6月17日

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サッカー

トルシエ監督のトルコ戦前日記者会見
(宮城・仙台市)

 決勝トーナメント第1戦を前に、トルシエ監督が前日会見を行い、「目標を達成した今、自由な雰囲気はむしろ危険。うまく行っているときこそ、新しい血を入れることで(メンバーを新しくすることで)、トルコ戦が最後の試合にならないようにする」と、ここまで3得点、2試合連続完封と好調の波に乗る代表に、あえて「テコ入れ」も辞さない考えを示唆した。
 また午後6時半からは、宮城スタジアムで練習を行ない、ビブス組には、宮本恒靖(G大阪)、松田直樹(横浜FM)、中田浩二(鹿島)、戸田和幸(清水)、福西崇史(磐田)、市川大祐(清水)、三都主アレサンドロ(清水)、小笠原満男(鹿島)、鈴木隆行(鹿島)、西澤明訓(C大阪)、GKには曽ケ端準(鹿島)、川口能活(ポーツマス)が入っていた(公開は15分でその後変更している)。

    トルシエ監督(はじめに)
    「もちろん、私たちのミッションが果たされたので満足感は味わっている。4年間、私たちに与えてもらった環境、投資に対して、そのくらいはお返しをしたい。決勝トーナメント、グループ1位の通過は、なかなかの偉業だと思う。まだ決勝トーナメントに進出しているという実感がない。グループの中ではまだ満足できない素晴らしい雰囲気がある。出場停止も、怪我も精神的な疲れもまだない、これは非常にすばらしい雰囲気で、一番言いたいのは、まだW杯は終わっていない、このグループは前向きで1試合1試合を考えていることが大きい。グループリーグ突破という成功を味わったものの、すぐにトルコ戦に気持ちを切り替えて準備をしている。決勝トーナメントはより精神的なタフさがいる。昨日のアイルランドの戦い、最後まで諦めないという姿勢に、私も選手も感動をしている。あのイメージを持ちたい。トルコ代表は欧州の典型的なチームであり、とても強く激しさを持つ、悪賢さを持っている怖いチームである。
     論理的に考えて(今の)勢いを守る、という簡単な選択をして(ここまでと)同じチームで行くという考えもあるが、私はチームが絶好調であるときこそ、新しいダイナミックを考えるべきだと思う。新しい血を与えることが重要だ」

◆質疑応答(要旨抜粋)

──フラット3にベルギーの2失点後変化があったようだが、選手たちが自由にやっているものなのか、それとも監督の指示か
監督 私はそういう風に見ていない。選手は自由に動くことはないと思うが。

──トルコの印象、特に警戒している部分があるか。トルコの戦い方で日本の戦いを変更するか
監督 とりわけチャンピオンズリーグで見るガラタサライのイメージが強い。細かく見ると、極めて高いレベルでやっているし強いことを認める。まずトルコ代表は日本を恐れていない、日本とやってよかったと思うだろう。2つのチームがベスト8をかけている。21番の選手(エムレ、イタリアのインテルに所属)が出場停止だが、注意はいる。日本代表は同じ勢いと積極性を持ってプレーをすれば同じやり方で五分になれる。

──どこまで行くことが目標か
監督 私は解放感の中でサッカーをやることは危険だと思う。だから細かいプレッシャーをかけていくというオプションもある。やる気のある選手を選ぶこと、細かい動きと体力を見守って、明日の試合でベストを尽くせる選手かを見極めることだ。テレビでも選手の喜ぶ顔のクローズアップばかりが出ているし、例えば中田と小野のフリーキックのシーンでは、届くはずのないほどの距離なのに、2人でどちらが蹴るのかを議論している。私はああいうスペクタクルは嫌いだ。セネガルならば3秒以内に戦術を考えリスタートしているだろう。個人のことしか考えない人は、明日はベンチに座っている。そういう人は試合に出ないだろう。私はサッカーのことしか考えない。日本ではビジネスがあって、サーカスがあって、サッカーがあるが、私は選手の持ち味を生かすこと、チャンスを生かすことしか考えていない。試合に出ていない彼らの準備も評価して彼らにチャンスを与えたい。

──初の16強での準備は大変ではないか
監督 もちろんトルコも初めてだが、あくまでもスポーツという文脈の上にあることは間違いなが、日本ではこれが明らかに違う、ビジネスのウエイトが大きい。フリーキックのイメージで言えば、38メートルの距離があっても、ボールを置いて、隣の人と話をして、確認して…、明らかに目的が違う。我々は経験が少ないので、態度で示さないといけない。あえて言うなら、問題はどこまで野心を抱けるかだ。早くプレスをかけ、チームのために犠牲を払っても速くボールを奪って、攻撃を仕掛けること、こうしてシンプルにやっていたし、フリーキックは髪型を確認していなかったはずだ。なのに明日は、鏡を見て髪を直したりしては困る。95%の選手は高いモチベーションを持っている。


小野伸二(フェイエノールト)「トルコは強いチームだし、簡単に勝てるとは思わないが、1位で1STラウンドを突破できたことで自信を持って明日の試合に臨みたい」

市川大祐(清水)「トルコはチュニジアをもう少しパワーアップしたイメージがある。よいところに数多く走り込みたいし、失敗を恐れずにどんどんチャレンジしたい」

宮本恒靖(G大阪)「トルコは非常にレベルの高いチームだが、日本の勢いを生かして試合をすればチャンスがあると思う。もう一度、地元の大阪に戻れるように(8強戦)がんばりたい」



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