松本支部2号車1968年式ダイハツ・フェロー・バンEVについて



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ダイハツ・フェロー電気自動車について

 公害問題が表面化してきた1965年にダイハツは電気自動車の研究を開始した。1966年には関西電力、ダイハツ、日本電池を中心とした電気自動車研究会(BCC)が設立され、コンパーノ・バンをベースとした試作第1号車が製作された。日本では戦前から戦時中にかけて湯浅電池を中心に電気自動車が開発され、1941年には年産200台を超えるに至った。これに対しこのBCC試作車は「再開発電気自動車」と呼ばれた。
 1967年8月、BCCは湯浅電池、安川電機、松下電器を会員に加え、電気自動車開発委員会と改称し、関西電力のサービスカーとして使用する2号車以降の試作車を製作することになった。これが今回復元したフェローバンである。写真は「電気自動車時代」徳永惇著 1970年 ぺりかん社 より
 ダイハツ・フェローはダイハツ初の本格的軽乗用車である。この商用車版であるバンは本来356cc2サイクル直列2気筒エンジンを搭載し、後輪を駆動するオーソドックスな車である。23ps(17Kw)のエンジンに代えて5.3Kwのモーターを搭載したEDC2号車は1968年2月に完成し、オリジナルの最高速度85キロに対し70キロ、一充電走行距離80キロを実現した。その後1969年にかけてフェローバンを改造した試作車は7号車まで(4号車は欠番)5台が製作され、関西電力の営業所でテストが行われた。  今回日本EVクラブ松本では放置されていたフェロー・バンをレストアし、ダイハツ製の1979年式7人乗りゴルフ・カートの日本電装製モーターおよび周辺部品を流用する形で当時の電気自動車に近い形に復元した。モーターのメーカー、バッテリーの容量や制御回路などがオリジナルどおりではない。

(参考文献 : 徳永 惇著 電気自動車時代1970年 ぺりかん社)

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使用部品について
モーター

 今回使用した日本電装ML型は1980年頃のダイハツ・ゴルフカートから取り外した物です。形式はブラシを持つ直流直巻き型で、性能は定格出力14kWとなっていますが、ゴルフカート仕様のため回転数があがらず、スピードは出ません。




アダプター・プレートおよびマウント
 モーターとトランスミッションを接続するためのベル・ハウジングおよびシャフト・カップリングはゴルフカートの物をミッションごと利用しました。マウントはエンジンマウントを流用してステーで寸法を合わせました。

コントローラー

 ゴルフカートのオリジナルのコントローラは大きすぎ、また構成が複雑で再利用はで きませんでした。ここはアメリカ製のCURTIS-PMC model 1221B-7401を使用しました。 この部分はオリジナルと大きく異なります。

コンタクター、ブレーカー、ヒューズなど

 小物部品については破損していたブレーカー以外、できるだけダイハツのオリジナル 部品を再使用しました。

バッテリー

 駆動用バッテリーは電気自動車専用のGS ED150(12V 150Ah)を6個直列接続しました。 1個42kgあるためバッテリーの総重量は約250kgになります。このバッテリーは電力 会社の巡回用に使われていたEVから定期交換で放出された物を入手しました。  また、駆動用バッテリーの他に、ライトやコンタクターの電源として、オリジナルの 12Vのバッテリーは残しておきます。

性能
 モーターの性能の限界で、スピードは50km/hくらいしか出ませんが、EVらしく出足 は良く、力強い加速を見せます。1968年に試作されたオリジナルの性能は390kgのバ ッテリーを搭載して最高速度60km/hでしたからまあこんなところでしょう。

現在、この車体は書類がなく、車検を取れないため解体しました。

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