラストを飾るモノとして登場します。あとがき・対談等で、作者の新井素子はこのラストシーンの為にこの物語を書き上げたというようなことを語ってます。作品自体はとある惑星の人類が終焉へと収束していくストーリーでしたが、物語の作られる過程は一粒の種から芽が出て枝葉をつけて繁らせて拡がっていくものであったようです。
 ちょいと分厚い本ですが、新井素子の独特の癖のある語り口でも読みこなしましょうと言う方は、必ず読んでみて下さい(^^;)。
「ルナちゃん」と「レイディ・アカリ」……(-_-;)