「ハーバード大学自然史博物館をたずねて」
by SIGMA B
 

1. はじめに
 仕事で海外のいろいろなところにいく機会がある.空き時間があると,その地の美術館や博物館を見てまわったりする.美術館や博物館の展示物にももちろん興味があるが,実はそれを観賞している人間の反応もまた見ていて楽しいものがある.今回はハーバード大学を訪れる機会があったので付属の自然史博物館を訪ねてみた.

2. ボストンとケンブリッジ
 ハーバード大学はアメリカ東海岸のマサチューセッツ州にある.この州の都はボストンであるが,大学のあるケンブリッジはボストンから見ればチャールズ川をはさんだ隣町である.マサチューセッツ州を含めた周辺6州はNew Englandとよばれることからもわかるように旧英国領である.街並みはアメリカにしてはヨーロッパ的なたたずまいを見せている.最近は,ボストンマラソンの中継やボストン美術館などで日本人にはなじみがある.
 ボストンのダウンタウンからハーバードまでTと呼ばれる地下鉄で5駅の距離である.その途中のケンドールには別にマサチューセッツ工科大がある.ハーバードで地下鉄をおりると,その前に大きな大学生協(The Coop)が目に入る.生協はハーバードのロゴ入りTシャツやトレーナーを買い求めにきた観光客で混雑している.
 その近くのハーバードヤードも観光客に人気がある.芝生の中庭で,創立者であるジョン・ハーバードの銅像が鎮座していかにも「大学」といった雰囲気である.そこをぬけると科学センターがある.訪れたときには.たまたまその前で留学生達がフリーマーケットを開いていた.とりあえず(?),まず仕事を片づけて(仕事といってもあちらの研究グループとの懇談であるが),いよいよ自然史博物館に向かう.

3. ハーバード大学自然史博物館 (Harvard University Museum of Natural History)
 科学センター先のれんが造りの建物が博物館であった.入口は写真の通り.入口を入ると,きさくなおばちゃんが受付をしている.入場料$5を払うと,入場証代わりに服につけろといってシールをわたされた.シールはどうみてもラーメン丼の縁についている四角い渦巻き模様にしか見えないが,とにかくつけてみた.(あとでこれがこの博物館のマークであることがわかった!)おばちゃんはすかさず「何を見に来たんだい?」と聞いてくる.「甲虫だよ」というと,「昆虫を見に来る奴は珍しいね.はるばる来たのかい?3Fの鳥のコーナーの近くに少しだけどあるよ」とかなんとかいって,ご丁寧にも地図に場所をマークをして渡してくれた.
 この博物館は,実は4つの博物館の集まりである.それらは植物館博物館,比較動物学博物館,鉱物・地質学博物館,考古・民族学博物館である.しかしこれらはつながっていて自由に行き来でき,いずれももともとは大学の研究目的で収集されたものである.

4. 比較動物学博物館 (Museum of Comparative Zoology)

 とりあえず教えてもらったところに行ってみる.一般向けの常設展示としては結構充実している.クワガタのところは"JAWS"という標識があり,昆虫では最も充実している.全部で3箱だ.(使い捨てカメラで撮影しているので写真の写りがわるくてすみません).ニジイロ,オノツキネブト,ミヤマ,ノコギリの類などメジャーな種類は一通りそろっている(しかし珍種はないようだ).壁の裏側にはアトラスやサイカブトなどカブトムシ,テナガコガネ,スカラベがならんでいる(ここでフィルムがなくなって残念ながら写せなかったが ^_^;;;).ほかにもカミキリムシ,オサムシ,バイオリンムシ,カメムシなどが充実していた.(しかし正直なところ,「むし社」の品揃えぐらいのレベルか(失礼)?)

 昆虫の隣の部屋では,シーラカンスが出迎えてくれた.その奥には巨大なトリケラトプスの頭の化石だ!トリケラトプスの頭は角が3本あるせいか,巨大なカブトムシといった感じである.ちなみにトリケラトプスのタイプ標本がこの博物館にあるらしい.ほかにエダホサウルスやディメトロドンがいる.アメリカ人の恐竜好きは,日本人のクワガタ好きにまさっているに違いない.(いいかげんディノサウルスやジュラシックパークには飽きているのは著者だけか?)いくらオオクワガタに1千万円の値がついても,恐竜の化石の値段には遠く及ばない.(もちろん,無意味な比較ではある.彼らをかき立てるのは何でしょうか?)
 そのほかの部屋では,ガラスでできたリアルな植物模型(グラスフラワー)とジェムストーン(鉱物)が見どころでした.しかし一つ一つの能書きを読んでいたら,いくら時間があっても足りないので,だいたい素通りしました.それから1Fのショップ(書籍,標本,玩具など販売)も見る価値大でした,何も買いませんでしたが.

5. おわりに
 以上つらつらとくだらないことを書いてきた.もしボストン/ケンブリッジに行かれることがあれば,是非お子さんと一緒に自然史博物館を訪ねてみてください.この種の展示は日本よりもすぐれていて,子供にもわかりやすくできている.
 ところで,ハーバード大学は日本では雅子妃殿下の出身大学として巷では有名である.学生時代にこの展示をごらんになってクワガタ好きになられたのかもしれない.

 さらに詳しい情報が知りたい方は,以下のURLにアクセスください.
 博物館一般 http://www.mcz.harvard.edu/
 昆虫関係 http://www.mcz.harvard.edu/Departments/Entomology/ent_home.html

以上


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