2月7日


サッカー日本代表
カールスバーグ杯 香港戦(3位決定戦)前日

 香港戦を前に、日本代表・トルシエ監督が予定していた練習、会見すべてをキャンセルした。この日、午前中は休養で、午後2時半からの練習が行われる予定だった。 広報からの説明によれば「ミーティングが長引き、選手の疲労もあるのでキャンセルが急に決定した」とのことだったが、何も聞かされずにグラウンドで待ちぼうけをさせられた報道陣、ファンも呆気にとられるなど、国際試合らしからぬドタバタぶりもあった。
 午後には、選手それぞれが散歩や休養、カズ、中山雅史は揃ってランニングをするなど、調整を行った。練習は試合当日の8日午前に非公開で行われることになった。

大仁・技術委員長会見〔ホテルロビーで〕一問一答抜粋

大仁氏 (報道陣に向かって)大変申し訳ありません。私自身も、香港協会との会食があり1時間で抜けてしまって、キャンセルになったことは知らなかった。午前11時からのミーティングが(午後1時まで)2時間になってしまい、選手のフィジカルも疲れているだろうし、またモンコック競技場の芝の具合もあまりよくないことから、あすの朝(8日)練習をやって試合に挑むほうがいいだろうという、監督の判断からこうなりました。
──どういうミーティングだったのですか
大仁 ミーティングではメキシコ戦のビデオを見て、いい所、悪い所を、指摘する形だった。
──香港戦の戦い方はどうでしょう
大仁 それは監督が考えることですが、もちろん内容もともなって勝って欲しい。
──技術委員長の目から見ても選手のコンディションは悪かったのですか
大仁 いえ、そうは見えなかった。
──コンビネーションに苦しんでいるようだが
大仁 今は相手が香港とかそういうことではなく、日本のやり方を徹底しているところだと思う。そこでメドが立つかどうか今はそれに(監督が)集中しているだろう。フラット3は本当に難しいもので、そう簡単にパっと集めてどうのこうの、というもんではないでしょうね。
──ということは、(監督の見極めに)相当の猶予も可能ということなのですか。
大仁 ……。まあとにかくベストを尽くして欲しいし、実際のところ、選手の組み合わせなどは、試合でやってみないと分からないもんだと思う。見極めるためには時間がいる。

「疲れていたのは体か、それとも神経か」

 試合前日の練習ドタキャンの理由は、前代未聞の超ロングラン・ミーティングにあった。長いだけではなく、選手はそれ以上に「昼飯抜き」という過酷な条件? を強いられた中でのマラソン・ミーティングだったようだ。
 トルシエ監督は、メキシコ戦のビデオを準備させ、ホワイトボードで説明をしては、ビデオを流し、ポイントポイントをチェックしていたという。
 フラット3自体の確認などは別にどうこういうものではなく、感情的になるなどの場面もなかったという。しかし問題は時間の長さ。11時間から昼食時間をはるかに過ぎてもミーティングが終わらず、空腹に集中力を欠いた選手には、グラウンドでのプレー以上に疲労の色がありあり。
 結局、監督が熱弁を振るうあまりの「時間切れ」で、午後1時半を回って食事にやっとありつけた選手に午後2時半からの練習などはそもそも無理な話。モンコックスタジアムでも、旧正月中だけに公開時間を設定しての貸し出しで使用が困難になったそうだ。
「練習がなくなったことは、自分たちもさっき知らされたばかり」
「疲れました。頭がね」と苦笑しながら街に出る選手の姿も。
 本当に疲れていたのは、監督がキャンセルの理由にあげた「肉体的疲労」ではなく、どうやら頭脳的疲労のようである。

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