檜枝岐村の昨今 2003.3.17
BAJA
私と桧枝岐との出会いは少々想い出深いものがある。 初めてこの土地を訪れたのは随分前になるが、喜多方ラーメンを食べようと家をでて、お腹一杯になった後、折角遠出したので、他に行けるとこは?と地図とにらめっこし、尾瀬という文字を見つけた。そこで現地まで来た時、あたりはもう暗闇、御池までは、なんとかたどり着いたものの、目的地まではそこから随分歩くのを知って愕然としたのを覚えてる。しゃあないから、来た道を戻りかけた時、広い駐車場に煌々と輝く怪しい灯りを見つけた。”????”と車を止める。あの灯りどっかで見たと思ったが、季節は既に9月である、北東北育ちの私にとって採集シーズンは既に終わっていたのに。 この時、灯火採集をしていたのがr.matsudaさん、そして街灯採集をしていたのが、あいあんさん、タカさん。既にネットでは知り合いであったが、実際に会うのはこれが初めてであった。そしてなによりここが”桧枝岐”であると知った日である。 今から5年以上前の話であるが、桧枝岐はクワ採集者にとって既に有名な場所だった。(ここで言う所の桧枝岐は伊南村、舘岩村などの近隣町村を含む。) 当然この頃からトラブルはあった。 上に書いた懐かしの想い出からも判るように、灯火採集、街灯採集、ルッキング採集、材採集が普通にされてたしね。 この頃の主流は街灯採集で、夜になるとみな街灯の下をライトで照らしつつ、採集に燃えていたねぇ。行った事のある人ならわかると思うけど、場所柄、街灯のある場所は、民家や民宿などが主体です。当然人が住んでいます。しかも、老人の一人暮らしも多んですよね。 当時、ここでの街灯採集のノウハウを教えてもらった時にやっちゃいけないよと教わった事がいくつかあります。(全部当たり前のことなんですけどね。) ・うるさくしない(話し声、車の騒音含む) ・庭など踏み入らない(敷地そのものに入らない様にする) ・むやみやたらに人の家の窓をてらしたりしない ・ごみをその辺にまきちらさない ・挨拶をする そもそもこんな場所で採集するなよって感じもしますが、好意的な住民の方も多く、一緒にお話をしながら、採集してたもんです。 それでも有名ポイントだった場所の中にはゴミを撒き散らしたりしたので、灯りを消されていた場所がありました。 当時聞いたことがある街灯採集に関するトラブルをいくつかあげてみましょう。 1.ゴミを散らかしていくやつらが居る 2.夜中に騒いでうるさいとの苦情がある 3.深夜に家の周りをうろつかれガサゴソ音がして恐い 4.物が壊された 5.庭が踏み荒らされた 6.自販機が荒らされた 7.偽造500円が大量にみつかった 8.車の騒音、スピードをだしすぎて危ない 1〜5はある程度人が集まれば、そういう奴が出てくるだろうなぁってトラブルかなぁと思う。 6、7は???である。全部悪者=採集者じゃないと思うけどねぇ。 8は半分あたりかなぁ。実際そういう車も良く見かけた。でも、ほとんどは尾瀬方面にいく車なんだよなぁ。なにかしら先を争う理由でもあるようで、鬼の様に飛ばす車が多い。 年を追うごとに採集者は増え続けたように思う。 その度に1〜5のトラブルに関する話を聞く機会は増えた気がする。 密度が上がると増えるトラブル、それは諍いだよねぇ。 当然の如く場所取りに関するトラブルも後を絶たない...。 当然、消される街灯、自販機も増えていく...。 最初は少なかったライトトラップも知り合い内で徐々に増えてきた頃まではよかった。ちゃんと場所を借りる手続きや交渉をし、それを守れていた様に思う。 しかしながら、ライトトラップ採集に関するトラブルも増え始めた。 1.ゴミをまきちらす 2.場所取り争い 3.場所を借りる手続きや交渉をしなかったり、約束事を守らない 4.自販機のコンセントから盗電 5.何もない場所にきたのに風情がないとのクレーム 6.カラスが増えた 7.蛾の襲来 8.器物破損 9.盗難 10.鉄パイプ持った追剥ぎまがいがでた 2は大喧嘩やらかしたのが居たらしい 3は知らなかったってのじゃなくて知っててやってたぽい。 酷いのになると、営業妨害まがいのことまでやってたよ。 4はそのまんま。最悪です。 2〜4の理由で有名ポイントだった場所はほとんど禁止エリアになった。 5は仕方ないよね。営業妨害になるし 6は灯火に集まった虫を翌朝、カラスが捕食するのでというものらしい 繁殖数が増えたというより、捕食スポットとしてカラスの仲間内で有名になったと思われる 7は消灯後、ライトトラップに飛来した昆虫が新たな光に向かって集まるというものである。 8に関してはそういう奴居るかもだなぁ。 9は犯人が採集者であったかどうか知らんからなぁ。 10に関しては知ってる限り採集者は被害者で、加害者ではない。 さて、続いては材割採集かな。 これはこのあたりでは比較的少ない採集方法である。小型種採集なんかは大木を粉々にすることはまずないが、オオクワ狙いになると話は別で、気合のはいった事をする奴がでてくる。 まぁ、チェーンソーでばっさりやるわけだ。山中の朽木をばっさりやったらどんな問題に?と思われるでしょうが、この朽木もキノコが生えたりするし、地元の人には山を荒らされたという感じがしたりするのだ。こういうトラブルで入れなくなった林道もあるし。 最後はルッキング採集かな。 1.ゴミを撒き散らす 2.先行争い 3.採集負荷 4.車のスタックや故障 さて、1ですがもう定番になりつつありますね。(笑 林道を歩いていると確かにゴミが目立つ場所林道もありますね。で、実際の所どうなのかなぁと思い出してみると、私が林道であったことのある採集者は結構マナーがよかった気がするよ。ゴミちゃんと持ち帰ってたし。そういう林道は意外に採集者以外の方が多いのよね。観光ついでに山菜採集してる人や、釣りの人ね。彼らがそういうことしてるとは言わないが、人が多けりゃ、そういう事する奴も必然的に増えるそういう事だよね。 2.これは物凄いらしい。昨年秋、久々に”広沢林道って最近どうなのよ。”って話になってちと行ってみた。そしたら実に沢山の採集者にであったが、あんまし採集できていないとの事。聞くところによると朝日が昇る前に林道に来るんだって。6時じゃ遅いんだそうな。確かに、先行したほうが、可能性は高いわな。この辺は渓流釣りに似た感覚だ。でもなぁ、日が昇ってから木に登る個体も多いし、採れないってことはないよ。実際、その後探してみたらちゃんと採集できたし。このとき採集してた人達を下手とは言わない。先行されてる、沢山採集者がいるっていう精神的ダメージが大きいんじゃないかなぁ。 3.採集負荷かぁ、これは多少あるかもなぁ。毎日毎日鬼の様に採集されてたりするわけだし。でも本当に多少だと思うよ。発生環境さえあれば、一時的負荷なんてたいしたこと無い。元々大量に沸いてる場所には少なからず旬な発生環境があって、それが終われば少なくなって、環境に見合った数に落ち着くってなもんでしょう。それに採集者が増えれば、必然的に割り当ても減るわけですしね。有名な場所程、少なくなったなぁちゅう感じがするのはしかたない。 4.これはちと関連あるかもだね。運転おろそかになっちゃうことも多いし。 安全運転第一。これにつきます。(笑 最後に トラブルと採集禁止この根底には微妙な話もある。トラブルを起こされる人達にとってはほとんど利益がないって事だ。宿泊、温泉、ガソリン、食事、お土産等それなりにお金は落ちてると思うんだが、土地柄もあるけど、夕方6時位にはほとんどのお店が閉ってしまい、コンビニなんかも遠く、夜間の収入は少ない。 お金が落ちて、妥協可能な方法ってのは無いんでしょうかね。一次期灯火場所を有料でレンタルするってどうよ?って話もしたことがある。実際やるとなると、問題は人件費等の諸経費を考慮した上で儲けが出るかどうか、場所代を払ってまで灯火採集したいって人がどれだけいるかってことになりますが。試しに予約制でやってみたらどうでしょう? 他には遊虫料(渓流釣りの遊魚料みたいなもの)とったらというアイデアもでたが、これは法律的に難しいかな。 しかし、善意の募金制度みたいなのならありかもしれない。環境保全の為の費用としてなんか買うような形でも良い。何も整備して観光施設作るのだけが観光地の生き方じゃないと思う。自然を昔ながらの姿に維持するのだって立派な観光地の姿だよね。 色々書いたけど、自分が善で、トラブル起こす奴が悪だとは言うつもりはない。採集者として行っている以上自分も同じ穴の狢ちゅうか共犯者みたいなもんだし。人が増えればトラブルは必然的に増えるもんだ。でもね、トラブルは少ないほうが良いに決まってる。トラブルは自分達の首を〆るからね。みんな善人になろうぜってんじゃない、自分の首を〆るのだけはやめようぜ。ただ、それだけなんだ。 |