今号はなんとまぁ、「イカス甲虫群」 とゆうテーマやおまへんか!  わぉ!  ついにクワガタムシ以外の虫がクワ馬鹿に載るのねぇ〜〜〜!!

編集長のK−s氏から原稿をご依頼いただいたとき、真っ先に思いついたのは、やはり奈良県民の私としては、特産のルリセンチコガネのことであった・・・・・


ルリセンチコガネは、ここ (クワ馬鹿) にいらっしゃる虫好きの方々なら一度は耳にしたことのある名前ではないでしょうか?  動物の糞を主食にしている、いわゆる食糞性コガネムシ (糞虫) の一種であるってことは、よくご存知のことかと思います。
でも、ルリセンチコガネって名前、実は種名(または亜種名)ではなくて単なるあだ名だって知ってました? って、知ってるって? すんまそ〜〜ん(^^;)

ルリセンチコガネは、オオセンチコガネって言う食糞性コガネムシの一種の紀伊半島産個体群に対する
俗称なんですね。同様に、京都〜滋賀に産する個体群をミドリセンチコガネなんて呼びます。双方ともその名のとおりの体色なのに加えて、金属光沢を帯びた非常に美しい甲虫です。
紀伊半島全体にいるようですが、どちらかと言うと山地性が強いようで、原生林が保たれている地域に個体数が多いように思います。紀伊山地に行けばたくさんいますが、何処よりも観察しやすいのは奈良公園のある春日山周辺でしょう。
ここの個体群は、おそらくそのほとんどは鹿の糞に依存して世代交代を繰り返しているようですが、逆に言うと多数生息する鹿が大量に排泄する糞を、分解して土に返すという重要な役割を担っているとも言えるのでしょう。

では、オオセンチコガネってどんな虫でしょ?
分類上は・・・・
コガネムシ上科⇒コガネムシ科⇒センチコガネ亜科⇒オオセンチコガネ
コガネムシ上科⇒センチコガネ科⇒オオセンチコガネ     と、2通りの考えがあねようです。
全国に分布していますが、京都、滋賀〜紀伊半島の個体群は緑色〜青緑色〜青色とひじょうに美しいですね。その他の地域の個体群は、だいたい赤みを帯びたのが多いみたいですが、図鑑によると北関東の方のものはまっ赤っ赤みたいでこれまた美しい。実物を見てみたいです。


一言にルリセンチと言っても、その色彩変異は緑っぽいものから青みの強いものまでさまざまです。

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兵庫県氷上産オオセンチです。赤みを帯びた金属光沢で、こちらも綺麗です。北関東のはもっと赤いようです。


近縁のセンチコガネ。オオセンチと比べたら、形はほとんど変わりませんが光沢がやや鈍く、ちょっときちゃない印象。
でも、こちらも色彩変異がおもしろいですよ。特に左のような真っ黒な個体は黒光りしててシブいです。

春日山でセンチ達といっしょに暮らしてるゴホンダイコクコガネ。
こっちの方がカッコいいって!?(^^;)

サムネイルにしました。画像クリックしてみてください。

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さて、なぜタイトルが「ふんころがし」なのか? ですね。

そもそも、ふんころがしとは中東ヨーロッパ方面に分布する糞虫であるスカラベ (和名、タマオシコガネ) 類の、動物の糞を適当な大きさにちぎって、丸めて、後足で器用に転がしながら巣穴に運ぶ習性を見てできた言葉で、日本人がこれを知ったのはファーブル昆虫記ちゃうかなぁ? 
古代エジプト文明では、糞玉を転がすこの虫を太陽を運ぶ神の化身と考えて信仰の対象にしていたと言うお話は有名ですよね。

で、言ってしまうと、日本にはスカラベ、つまり、ふんころがしはいないって事なんですよね(^^;)

ところが春日山のルリセンチは糞を転がすのです!! 本当

もちろん、糞をちぎって丸めるなんて面倒なことはしません。
だって、鹿の糞は最初から丸いんだも〜ん(^^;)

私が目撃したのは、あの丸い鹿の糞を前足で挟んで後ずさりしながら転がして巣穴に運ぶ姿でした。

結論:ニッポンにふんころがしはイルのだ!

ちなみに、保育者の原色日本甲虫図鑑のオオセンチの項には以下のような記述がありました。
「糞塊を引きずる習性がある」

でも、「転がす」とは書いてない!
  
←屁理屈??(^^;)


・上の目撃時、確かに写真を撮った覚えがあるのですが、いくら探しても出てきませんでした・・・・ちょっと心残りです。
・全くクワガタ無しって企画は今回限りでしょうけど、毎号甲虫コーナーみたいなのを設けてくれるよう編集部様に期待しま〜す


注:春日山周辺は特別保護区に指定されているエリアがあります。観察、採集はエリア外で行いましょう。


しゃあげん
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