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ぼくはドライブしている

昔の詩人には経験出来ない現象を ぼくは体験している

この加速Gを体験出来るは 現代人だけだ

それを表現できるのも 車を所有している ぼくみたいな ごく一般人だけさ

横Gも 一般人である このぼくが ごく普通の加速感に酔いしれている

ぼくは 暴走族ではない でも この解放感は何だろう

ぼくは 峠を攻めている訳でもない ただ 大昔の旅を 数時間で経験できる

情緒も何もない 

ただ 場所を移動している ただ 空間を移動している

相対性理論の中で 実証してる 時間を延ばしている現象に 立ち会っている

体感している

信号ラリーをしている訳でない 蛇行運転しているわけではない

しかも ぼくは徒党を組まない 何とか詩人会になんか 絶対入会しない

ぼくは 本来の無頼なのだ 吟遊詩人なのだ 風来坊なのだ 雲助なのだ

世間のしがらみもない 家族もない 責任もない

詩人は 本来は そうではなかったのか 理想は そうでなかったのか

ぼくは ドライブしている

(作品は「渤海」31号に掲載)