クワガタムシに最も近い甲虫?
ツノクロツヤムシ
(Cylindrocaulus patalis Lewis)
 
tsuu3@田中
 
 
 ツノクロツヤムシである。初めて採集したのは昨年(2000年)4月、一人で四国の剣山にニセコルリ、ミナミツヤハダ採集に行った時であった。ちょっと太いかなと思ったが、ブナの落ち枝を割ったらいきなり尻が見えた。一瞬”えっ”って思ったが、まさかと思い直し材を割ると出てきた。その時の衝撃は忘れられない。
 何だこいつ? クワガタか? 新種か?・・・・・
 もしかして、これがあのクロツヤムシなのか・・・

冷静に考えれば図鑑で知ったツノクロツヤムシとわかるのだが、図鑑の標本は真上からの写真であり、ちょっとわかりづらい。まして、こんなにグロテスクで、立派なツノを持っているとは知らなかった。
 
 それにしてもクワガタに似ている。体長は20mm程度。前胸、エリトラはチビクワガタを大きくしたイメージである。膨らみ加減がちょっと異なる。頭部はルイスツノヒョウタンのように上方を向いた突起物が有るが、ルイスツノヒョウタンとは異なり大歯では無い。つまり動かない、まさにツノなのである。戦国の武将がカブトにつけたツノ飾りに似ている。また、触覚はクワガタのようにL字には曲がっていない。ゼンマイのように巻きこんでいる。
 
 そして忘れてはいけないのは彼等は鳴くのである。チとキの間のような音で鳴くのである。集団で飼育していると結構うるさい。
 
 ちょっと太いブナの朽ち木を割ると必ず入っていた。オオクワや、ヒメオオの食痕程度の太さの坑道が有り、その中に成虫2匹でいる場合が多かった。なかには黒い成虫数匹と色の茶色い新成虫が数匹とか、成虫と幼虫が一緒など、集団生活していることがわかる。また。4月の採集で、成虫、新成虫が得られることから成虫で越冬しているようだ。
 

 
 小学館の図鑑によると、成虫が幼虫を育てるそうだ。成虫がかみ砕いた朽ち木を幼虫が食べるのである。そして、成虫は灯火に飛来することもなく、常に朽ち木の中で暮らすそうである。本当だろうか?日本では四国と九州だけに生息しているらしい。また、SB氏に聞いたところ、東南アジアにはかなり大きい仲間がいて、そうとうグロテスクなんだそうである。一度見てみたい。怖い物見たさってやつかもしれないが(笑)
 
 結局1ヶ月ほど飼育してどうして良いか訳わからず、調べれば調べる程難しいようで、結局標本にしてしまった。と言うわけで飼育方法はわからない。もし、累代に成功された方がいたら教えて欲しい。また、♂♀の見分け方をご存知の方がいたら教えて下さい。宜しくお願いします。
 
 以上ツノクロツヤムシはクワガタに非常に似ているが、異なる甲虫である。しかし、それ以上のことはあまり良くわかっていないんじゃないかと思う。知らないのはお前だけよ、無知なやっちゃな〜と言う方がいたら、是非色々教えていただきたい。また、もし興味を持たれた方がいたら、色々調べて教えて欲しい。宜しくです。
  

 
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