6月9日


フランクフルトより
(午前=日本時間9日午後)

 今、フランクフルトでの取材を終え、日本に戻るためラウンジで原稿を書いています。
 ハッサン国王杯では、多くのアクセスをありがとうございました。2試合目は速報だけで終了しましたが、カサブランカでのジャマイカ戦から荷物をまとめ、空港にドタバタと駆けつけフランクフルトに入らねばならなかったためでした。
 こちらのハンドボールブンデスリーガ1部(ドイツ)で日本人として初めてプロ契約(TVバルシュパッド=昨季6位)を結んだGK・橋本行弘選手の取材のためであります。ハンドボールはシドニー五輪への出場権は獲得できませんでした。しかし、彼ともう1人の茅場清選手のように、世界最高峰のブンデスリーガのプロに身を投じた選手もいるのです。

 こちらではハンドボールは夏に開幕し、非常に人気の高い競技です。私は、未知の土地でプレーしている彼らの思想、彼らが自分自身をまるで駆り立てるかのように抱き続ける向上心というものに尊敬の念を抱かずにはいられません。
 橋本選手は日本ではホンダに所属する代表のNO.1・GKで、年齢は34歳。なにもあえて冒険を冒さずともいいはずです。しかし、さまざまなものから自分を切り離しても何かにチャレンジすると決断し、ドイツで2年目のシーズンを迎えようとしているところです。空港にあるホテルで先ほど取材を終えたばかりですが、本当に楽しく、そして考えさせてもらうインタビューでした。
 奥様と3人のお子さんとフランクフルト郊外に住み、慣れない習慣や語学、こうしたものを少しずつ乗り越えながら2年目のシーズンを控えています。

 チームにはドイツの代表GKがいるそうです。
「異国から来た選手にはそう簡単にポジションは与えられません。試合に出ることができない疎外感、そして孤独感。これらを味わっています。でも、そういう中で自分を試すこともできるし、変えることもできる。もっと、もっと自分を表現できるのではないかと思っています」
 サッカーの中田、名波、城選手たちのように毎日詳細が新聞に報じられることはありません。けれどもこのページの読者であるみなさんには、橋本選手のようなプロフェッナルが同じヨーロッパで踏ん張っていることも、心のどこかで気にしていて欲しいと思います。

 さあ、あす10日からはいよいよサッカーの欧州選手権が始まります。今回は初の共催でもあり、FIFAとしても様々な形での2002年のサンプルとなるでしょう。ここドイツでもそのニュース一色。みんなそわそわしていますね。
 日本でもまた寝不足が続くと思うとゾっとしますが。
 こちらは今、午後9時ですが、まだ太陽が明るく照っています。欧州はこれから夜の長い、1年でもっとも華やかな季節を迎えます。カサブランカでの話はまた時間があれば書きたいと思います。
 それではまたHP上でお目にかかりましょう。
 皆様のご健康を、フランクフルト空港でお祈りして。

                    スポーツライター 増島みどり

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