■徳之島への直通便は無いので,どこかでトランジットする必要がある.
今回は鹿児島経由で徳之島へ行くことになった.
奄美大島にくらべて徳之島はリゾート開発はほとんどなく,訪れる観光客も少ない.
実際機内でも観光客らしい姿は見えず,ビジネスマンか島人ばかりである.
これといって特産もないみたいだし,戦艦大和が沈没したのは徳之島沖だとか,そんな程度の知識しか私も持ち合わせていなかった.
一周約90kmのこの島は南西部はさんご礁が隆起してできたのか石灰質の土壌で,多くの鍾乳洞もあるらしい.
徳之島でもっとも有名なのはハブかもしれない.
もちろん奄美大島にも沖縄にもいるハブだが,徳之島のハブは特に獰猛で,木の上から攻撃してくるという.
毒性も高く,いまだに被害件数も多い.
産卵期にジャングルの中に入るのは自殺行為だと言える.
特に高い山もないが,北部のほうが山は深いので虫も多いかもしれない.
離島に行くときはいつも私は事前に地図を頭に叩き込む.
交通手段はレンタカーになるので主要な道路や集落の地名はいちいち地図をみていたのではわずらわしくて仕方が無い.
虫の楽園である離島だが,現地の採集ポイント情報を持たずにいきなりいっても虫はそう簡単には採れない.
今回は別に採りたい虫があったわけではないのでとりあえず出たとこ勝負をすることにした.
まあカミキリとかハナムグリは何かしら採れるだろうし,アマミノクロウサギが見れればラッキーだくらいに思っているのがよいだろう・・・
わすれてはいけない,これは”仕事”なのだ.
■急な話だったので宿も現地調達にしようかと思ったが,運良くインターネットで調べたら安い宿が見つかった.
空港からは離れているが,仕事をするには丁度よい場所だったので即決してしまった.
”3000円”
こんな安い宿にはついぞ泊まったことがないが,どんな宿か楽しみである(笑).
■天気は上場.
ちょっと風が強かったが,飛行機はゆれることも無かった.
眼下に広がる海は真夏の日差しを照り返していた.
徳之島空港へ降り立つとき島の北部が見えたが,思いのほかさんご礁というよりは,岸壁の多い島だということがわかった.
遠浅の砂浜というよりはすぐに海が深くなっているのである.
漁港も少なく今回の仕事はちょっと難しいことになるかもしれない,そんな予感がしていた.
■到着したら,すぐにレンタカーを借りた.
空港前にワゴンが止まっていたので乗せてもらう.
レンタカー屋は空港の敷地の出口にあるので歩いてもまったく問題ない距離である.
半端でなく暑い.
こんなに暑くて乾燥していては,虫もいないのではないか?ふとそんな気がしてならなかった.
■今夜の仕事場であるマリーナ
■沈む夕日
■六甲山に沈む夕日も綺麗だが,離島でみる水平線に沈みゆく夕日は格別だ.
さあ,いよいよ調査開始である.
■調査は予想どおり難航したが,あっというまに2日間が過ぎた.
夜中3時くらいまで島中を走り回っていたので疲労困憊していたため,宿にたどりつくなりいきなり爆睡だ.
3000円の宿はというと,これがすばらしい!
ロフト付きの5人泊まれる部屋を独りで使えて,水量の豊富なシャワーにエアコンは効きすぎるほどだった.
どうやらダイビングの講習会を行うためなのか水深のあるプールも完備である.
これで3000円なら絶対安い.
今度もし徳之島に行く機会があったら再度ここに泊まることは間違いない.
離島,本土で調査を行ってきた相棒いわく,調査旅行でこんな立派な宿に泊まったのは初めてだという.
(普段は野宿だそうだ)
■晴と雨の間
■2日目の夕方スコールが来た.
梅雨明け以後の降水量が3mmというカラカラ状態の島にとっては恵みの水である.
離島は水の確保が難しいのだが,徳之島はダムが多く,水にはあまり困らないようだ.
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