ルイスツノヒョウタンは本当に和歌山にいた!

by tsuu3@田中


 

 日本産のクワガタ虫を全て採集してみたいと思っている方はいないだろうか?そりゃあ沢山いるでしょうね。私もその中の一人である。しかし、日本列島と言えども広く、離島の亜種まで含めたら、それはもう趣味ではかなり難しいと思いませんか?では本州で採集出来るクワガタを全て採集するのはどうか。これは可能ではないでしょうか?
 しかし、ここでクリアしなければならない、そして採集の難しい種類が3種いると思っていました。これは私の個人的な考えなのですが・・・!ではその3種は何かと言いますと、それは、ルイスツノヒョウタンクワガタ、マメクワガタ、そしてマグソクワガタです。ではなぜなのかと言いますとかなり局所的に生息していると思うからです。報告例も少ないです。しかし、ここで驚くべきことは、これら3種は全て紀伊半島にいるのです。マグソクワガタは紀伊半島以外にも報告例が有り、私は兵庫県で報告の有るポイントに3度出かけましたが、採集出来ていません(^^;;;
やはり月刊むしに報告の有る、紀伊半島が濃いようである。そしてまさに今年、しゃあげんさんより、マグソゲットの嬉しい採集報告を聞くことが出来ました(^^)
 では、ルイスとマメはどうか。この2種は本来南国のクワガタであり、元々本州にいた種ではないと思われます。流木に乗ってやってきたのでしょうか。そして、南国と同じような植生の有る紀伊半島南端に住み着いたのでしょう。と言いますか、植物の方が先に流れついたのかもしれません?あるいはもっと大昔のなごりなのか??個人的な意見ですが、私はルイス、マメは流木に乗り、台風に飛ばされてやってきたと考えています。同じ様に飛ばされたヒラタがいてもおかしくないのですが・・・皆さんはどう思われますか??こんなことを考えながら採集するとまたまた楽しさが広がりますね(^^)

 前置きが長くなってしまいましたが、採集報告に入りましょう!
 ここで、各ポイントの写真を載せていますが、ぼかしを入れていることをお許し下さい。


2000. 4. 8(晴れ)
 今回のメンバーは私の他にk-suganoさん、たんたんさん、kirkさんの4人。予めポイントは5カ所に絞っておいた・・・全然絞っていないって(^^;;;
 実はこの採集の前に私は一人で採集に行っている。結果は坊主。そして3月。大阪で行われた標本展で標本商の方より大きなヒントを得た。それは”海寄り”にいるらしいである。一人で採集に行った時は内陸の川沿いばかり探していた。そして今回の採集では、情報もかなり得て、採集出来ると思われるポイントを5カ所に絞って決行した。

 採集の準備は前日より始まっている。今回は兵庫2人、滋賀2人なので、車2台で予め決めておいた海岸線の道の駅に夜に集まり、車中泊で、当日は早朝から採集を行った。しゃあげんさんも来る予定であったが、仕事多忙のため残念ではあったが不参加となってしまった。


第1ポイント全景

マメかと思ったがチビ
 さて、第一ポイント。ここは名古屋のT.KATOさん、しゃあげんさんより情報を得たポイントで、マメ、チビ、ルイスがいるとの情報を得ており、今回もっとも期待の高いポイントである。
 場所は断崖絶壁で、崖を登りながらの採集なため結構きつい採集であった。最初崖を登った所で、いきなりたんたんさんがマメ(orチビ)を採集したので、さい先が良くてこれは大量かとの期待がかかった。しかし、ポイントは海沿いなので乾燥がきつく良い材はなかなかなかった。
 各人ばらけて採集を開始する。私はがけを登っては下りを繰り返しながら、南に移動しながらの採集を行った。まず巨大な赤枯れの切り株よりネブトクワガタの幼虫を採集する。続いてコクワガタの成虫♀&♂。しかし、ルイスは出ない。白枯れの倒木よりチビクワガタが出てくる。マメか?と思われたが、チビクワであった。ここは乾燥がきつくルイスはいても採集は厳しいだろうとの意見が一致しポイント移動。

第2ポイント全景

ネブトクワガタが多い
 第2ポイントは第1ポイントよりも湿度が有り期待がもたれた。ここはしゃあげんさん情報の場所である。
 車を止めた場所からここに到着するまでに公園を通ってきたが、そこは人が通るとセンサーが関知して音楽がなるようになっており、急な音楽にびっくりさせられた。ついでに音楽が・・・(^^;;;
 さて採集。西に攻めるが何もいない。山頂の神社近辺に結構倒木が有り、探すがなかなかルイスは出てこない。コクワだらけ(^^;;;
巨大な赤枯れの材よりネブトクワガタの幼虫を採集する。当たりだ、ぽこぽこ出てくる。成虫も出てきた。がしかし、肝心のルイスは誰も出ていないようであった。個人的にはここのネブトクワガタは特化していないかと期待をしている(^^)
 ここにはいないとの意見が一致し、第3ポイントに移動する。

第5ポイント

みんなでばきばきする。KS氏はゲットしたもよう
 第3ポイントに移動するが、第3ポイントは私有地であるため、採集は困難との情報をたんたんさんが得ており断念する。また、近くに行ってみると第4ポイントは結構歩くことが判明したので、第5ポイントに先に行ってみることにした。車を適当において、釣り人の目を気にしながら(嘘)進む。
 まずは山頂をぬけ、ずっと先まで進むと・・・断崖絶壁であった&景色が綺麗だ・・・そんな場合じゃない!谷を下り、材を探すが乾燥がきつく全然いそうも無い。コクワも出てこない。皆息消沈。そそくさと第4ポイントに移ろうと方向チェンジする。がしかし、あきらめ切れずに材が有ればたたく・・・
 たんたんさんが、太い材を蹴っている。k-suganoさんが、ガーバー(斧)で割る。何か出たようだ。奇声がこだまする!
  ”
出た〜〜〜〜〜〜〜〜〜!ゲット、ゲット!
どどど!と皆駆け寄る。そして、k-sugano氏はおもむろに私に虫を見せ、
  ”これ、ルイスツノヒョウタンでしょ?”
だって。私はびっくり仰天!
  ”そうです、そうです。”
続いてたんたんさんが、
  ”じゃあこれは幼虫なの?”
私はますます興奮して、
  ”そうです、そうです”
を繰り返す。

幼虫と成虫が一緒に出てくる

採集に満足した隊員

 倒木の材は厚い乾燥した樹皮に覆われており、その中が朽ちているような状態であった。木はタブの木か、スダジイだと思われるがクスノ木にも似る?幼虫が食べた痕は材が茶色くなっているようだ。4人集まりその材をばきばき始める。出てくる、出てくる。良かった(^^)
 その材を食べ終わり、近辺を見て回るがなかなかいない、私が同じ種類の材だが、腕の太さ程度の材を見つけると幼虫が数匹出てきた。その木は成虫は2匹のみ。やはり太い材を好むようだ。さらに探せばまだまだいると思われる。結構この近辺には沢山生息しているのではないかとも思われる。さらに採集したかったが、今回はこのくらいにして、満足をかみしめて和歌山を後にした。

 皆、興奮が止まないようだ。そして、満足が徐々に徐々にわいてくる。これはこの後の食事、帰路に向かう車の運転に現れた。特にk-suganoさんは興奮状態が続き、車中では松田聖子、サザンの熱唱が続いた(瀑)そして、いつもは沈着冷静なkirk氏も今回ばかりは車の運転が激しく、カーブの多い山道走行を楽しんでいるようであった。で、私はついていくのがやっとであった(^^;;;

 私はと言えば採集出来た興奮と心残りが続いた・・・・
どうも第4ポイントに沢山いるのではないか?第4ポイントがホントのポイントではないだろうか?との思いが募ったのである。あそこにあれだけしかいないのはおかしい、きっとあそこの近くの第4ポイントがホントのタコ採れポイントなのだろう・・・・・
 結局次の週も行ってしまったのである。そしてその結果は(^^;;;

 



採集したルイスツノヒョウタンクワガタ

採集したルイスツノヒョウタンクワガタ幼虫


採集したチビクワガタ

 


採集したネブトクワガタ

 

 今回の走行距離は600km程度でしたが、和歌山、奈良の山道は険しく、時間もかかり潮岬など紀伊半島の南端はかなり遠い所だと実感した。近畿だから和歌山なんて近いだろうなどと思ってもらっては困る。串本近辺は陸の孤島である。大阪から6時間もかかるのである(^^;;;
 でもまた今度はマメ採集に行くのだろうな。
 マグソも行くでしょう(^^)

 和歌山には確かにルイスツノヒョウタンクワガタが生息していました。採集した数は少なかったですが、採集出来ました。初採集の感動は何度味わっても良いものです。一生忘れないでしょう!
 また、予想を立てて採集に行き実際に採集出来た喜びは、教えてもらって採集するよりも何十倍もうれしいものです。

 これだから、採集はやめられませんな(^^)  

 

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