10月6日

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サッカー
◇◆◇日本代表欧州遠征 現地レポート◇◆◇

ナイジェリア戦前日練習と監督会見より
「売り込め!」
(イギリス・サザンプトン)

 セネガルに0−2と敗れ、明日7日ナイジェリアとの第2戦に臨む日本代表は、試合会場となるスタジアムでこの日午後、調整をかねて軽い練習を行った。
 練習前に会見でトルシエ監督は、「明日の試合では多くのスカウトが来るだろう。イギリスのファン、その人たちに、戦術など多少無視はしても、自分勝手でもいい、自分のプレーを強くアピールしてほしい」と、セネガル戦での消極的なプレーからの変身に、「売り込み」を指令した。
 また監督は、今回が「ミニラボ」(小さな実験室)であることを再度強調し、ナイジェリア戦のスタメンには、DFは宮本恒靖(G大阪)、ボランチに福西崇史(磐田)ら新しいメンバー、イングランドでプレーしている西澤明訓(ボルトン・ワンダラーズ)、稲本潤一(アーセナル)、ポーツマスへの移籍をすることになっている川口能活(横浜FM)らを起用すると、試合を「勝敗とは関係のない実験」と位置つけているからか、異例の予告先発を行った。

トルシエ監督 サウザンプトンの市長に感謝したい。今日はイングランドがギリシアと対戦してW杯の出場権を獲得できるかどうか、非常に重要な夜となることも、私はよくわかっている。

――川口がポーツマスでプレーすることについて
監督 明日の試合は川口にとってホームの試合になる。彼にはさまざまなプレッシャーがあるだろうが、厳しい環境の中、新しいスタイルの中でがどう成長するかは、日本サッカーのためにも重要だ。

――セネガル戦は攻撃が機能していなかった
監督 うまくいかなかったからといって、すぐにどうこうするというような反応をすることは、このツアーの目的ではない。ミニラボ、と遠征前から言ったと思う。伊藤が手術から戻って、名波、中田も故障で欠いている。奥を使ったり、明日、宮本を試すかもしれないし、私は代表としてはもう90%の選手を決めているし、実力も彼らの潜在能力もわかっている。しかし今は指定席を与える時期ではない。いろいろなことを試さなくてはいけない時だ。

――ナイジェリアのほうがセネガルよりも強いと(監督が)言うが
監督 ナイジェリアはセネガルとは違う。セネガルのほうがスピードがあり、さらにテクニックもある。ナイジェリアはもう少し、ゆっくりと構えて戦いチームだ。セネガルは今W杯を戦うだけにモチベーションは高かったけれど、ナイジェリアは少し違う、もしかしたらあまりやりたくないのではないか。しかしこれは問題ではない。

――稲本はどういう経験を身につけているか
監督 とても大きな経験になる。また日本に残っている選手にとっても彼の移籍は一つのモデルになっている。稲本は日本ではNo.1の選手だが、アーセナルでは27番だ。西澤も高原も小野もそうだ、もちろん川口もポーツマスで正キーパーになれるかわらないだろう。これが現実だが、しかしポテンシャルの問題ではない。日本のユニホームには歴史がないのだ。それと、何かメンタル的な切り替えが苦手なのだ。一言で表現すると、シャイというか、自分たちのことを大きく強くアピールしようということが苦手なのだと思う。例えばアルゼンチンのサビオラは、バルセロナに行けば、アルゼンチンの代表でこんなにやっているのだということを強くアピールできる。実力はほとんど変わらないはずなのに柳沢にしても、それ(頭を指して考え方、の意味)が違うために力を十分には発揮できない。稲本も、半年で15番目になるかもしれないし、そのあとレギュラー、スタメンになるかもしれない。この遠征で、選手たちには国際サッカーも自分たちと同じレベルで行われていて、違いはほんのわずかなことなのだと肌で感じてほしい。

――明日はセネガル戦で起用していない選手を出すのか
監督 イギリスでやっている選手、川口、西澤、稲本は間違いなくあすスタメンにする。それと、DFの真ん中で宮本を試したいと思うのでスタメンに起用する。福西、広山にもその可能性があるがまだ決めてはいない。小野についてはまだ怪我からの復帰で、フェイエノールトのドクターとも話しはしたが、コンディションをみながら、20分、30分は使いたいと思う。いずれにしても慎重に対応したい。

――日本の組織力と個人の力をどう発揮させるのか。どちらのバランスを重視するのか
監督 もちろん、チームの戦術はレベルを上げなくてはならないのだが、明日の試合、今回の遠征は明らかに違っている。一番重要なのは、イギリスのファンにサッカー選手として自分を強くアピールすること、来ているマネジャー(スカウトのこと)にアピールすることだ。多くの選手が国内でプレーをしていて、今後海外に出たいと思っているのなら、このリーグでできる、というレベルにあることを明日、アピールしなくてはならない。コンパクトな中盤とか、3バックなど、もちろん自分(監督)の戦術はあるし、尊重はしてもらいたいが、明日はもっと自分勝手にやってでも、人を押しのけてでもアピールしてほしい。そういう決まりごとを無視してでもがんばってもらいたい、これが私の、明日の試合に対する選手へのメッセージだ。もちろんこのことについて、最も大きなフラストレーションを感じるのは、森岡になるだろう(スタメンを外れるため)。このことについて、森岡と話をしたが、彼は「明日は自分にもアピールさせてもらわなければチャンスがなくなってしまうではないか」と言っていた。しかし同じこと(チャンスを与えること)が服部や、ほかの選手にも言えるだろうと彼には話した。

川口能活「ベンチから見ていて、前半よりも後半のほうがよかったと思う。前半は時差などの影響によるコンディション不良であまり動きがよくなかったと思う。第2戦が行われるサウザンプトンはポーツマスから近い場所だが特に意識することはない。グラウンドがどこか、場所がどこかとかよりも代表が勝つために全力を尽くしたい。ただ、もしポーツマスのサポーターが応援にきてくれるなら嬉しいことです。もし試合に出ることができれば、自分がプレーする国で代表としてプレーできることは嬉しい。アフリカの選手は、意外性があってなかなか面白いプレーをしてくるので楽しみです。五輪(アトランタ)で対戦した時は、0−2だったが、内容は圧倒されて何もできなかった」

稲本潤一「第2戦がイングランドということは特に意識しないが、イングランドの人たちに代表の試合を見てもらえることはいいことだと思うし、そこでの活躍がイングランドでサッカーをする上で大切なことだと思う。セネガル戦では、ボールを奪うことができていなかったが、次は良いプレッシャーをかけてボールを取って、いい攻撃につなげていければと思う」

小野伸二「ベンチから見ていたら、いつもよりミスが多く目立っていたような感じ。次の試合に出ることができたら、チームが、良いプレーをして勝つためにチームの決まりごとを忠実にプレーしたい。アフリカのチームの印象は身体能力が高い。最近は技術、戦術もしっかりしてきた印象がある。同じチームに(フェイエノールト)にコートジボワールの選手がいるが、うまいなあと思う。イギリスは初めて訪れる場所なので、よい試合ができるようにがんばりたい」

西澤明訓「明らかに時差や疲れなどから日本は自分たちのサッカーができなかった感じがする。次はイギリスでの試合になるが、ここで生活している自分にとっては特別なゲームだったと思うが、だからといって自分のやれることはいつもと変わらないし、自分の持っているものを与えられた時間の中で出せれば良いと思う。代表の試合はどんな試合でも国を代表している名誉や自覚を持ってプレーしていきたい」

 ナイジェリア戦は7日15時(日本時間23時)キックオフの予定。



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