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モニタの校正
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カラーマネジメントを正確に行うには、モニタの正しいキャリブレーションが、決定的に重要です。これがいい加減では、最終的な印刷結果でいくら試行錯誤しても決して良い作品にはなりません。

最近のデジタル端子付きのディスプレイではほぼ正確に色が出ます。購入したままの状態でも十分に使用に耐えるようになってきました。しかし経年変化もありますから、そうした場合でも念のために以下の方法でチェックすることをお勧めします。

ブラウン管か液晶か

ブラウン管は、もう選択したくても手に入れるのが難しくなりましたね。

壁紙の準備

モニタのキャリブレーションを容易にするために、デスクトップに右の画像を「壁紙」として貼り付けます。この画像は色情報を削除したRGB形式のBMPファイルです。画像の上部にはKodakのグレースケール に似せた20ステップのスケールを貼り付けてあります。

下のファイル名の部分(画像はクリックしないでください)をマウスで右クリックして「対象をファイルに保存」を選択してください。

            壁紙用画像ファイル  gr-chart.bmp (1.8MByte)

壁紙を張るつける方法は、デスクトップ上でマウスの右ボタンをクリックします。「プロパティ」を選ぶと「画面のプロパティ」ダイアログが表示されます。
「デスクトップ」タブを選んで、「参照」から上のファイルを保存した場所を指定します。
「表示位置」は「中央に表示」にします。

環境光源をチェックする

モニタのキャリブレーションの前に、そのモニタが置かれた部屋の環境光を整えましょう。周囲の光の色温度によって色の見え方が変わってくるからです。蛍光灯にはさまざまな色温度のものがあります。これがばらばらでは正確な色の評価など行えません。

理想的には印刷の基準光であるD50の「色評価用」蛍光灯を使います。(色温度5000K、高演色性蛍光灯)ナショナル「リアルクス(昼白色)」など(20Wタイプが定価で1000円位)。 同じ色評価用でも2700Kの昼光色があるので間違わないように。
これらが手にいらない場合でも、3波長昼白色蛍光灯なら5000Kに近い色温度になっています。(東芝メロウラインなど)
せめてこの程度は用意したいものです。

   http://www.tlt.co.jp/tlt/new/fhf/fhf.htm 東芝メロウライン

【色温度】
ある色の光が"黒体"をどの温度に熱したときに発する色かの判定をし、そのときの絶対温度を色温度という。単位はK(ケルビン)。
青紫光と赤色光の相対的な強さを表す数値。色温度が高い光ほど短波調光を多く含んで青っぽく、色温度の低いほど長波調光を多く含んで赤っぽい光になる。

 

モニタのキャリブレーション は専用のアプリケーションと高価な測定器を使用する方法などいろいろとあります。MonacoEZcolor
最も正確に測定できるのは分光光度計です。印刷現場などでは多く使用されているようですが、アマチュア写真家が購入するにはとても高価です。(安くなったといわれる「i1 Photo」でも35万円)

ナナオの「キャリブレーション対応ディスプレイ」ColorEdgeシリーズもいいですね。高価ですが、i1とともに使用すれば完全なキャリブレーションができそうです。


手の届く価格で国内で入手できるものに、MonacoEZcolor 2.5 があります。定価 93,800円で、下記のWebから購入することができます。液晶ディスプレイにも対応しています。

                     http://www.monacosys.jp/

ただ、使った人の感想では『AdobeGammaでやったほうがよっぽど良い結果が出る』という話も聞きます。


Adobe Gammaによるキャリブレーション

正確にキャリブレーションするのなら こうした機器を使用すべきですが、私たち写真を趣味とする者にはそこまで投資する余裕はありません。ここではもっとも費用のかからない「Adobe Gamma」を使用する方法を紹介します。

ディスプレイの電源を入れ、30分から1時間以上置いて、安定してから作業を始めます。

Photoshop あるは Photoshop Elements をインストールすれば「コントロールパネル」に「Adobe Gamma」が表示されます。

「Adobe Gamma」を起動します。「ステップごと(ウィザード)」をチェックして、後は画面に従って設定していきます。

(1) 現在使用されているモニタプロファイルが表示されます。モニタのメーカのプロファイルであることを確認して次へ進みます。

モニタ付属のFDなどを使ってICCプロファイルをインストールしてある場合は「次へ」へ進みます。
ICC
プロファイルがない場合は、メーカに問い合わせるか、メーカのHP
からダウンロードできる場合もあります。 (よほど古いディスプレイを使っているのでない限り、ICCプロファイルはインストールされています)

両方ともない場合は、ブラウン管のメーカが分かれば(トリニトロンなど。ソニー製でもトリニトロンを使っていないものもあるので注意)、「読み込み」をクリックして、色温度9300K、ガンマ2.2ICCファイルを探します。「Trinitron Compatible 9300K G2.2.icc」などと書かれています。(これも迷うところです。9300Kは一般に青が強すぎます。通常の蛍光灯下の作業では6500K程度です。作業環境にもよりますが、同じファイル名で6500Kのものがあればそれを選択したほうがベターでしょう。)  手っ取り早くディスプレイを買いなおすほうが早道かもしれません。

日本人は青白い白を好むということで、日本向けのディスプレイには比較的高めの色温度(9300K)が設定されている場合が多いのです。
Windowsの基本設定のガンマは2.2です。(Mac1.8
ブラウン管の種類も分からない場合には、仕方ないので「sRGB Color Space Profile.icc
」を選択します。

(2) 明るさとコントラストの調整です。ダイアログの指示にしたがって、まずモニタコントラストを最大にします。次に白い部分の明るさを変えない程度に「明るさ」を落としていき、中心のボックスがなるべく黒くなるようにします。
(この表現は分かりにくく、設定に困惑します。何度か試行錯誤する必要があります。最終的にはモノクロの壁紙で調整することになります。)

(3) 色度座標の選択です。メーカのICCプロファイルがインストールされていれば、メーカ推奨の色度座標が設定されているはずです。メーカのプロファイルがなくてブラウン管の種類もわからない場合はHDTV(CCIR 709)を選択します。

(4) 「単一ガンマのみ表示」の状態でスライダを調整します。このとき、目を仏像のように細めて、焦点をぼやけた状態で見るとうまく調整できます。

    メーカ提供のプロファイルがインストールされていれば、そのガンマ値が表示されます。(一般にWindowsでは2.2、Macでは1.8)
     専門的知識のない場合は、この値は変更しないほうが無難です。

     また、このガンマ値はメモしておいてください。グレー補正用のトーンカーブ作成のときに使います。

(5) 「単一ガンマのみ設定」のチェックボタンをはずします。RGBの各色を微調整します。このとき、目を仏像のように細めて、焦点をぼやけた状態で見るとうまく調整できます。壁紙がグレーに見えずに赤っぽくあるいは青っぽく見えることがあります。壁紙が ニュートラルグレーに見えるように細かく調整します。 各色のスライダをクリックしてアクティブにしたら、キーボードの方向キーで微調整すると、より正確に設定できます。

この「単一ガンマのみ表示」のチェックボタンのON・OFFを繰り返しながら、何度か調整してください。

(6) 白色点の設定

ここにはICCプロファイルに書かれてある色温度が設定されています。
ダイアログには「この設定が適切でない場合は、・・・」と書かれていますが、適切でないことをどのように判断するかは書かれていません。あまり親切な説明とはいえません ね。

次の表に大まかな色温度を記載したので、参考にしてください。

色温度(°K:ケルビン温度)

光源

7000 晴天日陰/100%曇天
6500 曇天天空光/雨天光/三波長型蛍光灯
5700 曇天、昼光色蛍光灯、3波長昼光色蛍光灯
5500 デジカメの「晴天」
5000 晴天の9時・3時(春秋)/3波長昼白色蛍光灯/写真用ビュアー
4200 白色蛍光灯
4000 日の出後/日没前
3500 早朝/夕暮れ
2900 タングステン電球100W、3波長温白色蛍光灯
2700 タングステン電球 60W、3波長電球色蛍光灯
18001200 天空光

9300Kは結構高い温度だと分かります。一般的なビジネスシーなどの場合には三波長型蛍光灯(ナショナルパルックなど)を使用しているので、6500Kにするのが良いでしょう。上に書いた色評価用の蛍光灯を使っているのであれば迷わず5000Kにしましょう。

心配な場合は、「測定」ボタンを押せば周囲の環境色温度を測定することができます。

(6) キャリブレーションの比較

「前後」のボタンの切り替えでキャリブレーションの前と後の効果を見ることができます。

こうして調整した結果を「新しいプロファイル名」で保存します。デフォルトではファイル名の後に「_copy」が付けられています。元のファイルは絶対に上書きしないようにしましょう。このファイル名は スキャナの校正ページでも使用しますから、メモをしておきましょう。

何度か設定をしてみれば分かりますが、昼間と夜間、カーテンのあるなしなど 周辺環境光の具合でずいぶんと設定が変わることに驚くに違いありません。したがって、画像処理作業はここでの設定と同じ環境条件でおこなうことが望ましいのです。

一度の設定では満足できる結果にならないはずです。お金をかけないで済ますのですから、楽にしようなどとは思わないことです。何度か挑戦してください。 ディスプレイのキャリブレーションを慎重にしておかないと、これ以後の努力が無駄になります。

最後は壁紙を見ながら納得できるまで微調整してください。きっと満足できる結果になります。

 

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Copyright © 2003 KINOSITA Yositaka
最終更新日:2005/09/23