11月18日

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サッカー

日本代表の練習より
(埼玉・さいたま市)

(レポート・古賀祐一)

「キリンチャレンジカップ2002」アルゼンチン戦に臨む日本代表の合宿が18日、さいたま市内で始まった。同日夜、イタリアから帰国した中村俊輔(レッジーナ)は間に合わなかったが、午前成田着の便で帰国したFW鈴木隆行(ゲンク)を含め、19選手が午後4時半までに宿舎に集合し、午後6時過ぎから市内の競技場で初練習を行った。

 練習開始は予定より15分遅れの午後6時15分、短いミーティングのあと、ランニングがスタートした。左太腿裏を負傷しているDF名良橋 晃(鹿島)だけは1人離れてトレーナーらとリハビリメニューをこなしたが、名良橋を除く全員は体操、ストレッチ、サーキットトレーニング、2人1組によるパス練習という内容。その後、給水タイムを挟んで、本格的なフォーメーション練習に突入した。

 ジーコ監督が母親の急逝のため前日帰国し、監督代行として指揮を執ることになった山本昌邦コーチが1人1人に黄色いビブスを手渡した。秋田 豊(鹿島)、松田直樹(横浜)、中西永輔(市原)、山田暢久(浦和)、中田浩二(鹿島)、福西崇史(磐田)、小笠原満男(鹿島)。11日の日本代表選手発表の会見でジーコ監督が明らかにした先発候補のDFとMFから、負傷の名良橋、合流していない中村を外し、山田を加えた布陣。現時点でアルゼンチン戦の先発に最も近い「レギュラー組」だった。

 その「レギュラー組」に、山本監督代行が課したのは「ジャマイカ戦の守備の修正」。グラウンド半面を使っての練習。相手になった控え組がDFからボールを回す。それに合わせてポジションを修正して相手にプレッシャーをかけていく。トルシエ前監督時代にはよく見られた練習だった。特に注意されたのが「DFとボランチの間にスペースを作るな」という点。ジャマイカ戦では、このスペースを使われてピンチを招いた反省からだった。この間、鈴木、高原直泰(磐田)の2人は、GKを相手にシュート練習を行った。

 続いて行われたのは攻撃のビルドアップの練習。レギュラー組は、山田、秋田、松田、中西、福西、中田浩、小笠原、三都主アレサンドロ(清水)、鈴木、高原。DFでパスを回して、FWに当てて、MFがサイドに展開、最後はクロスをシュートして終わる。久々の練習のわりにはコンビネーションは素晴らしかったが、この練習もトルシエ前監督時代には連日のように行われていたメニュー。選手の理解度が高いのも当然だった。

 最後は、秋田、松田らがクリアの練習、三都主らがFKの練習をこなすなど個人練習。この日は、15日に東京・渋谷で行われたサッカークリニックでジーコ監督の指導を受けた小学生が招待されスタンドからは時折歓声が起こっていた。その雰囲気に押されるように選手からも声が上がり、約1時間半の練習の間中、肌を刺すような寒風を吹き飛ばすような明るい雰囲気が充満していた。

山本昌邦監督代行「監督と連絡をとって流れに沿った形で練習した。2002年最後の試合だし、いい結果を出して、監督に心配をかけないようにしたい。練習内容についても監督と連絡をとってやった。今日の練習はジャマイカ戦の反省を踏まえた修正。チームが出来て4日目。1つ1つ積み上げている段階。アルゼンチンはW杯と監督も一緒だし、W杯のメンバーもかなり来る。W杯を参考にする。対日本というより、新しいスタートということで、気合が入っている。我々は相手がどうこうより自分たちのことを消化する」

高原直泰「アルゼンチンはとにかくいい相手。自分たちのサッカーを積極的にできればいい。FW同士でパス交換して突破できれば。互いの関係で崩すバリエーションを増やしていかないと。中盤が変わる影響はあるけど、うまく回るようにしたい。アルゼンチンのDFは激しいし、手の使い方、体の使い方がうまい」

山田暢久「練習はジャマイカ戦の修正。ラインの上げ下げやサイドの絞りをやった。攻めに関しては何も言われていない。レギュラー組は意識せずにやった。動きを理解するので精一杯だった」

中西永輔「僕がいない間に決め事があったと思うし、あと1日教えてもらおうと思う。市原では3バックで代表では4バック。その辺で理解が違う。短い期間だけど、100%準備してアピールしたい。W杯から4年たって自分がどれだけ成長したか試せる。フランスの借りがあるのでがんばりたい」

遠藤保仁「今日の練習は楽だった。初めての緊張感もなく、普通にできた。体調だけきっちり整えたい」

松田直樹「ミーティングでは、ジーコ監督はいないけどがんばろうと話があった。練習はジャマイカ戦の反省点とか修正だけだった」

福西崇史「戦術に関して説明を受けただけ。攻撃はやっていないからよくわからないけど、攻撃の時に(自分が)がっちり守るということはないみたい」

鈴木隆行「体調は大丈夫。シュート練習の時は指示は特になかった。ジーコ監督が抜けても、皆しっかりしているので問題ない」

小笠原満男「ジャマイカ戦の反省点。難しいことは特に言っていない」

名良橋 晃「痛みになれた。大丈夫だと思う。出られるようにがんばる。僕らが結果を出せばジーコ監督のお母さんも喜んでくれる」

秋田 豊「ボランチとDFの間をあけないように。そこを修正した。今日はうまくいった。それを試合で試すだけ。DFは経験の多い人ばかり。鹿島の選手も多いので大きな違いはない」



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