My Foolish Heart (音楽採集JAZZ編)  by tsuu3@田中

 

頭の後で手を重ね、煙草を吸いながら楽譜を読む男。演奏が終わったままうつむきじっと余韻を味わっている男。私の憧れる男はスーツと煙草と眼鏡が似合うジャズピアニストである。

ピアノが好きだ。クラッシックもジャズもピアノがメイン。ピアノには心を駆り立てたり、落ち着かせたりする力が有る。と、勝手に思っている。いや他の楽器や詩にもその力は有るだろう。しかし、自分にとってその効果が最も顕著なのがピアノなのだと思う。
ビートルズばかり聴いていた時もあればQueenばかりの時もあった。はたまたキャンディーズオンリーの時も有れば拓郎の時もあった。そしてもちろんクラッシックを聴きまくった時もあった。しかし、ずっとずっと、細く長く聞き続けているのはやはりJAZZだった。それもピアノ。JAZZピアノの音がずっとずっと私の頭を流れ続けてはなれないでいる。
20年程前の学生の時、原宿(と言っても神宮前だが)に「DAYS」と言う喫茶店があった。とても小さく、テーブルが1つ有るだけで、お姉さんが一人でやっていた。コーヒーを注文しJAZZやブルースなど日常では聴けない音楽が流れ、とても新鮮な感触があった。また、神保町には「響」と言うJAZZ喫茶が有った。古本屋まわりをした後に寄る事が多かった。掘り出し物(と言っても物理と数学の安物だが・・・)の本を見つけた後に良く行った事を記憶している。共通している事は独りと言うことだ。JAZZを聴くのは不思議と独りの時だけなのだ。密かな楽しみと言っても良いだろう。
そんなJAZZを聴かせる喫茶店で出会ったピアニストがBill Evance(ビル・エバンス)だった。他にも好きなピアニストは沢山いるのだが、どうしても、どうしても「My Foolish Heart」を初めて聴いた時の感動と驚きとゾクゾク感が忘れられなくて、そして、彼の写真を初めて見た時の格好良さが忘れられなくて、Bill Evanceになってしまったように思う。
そんな思い出の「DAYS」はある日突然店を閉めてしまった。「響」も既に無くなっていることを先ほど知った。あ〜青春!

さて、最近の私のJAZZ喫茶は車の中だ。採集の行き帰りの車の中はまさにミュージックホール。コーヒーはまずい缶コーヒーだが、最高に良い音楽環境だ。
本日はそんな私のコレクションから採集の車にお勧めのBill EvanceのCDを3枚紹介したいと思う。独りで採集に行くときにお勧めである。ま、精神安定剤と言っても過言ではないだろう。

 

NO.1
 
Green Dolphin Street 
Bill Evance with Philly Joe Jones
January 19, 1959
( Riverside > ビクターVDJ-1567 )

 ジャケットのデザイン(写真)も好き。特に聴いて欲しいのは、「You and the Night and the Music」。この曲はInterplayにも入っている曲だけどこっちの方の演奏が個人的には好きだ。Interplayの方が有名なCDだけど、お勧めの1枚である。
 採集に行くとき、朝日が昇る頃に聴いてはどうだろうか?

 

NO.2
 
Waltz for Debby
Bill Evans Trio with Scott LaFaro, Paul Motian
June 25, 1961
( Riverside RLP-9399 )

 JAZZのCDの中で最も人気の有るCDなんじゃないだろうか?聴いている人がいないんじゃなかろうかと思うような雑音(人の声)の中なのだが・・・演奏は最高だ。特に最初の「My Foolish Heart」は崇高な演奏だと思う。このCDを聴いて良いと思わなかったらJAZZを聴くのはやめた方が良い。このCDは所謂リバーサイド4部作の1つで、JAZZファンでなくても持っていて損のないCDである。
 採集の帰り、夕暮れに聴いてはどうだろうか?

 

NO.3
 
Moon Beams
The Bill Evans Trio
May 17, 1962
( Riverside RLP9428 )

 バラード集である。Scott LaFaroが亡くなった後なので、たいしたこと無いと言う人もいるが、私は好きなCDである。表の女性がどのような方なのかは存じ上げていない。どの曲と言うのでは無く全体的にまるで1曲のように流れるように構成された傑作だと思っている。
 採集の帰り、月夜に聴いてはどうだろうか?

 

以上私の大好きなBill EvansのCDを紹介した。
採集の時と言わず夜ひっそりと聴いてみて下さい。JAZZって良いですよ(^^)
また、お前ごときがエバンスを語るなとか、虫採りと一緒にするなと往年のエバンスファンに怒られてしまいそうであるが、お許し頂きたい。JAZZを紹介しようと思ったら、エバンスしか思いつかなかったのである。
Bud Powell, Herbie Hancock, Keith Jarret・・・他にも素晴らしいピアニストはいるのだが、誰か一人となるとやはり、Bill Evanceになってしまったのである。ごめんなさいm(__)m

 

参考のHP
50年代JAZZ散歩のページ  Bill Evance
JAZZ喫茶のマッチ

  

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