2002年5月7日

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欧州遠征 現地レポート
レアル・マドリード×日本
(スペイン・マドリード、エスタディオ・サンチャゴベルナベウ)
天候:雨、気温:8度、キックオフ:21時35分(日本時間=8日4:35)

レアル・マドリード 日本
1 前半 1 前半 0 0
後半 0 後半 0
26分:コンゴ

 

<交代出場>
●日本
  H T :久保竜彦(柳沢 敦)
  H T :小笠原満男(森島寛晃)
  H T :服部年宏(三都主アレサンドロ)
  H T :市川大祐(明神智和)
 58分:福西崇史(戸田和幸)
 65分:中澤佑二(松田直樹)
 71分:山下芳輝(鈴木隆行)
 気温9度、どしゃ降りの雨という最悪のコンディションの中、日本はW杯に向けて残り3つとなるレアル・マドリードとの一戦に臨んだ。
 序盤は、雨のために芝が滑り、早いボール展開の中、レアルの左サイド、ロベルト・カルロスを起点とした攻撃、また中盤での正確なパス回しに日本は立ち上がりのプレスがきかず苦戦をする。攻撃では常に先手を奪われ、ボールが中盤でうまく回らず、単調な展開に終始してしまいシュートまで打つことができない。
 前半13分、稲本潤一(アーセナル)がファールを誘い、ゴールほぼ正面からフリーキックを三都主アレサンドロ(清水)が蹴る。しかし大きく外れてしまい、その後も稲本のロングシュート、またオフサイドラインを抜けた、負傷中の柳沢 敦(鹿島)が30メートル近いループシュートを試みるが、これは失敗。
 27分、左サイドからのフリーキックを与え、ここでロベルト・カルロスがキッカーとなる。ゴール前では、曽ケ端 準(鹿島)が森島寛晃(C大阪)と柳沢の2枚の壁に対して直接狙う可能性を示唆して声による指示を出すが、ゴール前でオフサイドをかけた瞬間、宮本恒靖(G大阪)のマークをすり抜けたコンゴに飛び込まれ、オフサイドポジションながら、スネのあたりで決められてしまった。
 この後、レアルは「出場30分まで」と、事前に言われていたフィーゴ、ロベルト・カルロスが見事に30分で交代。雨は激しくなる一方で、序盤には滑っていたボールが今度は水たまりに引っかかるようになって、ボールが動かなくなってしまった。
 前半は日本のシュートわずか3本、コーナーキックもなく、レアルにボール支配率でも70%を占められて、試合をさせてもらえなかった。
 後半、日本は、西澤明訓(C大阪)の急性虫垂炎での緊急手術による離脱のために、負傷しながらギプスをつけて強硬出場をした柳沢が久保竜彦(広島)に、三都主が服部年宏(磐田)に、明神智和(柏)が市川大祐(清水)と、森島が小笠原満男(鹿島)と交代して挑む。
 しかし後半も、悪化するピッチコンディションの中で圧倒的にボールは支配され、またファール数でも(後半15分時点で)レアルの12に対して、日本は25と、反則で止めるケースが目立つ。
 さらに、昨年4月のスペインとの親善試合以来となる中澤佑二(横浜FM)が出場し、また、今季開幕から絶好調の山下芳輝(仙台)は昨年のキリン杯パラグアイ戦以来となる出場を果たしたが、追加点は奪うことはできず、「フェスティバル」と監督も位置つけていたゲームは0−1のまま終了した。
 代表は11日まで現地で合宿(すべて非公開)を続けたあと、ノルウェーに移動。14日の親善試合に備える。

    ◆試合後のコメント

トルシエ監督(抜粋)「(オリンピックの父である)クーベルタン公爵の名言ですが、(今日の試合は)参加することに意味があった。ノルウェーは雪になると言われ、1。2万キロの長旅があり、今日はきちんとした試合ができなくてとても残念です。私は説明ができないが、日本には解説のスペシャリストがたくさんいるので、論評は彼らに任せる。
 前半の攻撃はあまりにも単純すぎて、まだピッチがキレイなとき(コンディションが悪くなる前の時間帯)に選択肢があったはずだ。局面、局面での選手の動きには不満がある。しかしDFのスピリットは良かったし、一番の満足は稲本の出来にある。いずれにしても、国際経験がまだ浅いことは明らかである。
 今日は特に問題点というのはなかったし、4年を通じてチームを見てほしい。失点をしたからといって何かを変えることはしないし、今後、ノルウェー、スウェーデンでなにか新しいものを試すことはない。今まで競ってきた今日のメンバーが中心になるし、FWでは高原(直泰、磐田)はW杯には出ないだろう。西澤についても心配だ。中田、小野も、今後大きな戦い(カップ戦決勝)を控えている。
(西澤が倒れて、ベテランのFWを招集したらどうかという声が高まっていますが、の問いに)誰がそんなことを言っているというのだ。もちろん、彼が(※誰を指したのかは不明)面白い選手だということを知っているし、みなが好きだというなら誰もが好きな選手である。ただ、Jリーグでは今季得点を取っていないし(※もしベテランがカズ、中山を指しているのなら、2人とも得点をしている)、Jリーグは0−0の試合ばかりだ。彼の技術なら、(浦和の)エメルソンのほうがずっと上手い。ですから(FW不足を嘆くなら)みなさん、エメルソンの帰化を願ってほしいと思います(意味不明)。(ではベテランは選ばないのですか、と聞かれて)NO、NO(選ばないの意味)。23人は何よりグループで選ぶもので、チームのフィロソフィー(哲学)に合うメンバーが入る。個人技で何かしようとする選手は全く入らない」

曽ケ端 準(鹿島)「(失点の場面について)ディフェンスがラインを上げてオフサイドを取りに行った。オフサイドではないかと思いましたが、アウェーですし、レフリーがそう判断したんですから仕方ありません。壁の位置を調整していたのは、ロベルト・カルロスが左足で直接狙ってくるように見えたのでニアを切っていこうと思った。ピッチはいいに越したことはないけれども、こういう中でできるだけ落ち着いた試合ができたし、今の自分にとっては試合をこなしていくことが本当に大事になると思う。難しい試合でした」

松田直樹(横浜FM)「昨年のサンドニでの試合(対フランス、5-0)に比べれば、下は硬いけれども滑っていた。こんな状態の中でも試合をできたのは慣れでしょうね。もっとも、レアルは本気ではないし、ロベルト・カルロスもあんなもんじゃないでしょう。失点の場面は、僕はオフサイドじゃないと思う。流れの中で失点したのではなくてよかったと思う」

三都主アレサンドロ(清水)「もっとやりたかったけれども、グラウンドの状態がひどくてスピードに乗ることができなかった。前半にチャンスを作っていたけれど、難しい試合になった。(フィーゴと対面した場面は)コウジ(中田浩二)がカバーしてくれていた。レアルは個々の技が非常に高くて、こういうチームとできたことはよかった」

稲本潤一
(アーセナル)
「こちらに来てからコンディションがすごく上がってきている。試合そのものはいい経験になったと思う。ただ、向こうのモチベーションはあまり高くはなくて……。もっと自信を持ってプレーをすればいいと思うし、今日は90分できたのがよかった。最後は足がツリかけていた。また1週間挟んですぐもう1試合ノルウェーとやらなくてはならないから、しっかりと体を整えていきたい。ディフェンスはもう少し修正点があるように思えます」

宮本恒靖(G大阪)「立ち上がりは攻撃のほうで落ち着きがなく、ディフェンスラインと、ズルズル下がり気味になってしまっていた。レアルは、日本の弱点のどこをつけばゴールが奪える、とわかるのが非常に早い時間帯だった。サイドから崩す相手の場合のラインの上げ下げ、セットプレーでの弱点を克服していきたい」

戸田和幸(清水)「見ての通りです。本当に悔しい。あれだけ余裕を持って中盤でボランチに回される結果になってしまった」

明神智和(柏)「こういう悪い状況の中でもなんとかできることがわかった。それは収穫でした。ただ、プレッシャーを前からしっかりかけていけなかったことは残念です」

市川大祐(清水)「途中から入ったので、攻撃に参加していっていいのか、どこに残ればいいのか、それがよくわからない部分もありました。芝生も芝生でしたし、いいところでやりたかったという気持ちはあります。ただ、今日は自分なりにアピールできたと思う。疲れがたまっているような感じがするので、明日からもうまく調整していきたい」

柳沢 敦(鹿島、ハーフタイムでの交代後に、カゼによる発熱でチームとは別行動で帰宿)「とにかく疲れた。手は大丈夫です。交代して、ロッカーに戻ったときに熱が出始めた」

日本サッカー協会/岡野俊一郎会長「まず、亡くなった宮本征勝さんにご冥福をお祈りいたします。彼はドイツのクラマーさんからプロフェッショナルというあだ名を付けられていたほど素晴らしい選手だった。ホンダへ行って鹿島へ行って初めての優勝を果たして、指導者としても力を発揮していた。63歳で死なれるのは本当に耐えられない。これで本当に、東京、メキシコ(の代表)で4人の選手が亡くなってしまった。何事も順番があって、若い選手が先に逝ってしまうのは本当に残念だ。
 今日の試合については、レアル100周年祭ということで、こういう試合をアウェーでやれるのは2度とないしいい経験でしょう。収穫は、大勢の選手が出られたということだと思う。ディフェンスについては(修正点が)あるとは僕は思っていない。取られた点もオフサイドのようなものだったから。1点で抑えたんだし、チームが安定してきたと思う」


「ストレス性疾患」

 ハーフタイムにロッカーに戻った柳沢は、身体のだるさを訴え検温をしたところ発熱していたという。その後、体調が回復しなかったために、「窮屈なバスとは別に、広い車に乗せて眠らせていきます」(広報)とのことで、別行動で宿舎へ戻ることになった。このため、ミックスゾーンを通過しなかったので表情はわからない。ギプスをつけたまま、転倒のたびにひやひやしたであろう手の甲は「大丈夫」とのことだったが、広報を通じて発表されたコメントは、「とにかく疲れた。その一言です」というものだった。選手は普通、手を変え品を変え、さまざまな表現を使って自分が無事であることを伝えようとするもので、本気で「疲れた」と言ってしまうようなことはあまりないだけに、本人不在ながらインパクトのある言葉に聞こえた。
 レアルの選手は「ひどいコンディションでの試合だったために、選手の体調を考え、全員帰します。明日、午前11時に練習に来てくださればお話します」と広報が説明。メディアが殺到していた目的のフィーゴ、ロベルト・カルロス、モリエンテス、その誰もが通過しないまま、日本代表を相手にしたはずのこの試合が、彼らにとっては親善試合以下の存在であったことを、ピッチの上ではなく示した恰好となってしまった。

 柳沢のコメントを、何を軟弱なことを、プロのスポーツ選手ではないか、と叱咤もできる。気温が一気に9度まで落ち、北風が吹き荒れる中で取材をし、雨が激しく吹き込むミックスゾーンで、取っているメモのボールペンのインクさえにじんでしまうような状況の中、体力を使い果たし、約1時間半バスに揺られて今、ようやくホテルに到着。食事もしないまま、また、8日の午前7時にはホテルを出発しなければならない記者もたくさんいる。しかし、原稿を書き上げるためにロビーで打ち合わせをし、パソコンを打ち続けなくてはならない。今、午前2時である。
 こんなことは、この仕事の日常であるから、誰も不満や文句は言わないし、それが取り立てて特別なことなどと誰も思っていない。しかし、こうした悪条件での仕事を考えるとき、自分も含めて、まさに柳沢の言う「とにかく疲れた、その一言」である。スポーツでは強力なライバルや、困難と戦う以上に、さまざまな「ストレス」と戦うことがもっとも大きなテーマになることを教訓にできる試合だった。

 この日の試合を分析やコメントするのは、監督も「非常に難しい」と話したが、その通リのはずだ。柳沢のコメントが象徴したのは、日本代表の精神面的な負荷である。“内的ストレスの形”である。国内でコスタリカ、スロバキア、ホンジュラスと戦い、その間、カップ戦があり、合宿をこなし、みな疲れている。チームコンディションでは、今日はドン底だったと思う。
 試合前、西澤が緊急手術をしたことが発表された。ホームで迎えるW杯は、ストレスが少ないはずだった。予選もない、環境も整備されている。しかし、良し悪しではなく、競争をその哲学の中心に据えた監督、チーム編成とメンバー決定、そこに至るまでの道のり、こうしたストレスに対して選手は正直に動揺すると思う。西澤の経過はもちろん良好だが、試合や遠征のたびに離脱者が出る状態は、尋常ではない。
「じつは怖い。原因がわからないし、次は自分に何か起きるんじゃないかと不安になる」と、ある選手は率直な感想を話してくれたが、誰もがこうしたストレスを感じているのではないか。まして17日の23人発表までのことを思うとき、現在がまさに精神的疲労度のピークではないか。

 一方、チーム戦術、テクニックといった面でも“外的なストレス”が大きなひずみを生んでいる。前半27分の失点のシーンである。
 もちろん、オフサイドの判定でもおかしくない微妙な位置ではある。しかし、松田直樹(横浜FM)が「あれはオフサイドではない」と言ったように、それを指摘したところで全く意味がないということだろう。問題は、ゴール前でああしたオフサイドをわざわざ取りに行かねばならない理由であり、極めて高いリスクをなぜ追うのか、セットプレーでああした「ゾーンでの守備」のリスクをどうして消せないのか、こちらが重要である。
 ああしたやり方を貫く限りは、オフサイドっぽいよね、といくら言ったところで失点は重なる。今季5失点のうち、4失点がDFが招いたミスからのものであり、完全にマークを離された結果である。
 攻撃でのストレスも重症である。
 この日FWが放ったシュートは3本に留まる。足場の悪い中前線からボールを追い続ける鈴木隆行(鹿島)のストレス、手をつけないほど痛む甲にギプスをつけて試合に臨まなくてはならなかった柳沢が負ったであろうストレス、得点の形が作れなかったストレス。日本代表の抱える、それぞれのストレスの重みと症状を、この試合ほどはっきり示したものはなかったのではないか。

 中田英寿(パルマ)、小野伸二(フェイエノールト)もまた、彼らの勤勉さと欧州リーグの困難のために、シーズンを通して大きなストレスと戦い、それをようやく終了してノルウェーで代表チームに合流する。彼らの存在がいい状態を導くものであってほしい。
 フランスW杯で優勝した際、フランスのジャケ監督がこんな話をジョーク交じりにしていたことを思い出した。
「W杯で勝ち残るために重要なのは、戦術ではない。20人を越える男どもが、約1か月にわたって24時間一緒に暮らし、結束のために閉じ込められる。こんな異常な状態でのストレスを、どうするかなのだ。見て見ぬふりをするか、徹底的に付き合うか、どちらかしかない」
 試合や練習を単に見るだけではわからない、試合の難しさがあり、チームの状態がある。当然の通過点であり、そのプロセスの一端がわかった試合だった。


西澤選手が緊急手術
(現地時間=午前、日本時間=夕方)

 日本代表のマドリード遠征で、西澤明訓(C大阪)が市内で急性虫垂炎の手術を受けたことを7日午前、サッカー協会強化推進本部が発表した。
 メディアへのブリーフィングで、同・加藤部長は「6日夜11時から約15分にわたって西澤選手は手術を受け、経過は良好、2〜3日で退院はできるが、帰国の予定などはまだわからない。また全治までは約3週間ほどではないか、とドクター(チーム付き月坂氏)は話している」と明らかにした。
 トルシエ監督はこの件に対して、加藤氏によれば「がっかりはしている。しかし3週間ならばW杯には間に合うのでいいのではないか、との判断をしたようだ」との見解を示した。西澤は、激しい痛みを訴え、また盲腸部分が腫れていたことから緊急手術を決断したとのことだが、今後の経緯を含め、海外への移動、帰国後のリハビリなど、難しい状況となりそうだ。


「離脱者続出の理由」

 もしそれがわかれば、トルシエ監督も何としても知りたいのではないか。
強化推進本部・加藤氏がこの日のブリーフィングで明らかにしたところによれば「すでに監督の精神状態は(本番にむけて)ピリピリしたものになっており、(西澤の件について)メディアに発表はしないように、という判断があったと取られても仕方がない」と、西澤明訓(C大阪)が手術を受けてから約12時間後になっての、緊急事態発表について「かん口令」が敷かれたことを説明した。
 ポーランド遠征では、高原直泰(磐田)がエコノミークラス症候群に見舞われ、肺血栓のため現在も苦しい状況の中、一人リハビリに励んでいる。
 そして今回は、西澤が急に体調不良を訴えて緊急手術。盲腸などこれまでも痛みを感じたことはなかったそうだ。幸い病状は術後翌日安定し、早ければ8日にも退院ができるかもしれないとの見解もあり、11日、代表がノルウェーに移動する際には、西澤だけが帰国する可能性もあるだろう。病院(マドリード市内とだけ発表)では現地のドクターの執刀を受けているが、発表は強化推進本部のもので、日本の月坂ドクターを含め、専門家からの関連コメントはない。
 日本で、スポーツドクターを務めるある医師によれば、「一般の患者なら3週間はかかるが、日頃鍛えているトップ選手ならばもう少し早く復帰できる可能性もある。もともと腹筋が強く、数針くらいの傷口ならば、運動への支障もそう大きくはない」と、説明をしてくれた。
 そうであることを祈りたい。

 高原、西澤と同じFWのポジションでは柳沢敦(鹿島)が、左手の甲をスロバキア戦で骨折。また、ホンジュラス戦で2本のプレースキックを決めた中村俊輔(横浜FM)も、左ひざを捻挫しており、現在は状況を見ることになっている。今回の欧州遠征では、おそらく悪化することを監督が懸念し、ともに起用されないだろう。
 高原、柳沢、西澤、中村、さらに遡れば今年に入ってから、1月にはDFの上村健一(広島)がひざの靭帯損傷で手術、森岡隆三(清水)の肉離れ、服部年宏(磐田)の急性腹膜炎、伊東輝悦(清水)のひざ靭帯損傷、川口能活(ポーツマス)もひざ靭帯損傷と、非常事態である。
 2年前の同時期、前回フランス大会の際を見返すと、中田英寿(パルマ、当時は平塚)が5月中旬、最後の国内合宿(御殿場)で軽いアレルギーで発熱した(1週間でチームに戻る)ことと、井原正巳(浦和、当時は横浜)がスイス・ニヨンでの合宿中、練習の接触からひざを痛めアルゼンチン戦への出場が危ぶまれた(結局は出場)ことだった。
 国内でのW杯を前に、何故こういった状態がおきるのか不明で、偶然も重なってはいるだろう。
 しかし、西澤が3週間ほどの回復期間を必要とすると診断された現時点で、最後のテストマッチとなる25日のスウェーデン戦に、ベストメンバーが揃うことは難しい。選手はこの日、西澤の病状について説明を受けることになっているが、マドリードは気温が13度と、この季節では珍しく一気に冷え込んだ。風邪、体調不良などを訴える選手が、今後ノルウェーの遠征でも心配される。
 望みは、選手個々の、復帰への懸命の努力以外にない。選手はW杯絶望、ピンチといった表現とは別の次元で回復に努力を続けており、その力だけが「奇跡」と言われるものを起こせるのかもしれない。彼らにとってこんな苦しいこともないはずだが。

 日本代表は試合を直前に控えた現地午前11時、入院中の西澤を除いて選手全員、スタッフが揃って約1時間の散歩をした。


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