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撮影時の露出
特性曲線と濃度 諧調再現の仕組み ゾーンシステム 印画紙の対数露光域 ISO Rangeと号数 レンジマッチング法 必要な機材 濃度測定法 特性曲線と実効感度 撮影時の露出 プリント 誤差の要因

 

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ここではあくまでも、レンジマッチング法でプリントをするために最適な撮影時の露出の決め方ということです。本来なら、露出の決め方は最初に記述するべきでしょうが、レンジマッチング法の概要を理解していただき、そのための露出決定法だということです。

多くの写真家が、モノクロの撮影時にはAEでプログラムモードにして撮影しているようです。「実効感度の決定法」で述べたように、自分のカメラとフィルム・現像システムに合致した実効感度を正確に定めている場合には、AEでプログラムモードにして撮影するのは、大多数の被写体に対しては合理的な判断だといえます。しかし、空のように非常に明るい被写体と重要なシャドー部が同時に画面に収まるようなときにはシャドー部の露出が不足することになります。

露出の最大の失敗は露光不足です。それによりシャドー部では細部が失われ、いかなる処理をしてもどのような巧みな操作をしても回復は望めません。したがって、プリントにとどめたい被写体細部の最暗部を基準にして露出を決定します。

ゾーンスケールの説明で、シャドー部の被写体の質感をわずかでもとどめているのはゾーンUであり、最大限に細部が見られるのはゾーンVであることを思い出してください。したがって、すくなくとも質感だけは再現したいと望む重要なシャドー部の輝度をゾーンUに置くことです。あるいは、シャドー部の細部を克明に描きたいと望むのであればゾーンVに置かなければなりません。

実際の撮影時にはカメラのスポット測光を使用します。スポットメーターがあれば最良なのですが、ズームレンズと併用すれば、カメラのスポット測光でも相当細部の輝度を測定することができます。被写体の中の重要なシャドー部をスポット測光で測光します。このままプリントすればこのシャドー部が18%グレーにプリントされます。これをゾーンUに位置付けてプリントしたいのであれば-3段の露出補正をします。ゾーンVに位置付けたいのなら-2段の露出補正です。実行感度の設定とこの「シャドー基準」の露出補正の両方で、シャドー部のフィルムへの記録がカメラ任せの成り行き次第ではなく、完全に保証されます。

ハイライト部は、被写体輝度域の幅に応じて特性曲線上のそれぞれの位置に記録されるでしょう。T-Maxのように、ハイライト部の曲線が飽和せずになだらかに延びているようなフィルムでは、ハイライト部の記録には気を煩わす必要はありません。(プリント時には大いに注意する必要があります。)

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最終更新日:2006/02/07