2002年5月2日

※無断転載を一切禁じます


キリンカップ2002
日本×ホンジュラス
(兵庫・神戸ウイングスタジアム)
キックオフ:19時20分

日本 ホンジュラス
3 前半 2 前半 3 3
後半 1 後半 0
26分:中村俊輔
41分:中村俊輔
76分:三都主アレサンドロ
ピネダ:15分
パボン:27分
パボン:45分

<交代出場>
●日本
  H T :市川大祐(波戸康広)
  H T :三都主アレサンドロ(森島寛晃)
 68分:久保竜彦(鈴木隆行)
 70分:明神智和(稲本潤一)
 76分:小笠原満男(中村俊輔)
●ホンジュラス
  H T :J.モラレス(エスコベル)
 58分:マルチィネス(ボニージャ)
 68分:ベルナルデス(トゥルシオス)
 78分:メンドサ(ベルナルデス)
 88分:マラディアガ(マルティネス)
 89分:イサギレ(ロサレス)
 スロバキア戦に1−0で勝利した日本は、その勢いを維持したまま、ホンジュラスとの一戦に臨んだ。

 前半開始1分、この日は左アウトサイドに入った中村俊輔(横浜FM)が、西澤明訓(C大阪)から受けたボールを左から中にミドルパス。鈴木隆行(鹿島)の頭に合わせて、まずはシュートの形を作る。しかし6分には、DFの松田直樹(横浜FM)がミスから中盤でボールを奪われ最終ラインを割られてしまう。GK楢崎正剛(名古屋)がこの1対1を冷静に角度を消して止め、ピンチを逃れたものの、ホンジュラスの独特なタイミングで展開されるパス回しに、翻弄される場面が序盤から目立った。13分、コーナーキックを奪われると、ゴール前に大きなスペースを作ってしまい、ここでヘディングを決められ先制点を許した。

 松田、宮本恒靖(G大阪)、中田浩二(鹿島)のDFと、稲本潤一(アーセナル)、福西崇史(磐田)のボランチの連携が重要なポイントになる展開で、25分には、波戸康広(横浜FM)がエリア付近の中盤やや右でファールを誘ってフリーキックを得る。ここで中村は一端波戸へボールをあずけ位置をずらしてから左のインサイドで蹴ると、GKの頭上を抜け同点ゴール。中盤で振り出しに戻した。
 しかし直後のプレーでカウンターからまたもゴール前を割られ、ここで得点を許し、再び1点を追う展開に。38分過ぎには、中村が左サイドからゴール前に折り返したボールが相手DFに当たりコーナーキックを得る。これを中村自身が、またもGKの頭上、手の上をすり抜けていく絶好のボールで直接決めて同点とした。しかし、前半終了間際に、またもホンジュラスが左サイドを突破し、得点を奪われ、2−3で前半を終えた。

 前半の日本はボランチとDFの連携が不足しており、またボランチの福西、稲本がともに上がってしまうケースがピンチを招く結果となっていた。そこで後半、波戸を市川大祐(清水)に、森島寛晃(C大阪)を三都主アレサンドロ(清水)に代え、中村を中央に据えて、ゲームの流れを握ろうとする。
 後半は、ボランチ2人のポジショニングが若干修正されたことと、中村が中央に入ったことで、ロング、ハイボールから、パスが回り始める。迎えた29分、ゴール前でファールを誘い、これがPKとなる。ややラッキーな面もあったが、一方で相手と接触しひざをひねった形で倒れた中村が自ら交代を要求。三都主がPKを決めて3−3の同点に追いついたものの、中村が交代するというハプニングと引き換えになってしまった。
 その後、鈴木に代えて、ポーランド戦以降、ゴールに積極的に向かい、チャンスを作り続けている久保竜彦(広島)が入る。しかし、昨年の南米選手権でブラジルを堂々2−0(オウンゴール含む)で破った、ホンジュラスの試合巧者ぶりに、追加点は奪うことができず、試合はそのまま3−3で引き分け。この後、レアルマドリード、ノルウェーとの親善試合のために、欧州へ出発することになった。遠征メンバーは、今大会の23人に加え最大28人とされており、3日、発表される。

トルシエ監督
(抜粋)
「この試合が終わって、今日は願をかけました。つまり、神戸に再び戻ってくるということです。もちろん、神戸牛がおいしいからではなく、決勝リーグに上がるということです。9割がたの確率で、我々が(予選リーグの)H組を2位で抜けたときにはブラジルと対戦することになる。今日のような試合の展開になっても、同じ結果になってほしい。そういう試合ができると信じている。じつは、選手たちには昨日の練習のときに言っていた。『(このところ)リードされたことがなかったな』と。そういう試合をやっていないなと思っていたら、まさに今日、3回もリードされる試合になった。その中でもメンタル面でものすごい資質を持っていることがわかった。必ず(同点に)戻す、ということが。チームの心意気を見せられたということにおいて、大きな収穫のある試合だった。最後までゲームを捨てない彼らを誇りに思う。もちろん、あと2ゴール、3ゴールを決めていれば勝つことのできる試合でもあった。ただ、私は今日この試合に納得しているし、対戦相手のクオリティが高かったからこそ、こういう展開になったんだと思う。日頃にないミスもあったが、それは学ぶための対価だった。(後半に入る前に守備の乱れを指摘したか、と聞かれて)とにかくスコアを戻したいという欲望が選手にあった。前半はだるいところがあったが、後半は安心できる試合になった。市川の投入によって攻撃面にプラスが出たと思う。私はディフェンシブな戦いをするつもりはなく、中村が左サイドに置かれていても、さらにアレックスも使い、小野も使い、もっと前へ前へと行こうとする動きをしていきたい」

ホンジュラス/ルサルド監督「観客にも満足してもらえたと思う。非常にいい試合ができた。今日はホンジュラスのサッカーというものをみなさんに満足してもらいたかった。3ゴールも決めることができたことは、とてもうれしい。時差が15時間もある国で、今の時間は我々は寝ているはずだった。後半になって疲れが出たことは間違いない。親善試合とはいえ、そういう部分は非常に難しいところだった。
 日本について、コメントするべきはその国の監督ではあるが、DFについては、3点も決められるというのは何か問題点があるということだ。改善すべき点があるだろう。日本の攻撃については、みなさんが思うほど14番の選手(三都主)をマークしていたわけではないし、日本のセットプレーが特に長けているという印象はなかった。2本フリーキックを決めた10番の選手(中村)はとてもいい選手で、W杯でもおそらく毎試合、名前が挙がるような選手になるだろう。海外のチームでプレーをする選手だと思う。ただ言っておきたいのは、今日の我々のゴールキーパーは19歳で、初めて代表の試合に出た選手だった。それも聞いていただきたいと思います。審判へのコメントは、私はしたくありません」

中村俊輔(横浜FM)「左ひざは軽くひねったぐらいで、そこまで痛くないので大丈夫だと思います(病院は行かないだろう)。今は曲げれば少し痛い。
 前半は攻守の切り替えがちょっと遅かったかな。ホンジュラスは個人技もあって、速くて上手かった。スロバキア戦では1トップということもあって森島さんとの距離を見ていたけれども、今日は2トップなので2人を生かせるような動きをしたいと思った。(1点目のフリーキックと2点目のコーナーキックについて)まあね、ゴールキーパーのミスだけど。プラスに考えれば、ボールのスピードが落ちていなかったということ。ニアに蹴ったつもりだったんだけれども、入ってしまった。コーナーキックは、じつは初めて決めた(直接ゴールは)。よくテレビでストイコビッチが決めるのを見ながら、こういう軌道なんだというのはわかった。まあ、ミスキックですけどね。今日の試合全体的には、ゲーム内の問題は浮き彫りになったと思う。それを後半に修正できたことはよかったと思う。(左サイドをずいぶん突破されていたが、という質問が出たのに対して)左サイドから点を取られたときに左サイドが悪かったと言うのは違うと思う。両サイドから崩されていた」

福西崇史(磐田)「(2点目の失点時に後ろからユニフォームを掴まれていたことについて)ファールだと思った。レフリーの問題というのはレフリーの問題だし、運の問題だと言えば運の問題だし、自分にノーリスクで行けということであれば自分の問題、自分のミスだった。中盤でもう少し落ち着かせたかった。稲本が上がったときなど、もっとバランスを取りながら、片方が上がったら片方が下がるという約束事の中でもっと押し上げて行かないといけなかった」

三都主アレサンドロ(清水)「スーパーサブは初めてだったけれども、気持ちは先発とまったく同じでした。負けていたので、とにかく勝ちたいと思っていた。(日本代表として初得点となった)PKを決めたことは最高の気持ちだった。でも、もう1点決めていれば勝てたのに。PKのときには、どこに蹴るか、緊張もしなかったし、しっかり集中していた。ただ、あまりに集中しすぎていて、コースは忘れてしまった。ベンチから蹴れと言われたし、自分でも蹴りたかった。この初ゴールは父と母へのプレゼントにしたい」

宮本恒靖(G大阪)「プレスをかけることも重要だが、今日はオフサイドで飛び出されないように注意していた。基本的には3対3で守っていくという考えだったが、1対1のシーンが多くなってしまった。けれども、そんなに悪い試合だったとは思わない。状況によっては4枚で相手の3人を守ろうということも話していたが、後半はもちろん多少のリスクを負ってでも3対3で勝負をかけていこうという守備をしていた」

西澤明訓(C大阪)「しんどい試合でしたね。ミスがあることは仕方がないでしょう。今日の試合を振り返ると、集中力がなかったというのではなくて、むしろみんながイレコミ過ぎなところがあった。俊輔のフリーキックとか、よく決めたし。まあ、相手ももちろんミスがありました。内容は決して良くない試合だとわかっていますが、その中でも負けない試合をしたことが大きかった。悪いなら悪いなりのゲーム運びというものを学んでいかなくてはならないし、毎回うまくいくものではないです。自分も今日はかなり疲れました」

稲本潤一(アーセナル)「もう少しずつコンディションを上げていかないとならないけれど、ヨーロッパでは90分できると思う。今日は2トップが激しく裏を取ろうという動いて来ていたので、それに対応しようと思っていた。時差は、昨日ぐらいが一番しんどいところでした。今日は神戸でやるというのもあるし、雰囲気がとても良く、コンディションも非常に良かったと思う。2試合とも途中交代については納得していますし、スロバキア戦のあとのフィジカルトレーニングもちゃんとやれた。トルシエ監督も気を遣ってくれているようだし、90分できる手応えを今日は持てました」


BACK