きなわぶと
 
オキナワカブトについて少し書いてみた。ついにクワガタに関して書く事が無くなりカブトの飼育・・・と言う訳では決してない(笑)

生き物を飼う事は元々好きで昆虫以外でも色々な種をやって来たが、小学校低学年の夏は決まってカブト虫の飼育に夢中になったものである。しかし言うに及ばずお粗末なもので夏の終わりには忘れ去れた飼育容器の中にいつも死骸だけが残っていた。
そして昆虫の収集に興味を持った頃には、当然ながらカブト虫の飼育には興味を持てない人間に変わってしまっていた・・(苦笑)。
そんな訳で日本産カブト虫を飼育産卵させた事は最近までなかったのだが、 きっかけは、夏の終わりに一匹の雌が家の玄関の灯りに飛んで来た事からだった。近所には雑木林が幾つかあるが多分そのあたりから飛来したのだろう。最初黒 カナブンに間違えた位、この種としてはとても小さい雌だった。既に9月に入っていたが羽化時期が遅れたのだろうか、しかしずいぶんと元気な雌で、何となく ゼリーでも振舞う気持ちになってしまった。家の灯りに来たのも何かの縁だ(笑)
そしてこの雌は4頭の幼虫を残したのだが、これが家におけるカブト虫の初産卵であった。


沖縄のものは本土産と比べ小型で角もあまり発達しないようで、体形は丸みが強く体色は黒い。どちらかと言うと東南アジア産の小さい個体に似ている印象である。
まず、面白かったのは手にとったとたん、ギュウギュウ、チュウチュウ、と盛んに鳴きはじめたのだ、雄も雌もである。本土産のカブトよりも明らかに大きい声 (音)で良く鳴く。腹部を伸び縮みさせての発音で、今まで飼育したカブト虫は、交尾する際には良く発音している様だったのだが、こちらは何時でも何か刺激 があると盛んに鳴く印象である。


餌さを与える為に飼育容器の蓋を開けたとたん、雄雌ともチュウチュウと鳴き始め、素早くマットに潜るのも面白い。警戒心が強いのか反応が良く、雄は前足と頭部を振って盛んに威嚇をする事もあるが、発音も相手への威嚇なのか? 
飼育経験はないが発音に関して東南アジア方面のこの種もやはり良く鳴くとも聞いている。
一齢幼虫では平らな場所におくと足でも歩くし、仰向けで背中を動かして器用に移動する事もできるが、そんな場所におかれるのは人に遭遇した場合だけ。
日本のカブト虫・Allomyrina の仲間(亜種)は、フィリッピン、インドシナ、中国、韓半島、台湾などに分布とされる。日本の本州が最北の分布地になっていたが、近年上手く人間を利用し て北海道にも分布を広げたらしい。次は沖縄方面か !! (既にか?) 元来、人との関わりは強い種で人の作る環境に適応して個体数を殖やして来たとも云われている。

今回の沖縄産のものは学名がAllomyrina dichotoma takarai とされる亜種であるが、確かに本土のものとは外見のみならず飼育でも少し違う印象を持った。 今まで飼育経験のあるカブトやクワガタの中で、このオキナワカブトが一番良く鳴く。もっとも発音する甲虫というのもそれほど沢山はいないと思うが、クワガタではチリクワガタやオオシワバネクワガタなども発音していた。しかし、このオキナワカブトはその比ではない。 最近飼育した虫の中では、一番気に入ってしまったのだ(笑)。その体形と相まってチュウチュウと鳴いて動きまわるのを見ると、何とも可愛いいカブトなのだ。一度は飼育お薦めである。 03/8/31 A.CHIBA

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