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「於染久松色読販」「三人吉三巴白浪」
友人がアフリカに住んでおり、1年に1回帰国する。
それを機会に友人3人で集まることにしている。
何か企画を、ということで今回は私が歌舞伎見物を企画した。
たまたま「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」をやっていた。玉三郎が七役を務める、派手な出し物なので初心者にはちょうどよいと思ったのだ。
ねらいは当たり、ふたりとも大喜びだった。
めまぐるしい早変わり、トリックにつぐトリック。美しい玉三郎。文句なしのエンタテインメントだ。
友人のひとりは、実は歌舞伎なんてつまらないんじゃないかと思っていたそうだ。
「でも、ほんとにおもしろかったわ」と興奮ぎみに語る。
私たちは同じ大学で4年間を過ごした。まさに赤面の「青春時代」をともにした仲。
歳月を経て、今ではそれぞれに良き伴侶を得て、幸せに暮らしている。
子育てやらなにやらも一段落して、銀座に集まって歌舞伎見物などできるようになり、まるでマダムではありませんか。
私は思いを込めて『よかったわね』とふたりに語りかけた。ふたりともうなづいた。
ところでこのお染久松を玉三郎が初演したとき(初演も見ました)、土手のお六は先代・河原崎国太郎に習ったそうである。
国太郎は前進座の役者。そういうことってあるんですね。いい話だ。
私は国太郎は見たことがなかったが、誰かが「玉三郎は年をとったら国太郎のような感じになるんじゃないか」と言っていた。なるほど。
ところで、つらつらかんがみるに、私が初めて見た歌舞伎は前進座の「俊寛」だった。
小学生の時だった。親に連れられて行ったんだけど、しぶい子どもだねえ。
お染久松の次に見たのは「三人吉三巴白浪」(さんにんきちさともえのしらなみ)。
玉三郎のお嬢吉三は初役であり、しかも相手は仁左衛門。行かずにはいられない。
この出し物はですね、玉三郎が女装の盗賊を演じるというもの。
つまり女装の男の役なんだな。複雑でしょう?
しかも、お嬢吉三と仁左衛門演じるお坊吉三は恋人同士(男同士だよ。宝塚もここまではできないね)。
ふたり手に手をとって破滅につきすすむ陰惨な話を華麗なせりふで歌い上げる、という演目である。
玉三郎が「月も朧に白魚の」と有名なせりふを語りだすと、観客が全員息を止めたかのように玉三郎ただ一点に集中する。
歌舞伎はそういうところが、好きだなあ。
私は玉三郎がどのように演じるか、ものすごく期待していったんだけど、ちょっとがっかりだった。
というのは、やっぱり玉三郎は女だったから。男になってなかったと思うなあ。
もっと、異端、退嬰、退廃を極めてほしかった。
最後の雪景色の中の立ち回りは、大変に美しかったです。
このときは、午前中に幕見で歌舞伎を見てから、築地ですしを食べ、そのあと宝塚に行って宙組の「白昼の稲妻」「テンプテーション」を見た。
私的には至福の一日でした。
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