4月14日
〜イタリア現地レポート〜


ローマ練習
(トリゴリア)

 ホームでのボローニャ戦を2日後に控え、この日は午前中だけの練習が行われた。トッティ、モンテッラらケガで離脱していた選手も揃い、中田もシュート練習を行っていた。
 ドクターから毎日発表される故障リストからも外れ、筋肉疲労からの順調な回復ぶりをうかがわせた。 またこの日はDFで、昨年までボローニャでプレーしていたマンゴーネが定例の会見を行った。

──ボローニャ戦に向けてどうでしょうか
マンゴーネ 試合は大変難しいと思う。しかし、ホームでの試合は残り2試合しかない。なんとしてもホームのゲームを落とすわけにはいかないと思う。
──トリノ戦までは調子が良かったと思うが
マンゴーネ 確かにあの試合まではいいモチベーションでいたと思う。しかしあの試合以降、チームの攻撃的な部分が試合でもメンタルでも消えてしまったと思う。
──カペッロ監督は、ローマの選手をもっと強いメンタルを持った選手に変えていきたい、全体的にもっとタフなチームにならねばならない、と発言していますが
マンゴーネ クラブ、選手に関しては確かにそうだ。しかしローマのファンは変えなくてもいいかな(笑い)。彼らはボローニャから来た自分にもとても暖かいし、チームがこういう状態でも文句を言いにこのトリゴリアに来たことはない。
──元チームメイトになるわけですが、ボローニャで注意する選手は
マンゴーネ シニョーリ、アンデション。特にアンデションは非常に危険で激しいマークと上手い戦術で守りきる必要があるだろう。
──ローマの欠点とは何でしょう
マンゴーネ まず先ほど指摘のあった積極性、攻撃性、もっとアグレッシブにサッカーに向かう姿勢だと思う。それとケガ人が多かったので、それはマイナスだった。これが克服されれば私にとってチャンピオンズリーグも夢ではない。とにかく勝たなくてはならない。それをそろそろ思い出すべきだ。

 12日のカップ戦で右ひざ十字靭帯の一部を切断、腱と神経も断裂する負傷を負ったインテルのロナウドは主治医のジェラルド・サイラント氏のいるパリで13日夜2時間の手術を受け、全治7から8か月と診断を受けた。同じ医師は「手術は完璧だった。この後リハビリを行って年内の復帰を目指したい」とした。病室にはブラジルから駆けつけた母と友人、夫人も付き添い、ロナウドは、「神様を信じるしかない」とインテルを通じて短い声明を出した。
 また、ローマがすでに来季の獲得を決定している、ブンデスリーガ、レバークーゼンでプレーするエメルソン(ブラジル)も試合中、左足首の靭帯を損傷。全治1か月と診断された。
 インテル側は、14日、ロナウドの度重なる故障に関して、「我々はこの件に関して保険をかけてきた」と、もしインテルでのプレーが絶望的となった場合を想定し、英国の保険会社、ロイズと約110億円もの保険契約を結んでいたことも明らかにした。

「ロナウドの価値は……」

 ロナウドの右ひざ負傷のインパクトは、想像を遥かに超えるものである。復帰戦での大ケガは悲劇的な事件として、2日経ったこの日の朝刊でも、大特集が組まれている。
 ガゼッタ・デッロ・スポルトは1面から「フォルツァ、ロナウド!」と8ページまで特集、スポーツ面すべての左はしに彼がラツィオ戦でひざを抱える写真をいわゆるパラパラ漫画のように載せている。かつて同じ個所を故障した女子アルペンスキーの国民的ヒーロー、デボラ・コンパニョーニのお見舞いコメントを一挙掲載。「時間がかかるけれど絶対に大丈夫」という話と、彼女の治療経過を報じた。ほかにもペレ、同じ医師に手術をしてもらったシューマッハも登場。新聞はどこも、手術の時間、彼の病室から病院での食事にいたるまで詳細を書いているが、中でも大きなニュースとして報じられていたのは、インテルがロイズと結んでいた保険契約に関する記事だった。
 インテルのモラッティ会長は「この件に関しては、すでにロイズとの保険を検討してきた。選手の保険額としては最高のものだ」と明かしたが、会長は同時に保険の適用は今のところない、と引退の可能性は完全に否定した。
 また、ロナウドの代理人で中田のローマ移籍をまとめた代理人でもあるブランキーニ氏も「今はケガを治すことだ。保険はケガで引退するときにのみ使うもの。彼には今は関係がない」と答えている。
 この保険は、インテルの要望でロイズが特別にプランしたもので、本来、F1ドライバーやスポーツ選手の場合、掛け金の設定からいっても(ケガの可能性が通常のものよりもはるかに高いため)通常の選手保険とは金額も桁はずれのもので、インテルと、ナイキを含むスポンサー2社、これに本人と4人が受け取れるものだという。110億円以上というのは、サッカーにおけるビジネスというものの側面を知らされるような数字と概念である。
 ロナウドはリハビリ開始まで1か月から2か月とされており、今回はキャリアの中でこれまででもっとも長いブランクを過ごすことになった。

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