ニセコルリクワガタ採集記

k-sugano


ニセコルリクワガタ(Platycerus sugtai Okuda et Fujita)は四国、九州には広く分布しているが、本州では紀伊半島のみに棲息している。
過日、しゃあげんさん&ふじもりえりーさんのコンビで、紀伊半島某所にて材割採集をおこない。その結果、100を越すキンキコルリクワガタと若干のニセコルリクワガタを得たというニュースに接し、いわゆる初期のコルリ病に罹ってしまった私は、「行く!行く!ニセコ欲しい!」とコルリプロな人達の迷惑も省みずわめきちらすことになったのである。

さて、今回のニセコ採集は、しゃあげんさんの案内で紀伊半島M山を訪れることになった。
メンバーはしゃあげん、ふじもりえりー、tsuu3そして私の4人だ。このメンバーでは少し前に大阪府ラベルのキンキコルリを落とそうということで採集に行った。このときは、くわ馬鹿の中でもぬきんでた採集派のえりーさん、tsuu3とNIFTYの中でも採集派のしゃあげんさんを引き合わせることも目的としていたのだった。結果は幼虫ばかりだったが、、、
 

さて、採集前夜、いつものようにtsuu3に迎えに来ていただき、車は一路紀伊半島の山奥へ、、
予定ではM山の登山道があるGトンネル東側の駐車場で、ふじもり車、しゃあげん車と落ち合い、仮眠して朝から登山を開始することになっていた。

車は快調にM山を目指す。ところがあと少しというところで「トンネル工事中:通行止め」の看板が。。。。。
うーむ。トンネルが閉鎖されているのなら、西側入り口へと続くこの道からでは東側の駐車場へいけないかも。。。
しかし、とりあえず進む事にする。しゃあげんさんやふじもりさんの思考パターンでは必ず行っているに違いないからだ。

途中で山道に白い動くものが!! 鹿のケツだった(^^;; 流石奈良である。
都合3回、計5頭の鹿に出会った後、トンネル西側入り口に到着した。予想通りしゃあげん号は先着していた。

少し談笑したあと明日に備えて寝ることにする。が、うとうとしかけたころにえりーさんの見慣れた赤い4駆がやってきた。全員揃ったわけだ。



 

日の出とともに目覚める。早速登山道のあるトンネル東側へ進む。

「歩いても通れなかったえらいこっちゃで」などといいながら進んでいくと遥か前方に光が見えた。トンネルは通じている。

およそ20分歩いて東側に出た。ここから登山であるがこれがそのキツイなんてものではない。ほとんど道などないのである。しかも急な登りの連続で、「おいおい話が違うやんけ!」状態と化したわたしは「ちょい休憩!」を繰り返しながら登っていくのであった。

さて、このM山では標高の低いといっても1000m付近のトンネル付近でキンキコルリが採れ、1200m以上からはニセコルリのテリトリーになっているらしい。また立ち枯れにはルリクワガタもいるとの情報である。更には、ツヤハダクワガタもいると、これはもう「エサケルス」の世界である(笑)

登り始めて少しのところでツヤハダ材を見つけた。ツヤハダ材とは表面は固いが中が赤腐れしている材でtsuu3の最も愛している材である。tsuu3は早速ガーバーを取り出してバキバキしばきはじめた。

「おっ!幼虫。これツヤハダだわ」とtsuu3。結局幼虫ばかりで成虫はでなかった。

やがてブナの林になってきた。各自適当に散らばる。

斜面で採集する鉄人えりーさん

ゴソゴソやってる私

「でたよーん」とはtsuu3の声。
早速見に行く。

「えーとですねぇー。こういう場所の半分埋もれた材がいいんですよ」(t3)
「これなんかいいですねぇー」(t3)
「ふむふむ」(ks)
「割ってみましょう。ほらいた!」(t3)
「・・・・・・」(ks)

プロ3人の中の素人一人状態である(^^;;
とはいえ、ポツポツとは採れる。

ニセコルリクワガタの♀

ニセコルリクワガタの♂
 


そうこうしているうちに他の3人はどんどん奥へ行ってしまった。
急ぎ後を追う。

すると南側斜面で材割の音が、、、tsuu3得意のガーバー攻撃の音である。
音のする方向へ行ってみると、見事なブナの立ち枯れを攻撃している真っ最中である。

「すげぇー食痕だらけ」(t3)

直径4cm近い食痕が縦横無尽に走っている。が、成虫も幼虫も出ない。

「こりゃヒメオオだね」(ks)
「うわお!でたぁー」(t3)

巨大な♂の死体が出てきた。
後日、復元すると55mmもあったらしい。

こういう巨大ヒメオオの♂の死体ばかり3頭でてきたが、新成虫はいなかった。
巨大♂は材の芯近くに蛹室を作っており、出にくかったのだろうか。


さて、まだヒメオオ材を割りつづけるtsuu3をおいて、えりー&しゃあげん組を追った。
ふたりは少し奥のブナの立ち枯れの多い場所でルリ採集の真っ最中。

手前に産卵マークベタベタのよい材があった、わたしもこれを掘ることにする

表面を剥ぐように削っていくと食痕が、、、それを追っていくと成虫が、、、、

うーむ。これは面白い。

そうこうしているうちにtsuu3も追いついてきて、みんなで昼食を取ってひとやすみ。
その後も、ニセコルリクワガタを追加して下山した。
 



 

今回の登山は非常にきつく、ゼフ採集で結構山は登っているがコタエタ。二度と登りたくない山である。
しかしながらルリ属の採集は楽しく、このあとも数回フィールドででることになる。ついには2週連続新潟遠征などという暴挙にも、、、、
幸いにして新潟単独遠征では好天にも恵まれ軽く3桁採集することができた。ますますPlatyな採集にはまっていくのであろう。

またzephyrus採集とplatycerus採集は似ているような気がする。小型で美麗。出現期は一瞬。山に登らなければ採集できない。

platyなクワガタ屋さんはゼフ屋に即なれまっせー(^^)



 


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