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※無断転載を一切禁じます サッカー J1 1stステージ第8節
この日、後半2ゴールを奪った中山雅史ら代表選手には、6月4日ベルギー戦以来の同スタジアムでのゲームとなった。しかし、勝ち点1を初めて奪ったゲームでの感慨とはまた別の感動を、中山は感じたという。 「あの日はすべてが日本への応援。でも今日は違いますよね。試合前、自分の名前が先発で呼ばれた瞬間、(浦和サポーターから)大きなブーイングが起きたでしょう。あのとき、ものすごくうれしかったんです。Jリーグでまたやってるんだという現実的な感じと、相手に嫌がられる存在であることへのやりがいを心から感じましたね」 アクセスにはやや難のある埼玉スタジアムに足を運んだサポーターは、57902人、とJリーグ史上歴代3位にあたる。浦和と、はるばる駆けつけていた磐田のサポーターは、夢のように過ぎ熱狂した1か月から、あっという間に、そして実にスマートに「現実」へと、選手と自分たちを戻したように見える。W杯も、ジーコ新監督も、すべては「ここから」始まるのだという現実である。 しかし、もうひとつ、厳しい現実も明白になった。気温28度、湿度80%。この過酷さをどうにも文字にできないことがもどかしいが、選手は前半の特に30分まで、「どうにもこうにもできないほど暑かった」と振り返った。湿度が80%にも及び、しかも試合直前、わずかな雨が降りながらも上がってしまったことで、さらに芝からの蒸し暑い熱気がピッチ上を包む。 2アシスト、Vゴールで苦しい試合でチームに勝利をもたらした藤田は、試合後、「体の芯が熱い」と、シャワーを一度浴びたにもかかわらず体中から汗を流して取材に応じる。服部は、「無茶苦茶でした。アップでもう苦しくなるほどだった」と告白した。中山は好調のバロメーターといえるヘディングで1ゴールを奪い、また試合中も「今日は競り合いで負けないと思った」と、非常にいいコンディションで試合をしていたように見えたが、「思った以上に暑くて動けなかった。あれはきつい」と話す。
開始から10年、何を今さらと言うむきもあるだろう。しかし、W杯を終えた今、求められているクオリティに対して、選手が応えなくてはならないレベルが、10年前とは比べ物にはならない。 試合を終始引っ張った藤田も、高いクオリティと、それを妨げる過酷な条件の両立について視線を向ける。 「選手だけではなくて、ファンもいるわけですから。本当に難しい両立ですが、これをやらないとW杯の意味も、再開の価値も薄れるから」 磐田/鈴木政一監督「コンディション(気象条件)の厳しい中、選手は本当に高いモチベーションといいプレーを続けて集中してやってくれたと思う。W杯中断後の最初のゲームだが、気持ちの上でも難しさはあまりなかったと思う。代表でも(中山、服部、福西が)フルに出場したというわけではないので、気持ちの上ではむしろ高く持っていけたのではないか。これからも厳しい試合が続くが、大切にいきたい」 浦和/オフト監督「残念だ。いくつかのミスがあって、それが失点につながってしまった。最初の得点でずいぶんと落ち着くことができたはずなのに、同点に追いつかれ、またミスを犯してしまった。自分たちで展開を苦しくしてしまったようなところがある。ホームでこれだけ多くのファンに声援を受けながら残念だ」
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