6月8日

※無断転載を一切禁じます


サッカー

トルシエ監督、ロシア戦前日会見
(神奈川・横浜市内のホテル)

 9日のロシア戦を前に、トルシエ監督が会見を行い、「ロシアに対して引いて守ることは考えないと積極的な姿勢を見せ、またこの試合で怪我から合流してくることが予想されるモストボイ(セルタ、スペイン)については、「むしろ出てくれたほうがやりやすい」と、モストボイの出場をあえて歓迎するとした。代表はこの日午後7時、またも15分の体操だけ公開。ビブスは、ベルギー戦のスタメンと川口能活(ポーツマス)がつけて練習を行った。ベルギー戦で、左アキレスとモモの打撲で途中退場をした森岡隆三(清水)が、ピッチで痛み止めと思われる錠剤を飲み込んで、練習に参加するシーンがあった。


監督 この5日間、勝ち点1を奪ったことへの素直に幸福感を噛み締めて、落ち着いた準備をし、普通に回復することができた。しかし、ひとつどうしても納得がいかないのは、審判の判定である。審判については、すでに(疑問を)試合後になげかけているのだが、どうしても2失点目のオフサイド、それは2列目の飛び出しで奪われたシーンではなく、その前に我々がクリアをしたシーンに明らかなオフサイドポジションに4人がいる。これについてのストレスがどうしても消化できなかった。明日のロシア戦については、何としても先ずは引き分けにすることで論理的にまだ可能性が残ることになる。ロシアは反対に絶対に勝ってグループリーグを抜けようとするだろう。あすはとても難しい試合になる。ただ、私たちは完全に休み、ロシアの分析も十分にした。全てのコンディションは整っているが、森岡、中田に対する体力的な疑問があるが、きょうの練習(午後7時からの公開練習)を見て判断したい。

――中田、森岡の状態は?
監督 中田選手に関しては、右足首内側の捻挫です。森岡は、足首にもモモにも2つの打撲があって、その打撲に寄って足の感覚は取り戻せないようだ。森岡はまだ100%ではないので、明日の出場には疑問がある。

――ロシアはベルギーよりも強いか。戦術的な変更はあるか?
監督 2つの代表のサッカーは完全に違っている。ロシアは短いパス回し、短い動きを通じて攻めるチームで、彼らの攻撃でのアプローチは、ベルギーとは違う。シュート力も非常に高い。ロシアはパス数が多く、サイドチェンジも極めて多い。なおかつロシアが勝ち点3を持ち、極めて高いモチベーションでこのゲームに臨んでくるでしょう。私たちはあす、高いコンディションをキープしていかなくてはならない。このグループの小国であることには変わらない。私たちはプレッシングサッカーを通じて、ダイナミックなサッカーを展開し勝利に向かって行く。

――日本とロシアの関係は、日露戦争、北方領土問題と、よくないが?
監督 若い世代が歴史をどこまで理解しているか分らないが、そこまで意識していないのではないか。W杯でもオリンピックであろうが、そういう話題を忘れて平和に近ずくのであって、私はそういうときにはスポーツのことしか考えない。私からそういう背景を踏まえて話をすることない。

――明日、勝ち点1をもってチュニジア戦へという思いか?
監督 もし100%引き分けできる自信があり、チュニジアに勝てるならそういうシナリオにも賛成するが、しかしサッカーにはそんなことはありえない。明日引き分けられるなどと分らないし、勝ち点1、引き分けと言った結果は、最初からプラン通りに狙っていくものではない。サッカーではあえて引き分けを狙うチームが存在するなら、我々と違った守備の意識が高いイタリアやドイツのように引いてある程度守ってという形でやるが、私たちはそういうレベルにない。引いて守ってという戦術はできないので、私たちはそうしない。欧州のチームなのでそういう戦術ができるだろうが、守って引いておいてプレーをさせておいて逆襲に出るという試合展開を(相手が)用意するかもしれない。引いて守って日本のミスを狙うという戦い方はある。ただ、その説も疑わしい。なぜならあす負けても、まだ最終戦で勝てればいいのだから、彼らは失うものはないのだから。引いて守るという選択を彼らがするとは思わない。

――戦い方を変えるというのことならば、選手の起用も変わるのか?
監督 いえ、怪我人を除けばあえて2人の選手(中田、森岡両選手の変更は考えられるが、もちろんそれがなくとも、ベルギーのように空中戦が非常に強く、ロシアのようにセンタリングは使わなくてもボールをしっかりつないで行く形は違う。自分たちのサッカーに集中するか。多少の変更を加えるか。

――ベルギー戦ではミスがあったが、修正はできるのか?
監督 残念ながら、問題はそういうところにないと私は思っている。あしたの試合でミスがあっても、今の段階で(それを予想して)変えることはできない。フランスの監督、アルゼンチンの監督に同じ質問をして欲しい。なぜならサッカーのミスはひとつのシナリオの中で起きることだ。ここまで4年あり、私は哲学を持ってやっている。ミスだろうが、リスクだろうが、積極的な姿勢があるからこそ、多少のミスが起きるとしても論理的なものである。まったくリスクを負わずに全部引いてしまうようなことはできない。

――アジアの4つの国が出場していますが、日本以外の3チームをどう思うか。また一フランス人として、フランスの何が問題か指摘して欲しい。
監督 一般的なアジアのチームの印象は、欧州においてサウジと中国の試合はそう変化がなかったと思うが、韓国と日本の試合後は評価があがったはずだ。しかしこれはホームが理由であって、準備が上手くいったということに過ぎない。中国やサウジには難しい面があった(アウェー)だろう。アジアのレベルがよくなっているとはいえ、やはりまだまだだということだ。フランスのことだが、98年には彼らに運があった。ゴールデンゴールでの勝利(パラグアイ)もある。2002年は不運、ポストに当たったり、こうした不運がなかったらすでに通過をしているはずだ。

――モストボイは?
監督 彼がいたら、はるかに攻撃的になる。私は彼がいるロシア代表のほうがやりやすい。

――ベルギー戦のときは、観衆の力が大きかったが、あすも同じだろうか?
監督 ホームでの大会であるからとても大事な一面になる。ファンのサポートも大切だが、ホームなら明日の試合会場のこともよく知っているし、感覚があることが重要だ。


森岡隆三(清水)「勝ち点をとることが先ず大事だと思う。強い相手だが1ラウンド突破に向けて、自分たちのサッカーをすれば結果がついてくると信じてプレーしたい」

稲本潤一(アーセナル)「明日のロシア戦の結果次第で上に進めるかどうかという大事な試合なので、ベルギー戦以上に高いモチベーションと良いコンディションで試合に臨みたい」

柳沢 敦(鹿島)「ロシアは固いチームだが、1ラウンド突破に向けて一丸となってがんばりたい」



読者のみなさまへ
スポーツライブラリー建設へのご協力のお願い


BEFORE LATEST NEXT