カブトムシにあこがれて
ishi

カブトムシ。
いわゆる日本の普通のカブトムシ。
クワガタ採集ではどっちかというとお邪魔虫的な存在のカブトムシ。
でも子供達には人気者!のカブトムシ。
北海道は函館育ちの私にとって、子供の頃からカブトムシを採集することは叶わぬ夢であり、津軽海峡越しに青森を見ては(いわゆる内地ですね)「この海峡の向こうには野生のカブトムシがいるんだ!」と憧憬の念で眺めていたものでした・・・本当に・・・
そんな昆虫少年の思い出話など、少々お付き合いいただければ幸いです(^^)

−少年時代 小学校編−
小学校のクラスに一人くらい虫博士と言われている子がいたと思います。
おそらくこれを読んでいる人の中には身に覚えのある人も少なくないのではないでしょうか?
私もまさにそんな子供の一人でした(^^;
北海道の春を昆虫採集と自転車解禁と共に待ちわびていた当時、とにかくあの頃は昆虫なら何でもOKという感じで、チョウ、バッタ、セミ、トンボ、etc・・・
挙げ句の果てにはボウフラやチャバネゴキブリまで採集飼育するは、カマキリの卵を布団部屋で孵化させてしまうは、親に呆れられていたものでした(^^;
お誕生会で
クラスの女子の家に呼ばれれば、プレゼントにギンヤンマの”ヤゴ”を持って行っちゃうな奴でした・・・今思えばその子と母親は完全に引いてたかも(^^;;
でも、一応言い訳ですが、羽化したてのギンヤンマが朝日にきらめくその美しさを見ればきっと喜んでくれると子供心に思い込んでいたのと、たまたま丁度いい具合にその晩羽化するヤゴがいたので(腹に赤い筋が入るのですぐわかる)ちゃんと牛乳瓶と割り箸でセッティングまでしてあげました。
で、翌
日「トンボかえったよ!」と声をかけられて学校帰りに一緒逃がしてあげたのもよい思い出ですね♪
でも考えてみると、女性へ初めてプレゼントしたのが、”ヤゴ”だったのか・・・自分σ(^_^;)

ってなことばっかりしてたせいかクラスでのあだ名は「むし君」でした(うーんベタだ(^^;)
で、やはり昆虫達の中でも甲虫は特に気になる存在であり、ハムシ、テントウ、ゴミ、オサ、カミキリ、ゲンゴロウ達を追いかけつつ、コガネ(特に糞虫系)&カナブン系はちょっと一目置く存在であり、そしてクワガタはそれらの頂点とも言うべき別格の存在でした♪
そもそも、あの頃クワガタは滅多に採れるものではなく、採れたらラッキー!てな感じで、特に♂は滅多にとれないため超貴重で種類サイズを問わずVIP扱いでした。まあ当時子供がクワガタを採るという事は、情報的にも機動力的にも金銭的にも家庭的にもとにかく非常に高いハードルだったと思います。
また、なんとか採れてもほとんど♀ばかりでした・・・(それでもうれしいんだけど)
でも数が少ないながらもミヤマ・ノコ・オオ・コクワ・アカアシ・スジ・オニと、種類だけはバラエティーに富んでいたので、当時は北海道に棲むクワガタは全部採ったと豪語していたモノでした(^_^;)ゞ
ただ一夏限りの成虫飼育では
やっぱり♂が欲しくて欲しくて、例え小さいコクワであっても♂が採れた時は喜びも倍増でした♪
とくにミヤマクワガタが何と言っても最高で、特大の♂ミヤマの迫力はカッコ良さの極致でした!!
どのくらいミヤマの存在が大きかったかというと、エゾ亜種の存在を知った時には興奮して学級新聞へ特報記事を描いたくらいで(もちガリ版です)もうぞっこんでしたね(^^ゞ
とにかく虫が欲しけりゃ自分で採るっきゃない!当時のそんな状況が今の採集好きにつながるっているようにも思います。(まあ感覚的には釣りと一緒ですね)

−少年時代 ペットショップ編−
で、夏の王様といえばやっぱりカブトムシ。
ペットショップの虫カゴの中にだけ住んでいる・・・それが自分にとってのカブトムシでした。
クワガタは滅多に採れないけど、カブトムシは絶対に採れない存在・・・
自分にとってカブトムシは、お金でしか手に入らない虫だったのです。

当時の一銭店屋(う、歳が・・・)そのままといった感じの掘っ立て小屋に金魚やらウシガエルやら色々売ってる店があって、いつもなにを買うわけでもなく何かいないかと楽しくて行ってたものですが、夏が近づくとカブトムシの入荷はまだかまだかと毎日、それこそ1日に何度も通っていたものでした。
基本的にクワガタガ売られていた記憶はほとんどないんですが、そこでシロスジカミキリを買った記憶はちょっと残ってます・・・確かカブトムシ♂よりも高かった(^^;;
カブトムシの入ったでっかい緑のコンテナカゴが入荷すると、もうかぶりつきで品定めというか単に観るだけで満足してるというか、とにかくドキドキ!ワクワク!飽きもせずによくもまあ眺めていたものでした。
ちょうど月のお小遣いで1ペアが買えて、兄と合わせると2ペアともう1匹買えたと記憶してます。当然のごとく唯一の水槽(いわゆる中プラケース)にまとめ飼いしてましたが、あまりケンカするのを見たことはなかったですね。子供が観察して一番ワクワクするのが♂同士の決闘なんですが、強引にケンカさせてもすぐ辞めちゃったり随分おとなしかった記憶があります。
これでミヤマ♂を一緒にしようものならバッキバキにやられて・・・弱かった(T_T)
TVで観るカブトムシは強くても、本当はミヤマクワガタこそ史上最強なんだ!と思っていたものでした。

後年、実は売られているカブトムシ達は劣悪な環境とキュウリだけの餌ですっかり弱りきっていたため、まるで晩年のジャイアント馬場(ファンでした♪)みたいな動きしかできなかったのだなぁ・・・ということを理解しました。実際の目を見張るほどの俊敏さ!こわれたブルドーザーにような爆発的パワー!!それらを目のあたりにし、ようやく真実を知ったのでした。(長らく誤解してカブトよゴメン!)
−少年時代 田舎編−
そんな自分にとって、小学校の夏休みの恒例行事になっていた父親の実家への帰省は数少ないクワガタ採集のチャンスでした。「汽車」に乗っての数時間の旅は、それだけで本当に待ち遠しい楽しみの一つであり、
田舎で過ごす1週間は、山あり、川あり、海あり、そして友達ありの毎日で宿題も忘れ、朝から魚釣りやカニ採り、あるいは地元の友達と三角ベースに燃えたりとフル稼働状態だったのですが、何と言っても最大のイベントは夜のクワガタ採集でした。(当時の採集は完全に外灯がメインでした)
そして地元の子供達の間でカブトムシの人気は絶大なものがありました。
あの当時田舎の方ではカブトムシなど手に入るものではなく、生まれて初めて本物を見るという子供達ばかりでした。そもそも最初に地元の友達と仲良くなったのも、○○んとこの息子がカブトムシを持っていると評判が広まって(?)、近所の男の子がみんな家に集まってきたのがきっかけでした(^^;
そのうちオレのクワガタとカブトムシを交換してくれという話になって、こちらもなけなしの小遣をはたいて手に入れたカブトムシを簡単に手放せないし、相手も大きな♂のクワガタはやっぱり惜しいので中位の♂2匹とカブト1匹のトレードはどうかとか、おまけに♀のコクワをつけるとか、兄からは小さいカブトで大きい♂クワを交換しろと指令を受けたりとか、子供ながらに色々と駆け引きがあって面白かったですね。
交換できなかった友達とは、帰り際に来年のカブトムシの予約を約束したものでした(^^)
今思うとよき時代だったなぁと本当に懐かしい良い思い出です♪

そんな昆虫少年の熱意も青年になるに従い次第にフェードアウトしていったのでした・・・・
−青年時代−
就職で上京した頃は、セミの多さに驚いたり、ミドリアゲハを見ては感心したり、ゴキブリにびびったりと身近な昆虫達と接しつつ過ごしていました。
とある夏休みのバイクツーリング中、茨城の国道沿いのパーキングで☆カブト♂の干からびた頭部を見つけ「これって自然のカブトムシ?飼ってた奴じゃないのか?やっぱりカブトムシって本当にいるんだ!」と久しぶりにこみ上げるものが・・・
れまで時々北海道ツーリング中に国道横断中のミヤマ♂を見つけて喜んでたりしてましたが、再びカブトムシを意識し出したのはこの時からでしょうか。
それから当時住んでいた千葉県(市川市)近郊を用事ついでにふらっと探してみたものの全く見つかる気配もなく、数年後また忘れかけた頃に福島県内で☆カブト♀を見つけ、さらに数年後東北道SAのトイレ脇でひっくり返ったデカイ☆カブト♂を発見したりと機運は徐々に高まりつつありました。
(PCフォーラムやインターネットにカブクワ情報があることを知るのはもう少し後のこと・・・)
−そして中年(^^;
そして4年前の夏、ついにその時がやってきました。
家族&義姉家族で岩手県北へ泊りがけで遊びに行った時でした。ホテル周辺は全部コナラ林でいかにもクワガタがいそうな雰囲気でいい感じです♪
玄関先でいきなりアカアシ♀を見つけ、これはいるぞーよしっとばかりさっそく夜の採集に!
・・・行く予定が旨すぎるビール&気持ちよすぎる温泉のおかげであえなくダウン・・(o_ _)o
が、夜中3時に採集に行こうね♪と約束していた甥っ子(小2)に起こしてもらっていざ「行くぞ!」
ホテル前の道路沿いの外灯を見回り中草むらをチェックしていると、いきなり草陰にうずくまる黒光りする“モノ”が目に飛び込んできました・・・「
生まれて初めてカブトムシを採った瞬間、それはヤッターっ!という喜びより「ここにいたのか・・・」と、しげしげ感慨に浸っていたことを覚えています。
クワガタの1匹や2匹はいるだろうとは思っていたものの、カブトムシの存在は全く予想外だったので、大げさではなく後から背筋をジワァ〜・・・っとくるものがありました。
結局その時カブトムシはその1匹だけだったものの、ミヤマ、ノコ、アカアシを15匹ほど採ったと思います。(こんなに沢山のクワガタを一度に採集したのも初めてでした(*^ ^*))
部屋に戻ってからひと眠りのつもりが、結局しばらく虫カゴをしみじみと眺めてましたねー。
今思い出しても実に均整のとれたカッコイイ立派な♂でした(^^)v
そんな思い出のカブトムシ初採集から早4年、2年前仙台への転勤を機に採集環境がより身近になったことも相まって遠ざかっていた昆虫採集熱もすっかり復活してしまいました。
当初は空振りを繰り返していたものの、自分なりに色々調べたり、ネットのクワ友さん達からのアドバイスもあり、今ではなんとなくポイントやコツも掴めて来て下手なりに結構カブトムシやク
ワガタも採れるようになりました。
かつての憧れ的存在からすっかり身近な存在になっても、カブトムシ(&クワガタの特に♂)を見つけた時のトキメキや採集の喜びは、少しも変わらないものですね♪
昨年シーズンには採った♂カブトムシが年末まで長生きするのを目の当たりにして、まだまだ知らない、常識では計れない虫達の新しい発見に興味は尽きません。

夢だったカブトムシ採集、幻だったクワガタ採集・・・
この歳になっても心の昆虫少年はまだまだ健在のようです(^^)ゞ
来年もどんなカブトムシやクワガタ達と会える事やら、今から採集シーズンが待ち遠しいこの頃です♪


初カブト&ミヤマ&甥っ子と一緒に(^^)

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